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虹色の英雄伝承歌(ファーレ・リテルコ・ポアナ)紅刃の章1~復讐の果て、さまよい続ける死神剣士~  作者: 新景正虎
第四章 輝く生命の息吹受け、今、燃え上がるは真紅の炎

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交わりし二振りの剣

そんなビアトロやラトとは対照的に、エダの胸中は穏やかだった。


場を包む大歓声を耳にしてもなお、彼の心は熱さとは無縁だった。


それに気づいた彼はつぶやく。


「不思議だ、心が落ち着いている」


さっきまでの不調がうそのようである。


おそらく相手が手練れ、しかも自分をよく知る相手という事で体が緊張しているのだろう。


エダは冷静に考えを巡らせる。


自分より強いものの手にかかって死ぬ。その考えは揺るがない。しかし、スクードは自分を気遣い、命を奪うほどの傷は負わせないかもしれない。


だとしたら、こちらは全力で戦い、彼を追いつめるしかない、そうすれば……そう考えたエダの口元に笑みが浮かぶ。


一方のスクードはエダと対峙してもなお、迷っていた。


どうする?どうすればこの若者を死から救う事が出来る?それともいっそ…


その迷いは戦いが始まってもなお晴れる事はなかった。


エダの振るう剣は先ほどまでの不調がうそのように鋭く、スクードは防戦一方の戦いを強いられる。


その戦いぶりに熱狂する観客、だが、スクードにはその剣から伝わる危うさを感じていた。


今のエダの剣には迷いが無い。


だが、それは自分の望んだことではない。


スクードには分かる。彼が選んだのは勝つことではなく、自分を追い詰め、彼自身を討たせようとしているのだと。


彼の振るう刃は目前の死を目前にして、より鋭く、より危うくなっている。だが、一方でスクードはエダの成長ぶりに満足もしていた。


こうして刃を交えていると彼の成長ぶりがわかる。


剣を教え始めたころの彼はしゃにむに攻め立ててくるだけだった。


だが今の彼は明らかに違う。昔はただでたらめに攻めていただけだが、今は確実にこちらの隙を突き、追いつめてくる。


スクードはセルぺの時と同様、守りに徹して相手の疲労を誘いつつ思案を巡らせる。


だが、やはり今の彼には欠けているものがある。それは…


スクードがそう考えを巡らせ、無意識に剣を握る手に力が入る。と同時に感じる死の予感。


沸き起こる戦慄。


スクードはエダが振るった刃を寸前で飛び退いてかわすと、構えを崩さぬまま無意識のうちに頬をぬぐい、そこで気づく。


うっすらと手の甲につく赤い血に。


スクードは全身から汗が噴き出るのを実感して身震いする。


そう、エダはもう出会った頃の彼ではない。その名の通り、死神と呼ばれるほどの剣士。


気を抜くとやられる。


スクードはそのことを思い知らされると連続で繰り出されるエダの剣を打ち払いつつ、後ろに下がって間を取り、剣を構え直す。


だが、それでもスクードは考えを巡らせるのをやめない。

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