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虹色の英雄伝承歌(ファーレ・リテルコ・ポアナ)紅刃の章1~復讐の果て、さまよい続ける死神剣士~  作者: 新景正虎
第四章 輝く生命の息吹受け、今、燃え上がるは真紅の炎
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始まる狂乱の宴

騒然が茫然に、そして恐怖へと変わるのにさほどの時間はかからなかった。


姿を現した魔物は一匹やそこらではない。


牛頭大男(ラタネ・ベロース)を始め、怪力と手にした棍棒が恐ろしい巨躯鬼人(ガテ・ルコ)に巨体に加えて驚異的な再生力を持つ巨躯鬼精(ガテ・ルフォといった大型の亜人間型の魔物。

 

それに加え、小ぶりで醜悪な外見だが粗末とはいえ剣や盾を持ち、徒党を組むと厄介な悪戯鬼(ガテ・ケルツやそれよりも更に小ぶりで粗末な武器を持つ悪戯子鬼(ケルツといった子鬼型の姿もいる。

 

それらが大挙して自分たちの元へとにじり寄ってくる。それを見た観客達は恐怖に支配され、我先に逃げ出そうとし、通路は人であふれかえる。


「おい!早くしろ!」


「押すな!つかえているんだ!」


「おかあさーん!」


「ぼうや!どこ!」


恐慌状態で通路に殺到した観客たちは押し合いへし合いになり、怒号が飛び交いだす。


兵士たちも突然の事態に右往左往するばかり。


そして荒事になれているはずの冒険者たちも皆、武器を預けており、丸腰の状態。しかも、武器を取りに行こうにも通路は観客たちによって塞がれている。


その様を見たビアトロは事態の深刻さを悟る。


このままではこの場にいる全員が魔物に殺されてしまう。


冒険者たちが武器を手にするまでの時間を稼がなければ。だが、その前に動揺する観衆を落ち着かせなくてはいけない。


それが出来るのは…出来るのは……


「ビアトロさん!」


「…ラト、危ないから下がっていなさい」


ビアトロはそう言うと表情を引き締め、一歩踏み出すと外套をひるがえして懐から竪琴を取り出す。


よく見るとその竪琴には青く輝く宝石が一つ、はめ込まれている。


そして彼は観客席へ続く階段に近付く魔物達を見下ろすと、心を落ち着けながら竪琴に指を走らせる。


…その時、その青い宝石が一瞬、まばゆく輝いたようにラトの目には映った…

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