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第3話 四次元胃袋と怪しいお誘い  吉川美波 編

今回も下ネタはありません。安心ですね!


もし、よろしければ感想プリーズ!

 足が長い分、いつもより早く学校に到着したあたしは、自分のクラスへは行かずミズキのクラスへと向かう。でも、あたしを疑う人はいない。だって、今のあたしはどこから見たって吉川瑞貴だからだ。


 教室の扉を開けて中に入り、ミズキの席に座ると同時に一人の男の子があたしに話し掛けてきた。


「ちーす」


 あたしに話し掛けてきたのは末松大介くん。ミズキの親友だ。末松くんは肌が浅黒くて、まるで日焼けサロンで焼いてきたみたいな色をしている。で、一度、日焼けサロンとか行ってんのー? と聞いてみたんだけど、褐色の肌は天然なのだそうだ。う~ん、海とか日焼けサロンとか行かなくていいからお得だね。


「ちーす」

「ミズキさぁ、この問題分かる?」

「んー? どれどれ?」


 末松くんは教科書を開いてあたしに差し出した。で、教科書を覗き込んであたしは絶句。げっ、これ数学じゃん!


「あー、うー、ゴメン。分かんない」

「え~何でだよ? ミズキ数学得意だろ?」


 うぐっ、ミズキは数学得意だけど、あたしは苦手なんだよぅ。なんてことは口が裂けても言えない。いや、マジで口裂かれそうになったら言うけど……。


「やっべー! 俺、ミズキを当てにしてたのに、一時間目、数学テストどうしよう?」

「マジで!? 勉強なんて全然してないよ!」

「なんで勉強してねーんだよ?」

「え、え~と、昨日は疲れてたから勉強しないで寝ちゃったんだよねぇ」

「どうせオナニーのし過ぎで疲れたんだろ?」


 末松くんはすぐにこーゆーエロいことを言うので、男子の間では【エロ松】と呼ばれている。あっ、でもオナニーしたのは当たってる。てゆーか、あたしはミズキの身体を借りる度に、ミズキの身体でオナニーをしているのだ。それも毎日。だってさー、珍しいんだもん。それに何回でも出来るし……。


「あぁ、マジやっべー!」

「奇蹟よ起れぇー!」

「自習になれぇー!」




 ――――ならなかった。




 あたしたちの祈りの声は無常にも天に届かず、テストは惨憺たる結果に終わった。


 でも、暑さ寒さも彼岸まで……じゃなくて、喉元過ぎれば熱さ忘れる。の言葉通り、二時間目のチャイムが鳴る頃には数学ショックも消え失せてしまった。

 二時間目は現国。教科書に載ってる【ねじ巻き鳥クロニクル】を読んでたら、急におなかが減ってきて、腹の虫がぐぅぅぅ、と鳴るもんだからちっとも授業に集中できない。あー、仕方ない。早弁すっかー。てことで、教科書をバリケードにして、朝コンビニで買ってきた直巻きおむすびを一つ食べる。ところが、三時間目も四時間目もやっぱり授業中におなかが空いてきて、結局、朝買ったお弁当は昼休みまで保たなかった。


 で、昼休み。


「ミズキ、学食行こうぜ!」


 チャイムが鳴って授業が終わるなり、末松くんがあたしの肩を叩いた。一方、あたしの四次元胃袋はコンビニで買ったおむすびを平らげたというのにまだまだ余裕があって、このままじゃ午後の授業まで保ちそうにない。まぁ仕方ないよね。今のあたしは育ち盛りの男子なんだから……。


「よっしゃ行くかー!」

「おぅ!」


 あたしたちは学食までダッシュ。急いで注文して見事に席をゲットした。二人で向かい合って座り、末松くんは200円のラーメンを、あたしは180円のキツネうどんをすごい勢いでちゅるちゅる胃に流し込む。


「ところでミズキさぁ」


 ふいにラーメンを食べる箸を止めて末松くんが言った。


「んー? なに?」

「今日放課後暇か?」


 ちょっとあたしに顔を近づけて小声で喋る末松くん。をを、何やら秘密の匂いがする。


「別にー。暇だよー」

「じゃあさ、今日、俺の家に来ないか?」

「行ったら何かあんの?」

「んっ、ふっ、ふっ。 最近俺スッゲーお宝ゲットしたんだよ。だから、ミズキにも俺のお宝見せてやるよ」


 にやり、と不敵に笑う末松くん。ほほぅ。男の子のスッゲーお宝と聞いては行かない訳にはなりますまい。あー、お宝って何だろな~。楽しみ~♪

明日も頑張ります!

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