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自由無き、かごの中のひな鳥

夕食を終えたビアトロが宿に戻ろうとする。と屋敷の通路に部屋に戻ったはずのラトがいた。彼女は窓から外を、夜空を見ていた。


「あの星って『旅人(シムリー・)守星(リテラ)』なんでしょ?」


 ビアトロに気付いたラトは視線の先を指さし、そう尋ねてくる。聞かれたビアトロもラトが示す窓越しの空を見る。


 見えるのは漆黒の夜空に瞬く星々。ラトが指さしたのはまぎれもなくその通りだった。


「…ああ」


 うなずくビアトロに対し、ラトはさらに尋ねる。


「…許嫁の話聞いた?」


「ああ」


 ためらいつつもビアトロは答える。


「やっぱりね。ビアトロさん、おせっかいそうだから聞くような気がしたんだ」


「すまない」


 あっけらかんとしているラトにビアトロは頭を下げる。


「いいの、納得していることだから。商人の子だもん、誰かを好きになったとしてもその人とずっといられるわけじゃない。そんなのは夢物語だってことぐらいは分かってる」


 それは‥果たして本心なのか。口から出かかったその問いをビアトロは押しとどめる。なぜなら、それはここで夜空を見上げていた事がすべて物語っている気がしたからである。


「…それに一度その人と会ったけど、そんなに悪い人じゃなさそうだし」


「そうか」


 その言葉にビアトロはラトと初めて会った時の言葉を思い出す。


「…でも、ビアトロさんみたいに行きたいところに行って、誰も見た事が無いものを見る…一度でもいいからそんなことが出来たらなあ…なんてね」


「…ラト」


 冗談めかしているが、これもまた彼女の本心なのだろう。


「…今度こそお休みなさい、ビアトロさん。明日は街を案内してあげる」


「ああ」


 足早に去っていくラトの後姿を見送り、ビアトロは宿へと戻る。


 宿に戻ったビアトロは寝台に横になり、思いにふける。


 あの子はエダに自分を、自由なきかごの鳥であるわが身を重ねているのだろうか?


 しかし、わからない。一体なぜ彼はあそこまで死を求めるような戦いをするのか?


 一方、そのころ…


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