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黒き鋼の巨人  作者: 機人
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再会

俺は今、苦境に立たされている。


アンドレ「お、おい横峰。なんか話題振れよ…。」


里沙「無理だよ〜。」


アンドレと里沙が何か喋っているが内容が耳に入ってこない。それもこれも全部…。

エリカ「…。」


この目の前で不機嫌そうにしている"同期"のストライダー軍曹と俺の確執のせいだろう。


何でこんなことになってしまったのだろう。

俺は数日前のことを思い出していた。

適正試験を受けてから数ヶ月。訓練所での最終試験を合格した俺たちは晴れてパーシング中佐の部隊に配属された。


「でも良かったね〜、三人とも同じ部隊に配属されて。」


「そうだな。」


「はぁ、俺はまだこいつらと離れられんのか…。」


アンドレがため息をつく。


「何だよ、嫌なのか?」


「そんなことはないが、このままだとお前ら二人の面倒をずっと見続けなければならんと思うとため息だってつきたくもなるさ。」


「腐れ縁ってやつだ。諦めろ。」


「あはは、でも私はアンドレ君と一緒で嬉しいな〜。ここに来てから頼りにしてたもん。」


「まあ、そう言われて悪い気はせんが…。お前達二人と一緒だと自信が無くなってくる。なんだってお前あんなストライカーの操縦が上手いんだよ。」


「知らん。なんとなくだ。」


「私もそんな上手くないからな〜。」


「ま、いいや。横峰、取り敢えず俺たちはこいつくらい上手くなれるように一緒に頑張ろうぜ。」


「頑張ろ〜!」


「なんのことやら。」


今いるのは俺たちの部隊に割り当てられたミーティングルームだ。これから中佐が来てこれからについて話し合う予定だが…。


「それにしても、中佐は遅いな。」


「もう十分も過ぎてるぞ。」


「忙しいんだよ。」


そう話しているとプシュ、と言う音を立てて扉が開いた。


「いや、スマンスマン。少し野暮用で遅くなってしまった。」


「「「おはようございます!中佐!」」」


「楽にしてくれ。この部隊はまだ少数なんだ。そう堅苦しくされては私の胃がもたんよ。」


「分かりました。」


「は〜い。」


「お、お前らな…。」


「落ち着けノヴァク軍曹。君の胃にまで穴が開いたら私の仕事が増える。」


「そういう問題ですか…。」


「さてと、ノヴァク軍曹、嶺機上等兵、横峰上等兵。実はもう一人パイロットがいてな。さすがに新兵ばかりだとくろうするだろうと思って一人寄越してもらったんだ。当分の間彼女が君らの隊長になるが、そう気負う事はない。」


「その人ってどんな人なんですか?」


「私がいうよりもあったほうが早い。入ってくれ。」


部屋に入って来たのは金色の美しい髪の女性だった。


「今日から部隊に配属されましたエリカ・ストライダー軍曹です。よろしくお願いします。」


「…え?」


この人、前にも見たことがある。たしか、中佐と…。


「…っ!中佐!どういうことですかこれは!」


「おや?ストライダー軍曹には言ってなかったかな?今日から君らは同じ部隊の仲間同士だ。仲良くやりたまえ。」


「くぅ…!」


歯が折れるんじゃないかというくらい強く歯軋りをしている。

しかもその怒りの矛先が元はと言えば自分に向いていたものなのだからよけいにたちが悪い。


「おっと、忘れていた。これから君らの機体の受領手続きを行って来なければ。」


「ち、中佐。自分達も…。」


「いやいや、良いんだよ。私が全部やっておこう。その間に君らは親睦を深めてくれたまえ。」


アンドレがこの空気に耐えられないとばかりに声をかけるが、言い終わらないうちに中佐はそうまくし立てさっさと出ていってしまった。


目の前にの女性…ストライダー軍曹をちらりとみると椅子にどかりと座り込み腕を組んでこちらを睨んでいる。

美人が怒ると怖いというのが身にしみて分かった。


「あなた、名前は?」


「嶺機逡也上等兵、であります。」


「…嶺機上等兵、答えなさい。何故あそこにいたの?何故民間人であるあなたがあそこに?」


「…俺、いや自分にも分かりません。」


「分からない?自分のことなのに?」


「はい。」


「ふざけないで!」


机が強く叩かれ横で里沙がビクッと震える。


「知らないうちに民間人があんな場所にいた?私はそんなもの信じない!過去から来たとか、そんなのは嘘よ!」


「俺たちだって!本当に何も知らないんだよ!気づいたらこんなことになってて、聞きたいのはこっちのほうだ!」


「お、落ち着けよ…。」


「ぐ、軍曹も落ち着いて…。」


「…ふんっ!」


軍曹が席を立つ。


「見てなさい、絶対に化けの皮を剥がしてやるわ。」


そう言うなり軍曹は出て行ってしまい、後には俺たちだけが残された。

というのが数日前にあった出来事だ。

その後もわだかまりが解けずにずるずると今日まで来てしまった。


「んー、君らはまだそんな状況なのかね。」


中佐がブリーフィングルームに入ってくるなり頭をかきながらそう言った。


「中佐、ご用件は?」


「ストライダー君、そう私を睨まんでくれ。怖くて背筋が凍りそうだ。」


「…。」


相変わらず中佐は飄々としている。


「まあいい。今日から君らには互いの事を知ってもらうために、ある事をしてもらう。」


「ある事?」


里沙がきょとんとしている。


「ふっ、これを見ろ!」


中佐が持っていた長い紙を広げると、そこには


「さ、ばい、ばるくんれん?」


…めちゃくちゃ汚い字でそう書いてあった。」


「これはだな、君たち二人に親しんでもらおうと私が日本出身の者に頼み込んでフデで書いたものだ。どうだ?上手くかけてるだろう?」


「…いえ、正直きたな」


「さて今回君たちには二人一組で一週間サバイバルを行なってもらう。」


聞いちゃいねえ。


「なるほど。では、俺と嶺機、ストライダー軍曹と横峰のペアで行うという事ですね。」


「いや?組み分けは…これだ!」


「あ、もういいですその紙。」


「いけず。」


そう言いながらも紙をぽいっと投げるあたりに演技感がぷんぷんする。


「組み分けは、嶺機上等兵とストライダー軍曹。横峰上等兵とノヴァク軍曹だ。」


「待って下さい!」


これに声を荒げたのはストライダー軍曹だ。


「あまりにも非常識です!組み分けの変更を願います!」


「それじゃ意味がないだろうよ。まあいい。取り敢えず理由だけは聞きたまえ。」


まるで子供をなだめるかのような声色だ。


「まず始めに、君たちの階級を言いたまえ。」


「…軍曹です。」


「軍曹であります。」


「上等兵です。」


「上等兵です。」


「まずこの段階でストライダー君とノヴァク君、嶺機君と横峰君の組は無しだ。一応二人の士官としての訓練も含んでいるからな。そして第二に、もし撃墜されて二人で遭難、となった時に男と一緒は嫌、女と一緒は嫌などと言っとれんだろ。」


「まあ、それはそうですが…。」


「それになにより!君も分かっとるだろう。」


「…はい。」


「なら決まりだ!文句は聞かん!必要なものはこちらで支給する。さあ行くぞ。」


こうして俺たちの訓練が幕を開けた。

当面の間は短いのを単発的に上げていきます。

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