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忍び寄る闇

闘技場にはすでにラトが待っていた。


「ビアトロさ~ん、早く早く~席取られちゃうよ」


「分かってるって」


合流した二人は入場受付の列に並ぶ。


闘技場入り口の入場受付には木板を彫って作られた対戦表が掲げられ、そこには出場者の名前が彫られた木札が掲げられていた。


字の読めない者への配慮からか、画家による似顔絵も添えられている。


「…ん?」


ラトと共に列に並んでいたビアトロは受付場のの片隅に固まっている集団に気付く。


彼らは対戦表と手元を交互に見ながら木札と貨幣をやり取りしている。


ビアトロはその光景に見覚えがあった。


「なるほど…裏賭博か」


ビアトロは傍らにいるラトに聞こえないような小声でそう呟く。


おそらくあの木札は対象の名前が書かれた賭け札なのだろう。


「どうだい?あんたも」


ビアトロの視線に気づいたらしい男が声をかけてくる。その手には木板が。


示された木板をのぞき込むと、そこに彫り込まれていたのは出場者の名と賭け率と思われる数字の羅列。


賭けの倍率を見てみるとやはり前評判は高いのか、エダの数字は低い。


だが、この数字では仮に賭けて当たったところで、大した儲けにはならない。かといって他の誰かに賭ける気にもならない。


「いや、やめておこう」


「そうかい、残念だ」


男はあっさりと諦め、列に並ぶ他の誰かに声をかける。


「今の何だったの?ビアトロさん」


ラトが不思議そうに見上げてくる。


そう問われ、ビアトロは一瞬迷う。正直、裏世界の事をこの少女に話すのは気が引けた。だが、一方で商人の子でもあるわけなのだから、そうした世界の話をしてもいい気もする。だが…彼女が気をかけているエダが賭けの対象となっている。この事はビアトロ個人としてもあまり面白くない。


「…大した事じゃないさ」


「ふ~ん」


結局ビアトロは裏賭博の事は話さず、ラトもその事を追求しようとはしなかった。

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