失いし故郷への道求め、あがく戦士達
一方、朝食を終え、日課の鍛錬に入ろうとした剣闘士たちに元にガシオン公配下の兵士が現われ、一同に告げる。
「ガシオン公よりのお達しだ。
十四日後に剣闘士同士でその技を競い合う大会を開く、優勝者には金貨1000枚と自由が与えられるとの事だ」
その言葉に剣闘士達はざわつきだす。
これまで、商人たちに見出されて雇われ、この場を後にしていった剣闘士たちは少なからずいる、だが、今回は賞金に加えて自由も与えられる。故郷に戻ることも、これまでに鍛えた腕を生かして冒険者となる機会を得る事もできる。
「闘技場で行われる大会本戦への参加者は八人、これより模擬戦により参加者を決める」
示された未来への希望に息まく多くの剣闘士たちとは異なり、エダは冷静だった。そんなエダの傍らにいたスクードがぽつりとつぶやく。
「自由か」
「…自由を得たらあんたはどうする?」
「前に言っただろう、北の『魔法王国』には妹と、その娘がいるって。そこに身を寄せて…戦いとは無縁の人生を送るというのも悪くないな」
穏やかなまなざしではるか彼方を見やるスクード、それを見たエダは視線を逸らす。しかしそこにいるのは活気あふれる剣闘士たちの姿。皆、思い思いに自由を得られる機会を逃すまいとしている。それに対し、自分は…
「…あんたの腕なら不可能じゃないだろう」
エダは平静を装い、淡々とそう告げる。
「お前がいる、そう簡単にはいかない」
「俺の腕ではあんたには勝てない」
エダの言葉にスクードは苦笑する。
「そんなことはない。直接戦う機会が無かっただけで、今お前と戦えば俺だって勝てるかどうか怪しい」
スクードはそう冗談めかして答えるが、それに対しエダは深刻そうにこう答える。
「それは困る。もしあんたでも俺をたおせないのなら、俺は誰の手にかかって死ねばいいんだ?」
そのエダの言葉にスクードは答えを返すことが出来なかった。




