表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

なにこれ


近所のジムで泳ぐ事、それだけで俺は嫌なことを全て忘れられる。

別に鍛えたい訳じゃないがただ冷たい水の中で何も考えずにただひたすらに泳いで、プールから上がったときの体の重さ、疲れを実感するのが心地良いことだと知った。

カラダは熱を帯びて全身の力が抜けていくような感覚。


上がったらシャワー室にゆっくりと向かい、個室のシャワーの温度を最低まで下げてシャワーのつまみを一気に全開にする。

頭から冷たいシャワーを浴びて体の熱を下げていく。

心臓の音が全身を揺らすように体の奥から聞こえるように

汗と熱を取り終えたらタオルで軽く全身の水分を拭き取り更衣室でボクサーパンツを履き、頭を乾かす。


鏡に映った自分の髪の毛を見る。

プールで泳いで塩素の影響なのか髪の毛は少し色が落ち茶色掛かった天然パーマのようになっている。

その髪をぐしゃぐしゃとかきながらドライヤーで乾かす。

今夜は何を食べようか なんて考えているうちに髪の毛は乾き服を着る。

ジムの受付に鍵を返し会員証を返してもらってから靴を履きジムから出る。

生ぬるい夏の風が吹く。

コンクリートと地面が溶けたような匂いが鼻腔をくすぐりさらに暑さを強調させる。


今年の夏はとてつもない猛暑らしい。テレビを点けニュースを見ると必ずといっていいほど今日は何度だ、明日は何度だ、熱中症で誰々が倒れた、何人が死んだ という単語が自然と耳に入る。

もう午後十六時なのにこの暑さはいったいなんだ。

せっかくシャワーで汗を流したのにこれでは事務所に戻る前にまた汗だくになりそうだ。


ふと歩いている大きな通りを見る。

事務所へと繋がる大通りにはコンビニ、古本屋、パチンコ店、牛丼屋等色々な店が立ち並ぶ。

駄目だ。俺が熱中症になっちまう、コンビニに寄ろう。

そう思ってから10秒でコンビニに立ち入る。


自動ドアが開いてコンビニの来客時のBGSが流れる。

中にいた店員が2名こちらを振り向き「いらっしゃいませ」と笑顔で挨拶をする。

中に入った途端額に滲んでいた汗は一瞬で冷えて消えた。とても心地良い感覚に襲われながらドリンクコーナーへと向かう。

そこで北アルプスの天然水と書かれた水を2本取りだし、夕食用の激辛のカップラーメンをを手に持つとそれをそのままレジの台の上に置いた。

「ポイントカードはお持ちでしょうか?」とお決まりの定型文を言われるが無言で首を横に振る。

「3点合わせて420円になります」と言われ財布から420円ピッタリ差し出す。

「420円ちょうどお預かり致します」と同時に

「レシートは結構です」と答えて袋に入った商品を持ってコンビニから立ち去る。

店の中からはありがとうございました~またのお越しをお待ちしており……で声が途切れるのが聞こえる。

どうせなら最後までちゃんと言えよ と心の中で呟いて大通りを進んでいく。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ