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闇に潜みし刃

一方、大会の主催者であるフォルト・ガシオン公は不機嫌だった。


その理由は貴賓席で彼の隣に座る男。


ラトがビアトロに語った通り、彼は表向きは街の有力者。だが、実は盗賊達を取り仕切る『盗賊結社(ラバン・ルクシャ』のこの町での元締め。それは噂ではなく事実。


密航の斡旋、売春宿の経営、人身売買、強盗、暗殺。この町を統治する身としては裏社会を取り仕切るラバン・ルクシャの影響力は減らしたいところ。


最近になってようやく彼らと対立している旧市街の有力者との協力を取り付けられたが、それでも容易なことではない。


「盛況ですな。大会も」


「ええ」


公の内心を知ってか知らずか、相手は声をかけてくる。


「ところで、公がお気に入りにしている死神剣士、調子が良くないようですな」


相手からの問いかけにガシオン公は小さくため息をつく。


彼としては、特に気に入って手元に置いているわけではないのだが、周りはそうは思っていないようである。


そこに男の部下を思われる人物が現われ、彼に耳打ちをする。すると男の表情がわずかに険しくなる。


「…そうか、わかった。

 申し訳ないがガシオン公。急な用が出来たので、これにて失礼する」


そう言うと男は部下を連れ、そそくさと貴賓席を後にする。


一方、ガシオン公はその背中を不審のまなざしで見送る。


これからが盛り上がるところだというのに。


彼は相手の行動に対していささか腑に落ちないものを感じつつも、とりあえずは不愉快な輩が消えた事に安堵した。

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