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大広間の謎の文字を見た後、各々が一度部屋へと戻り、十八時からの晩餐会を終えた一行は応接間に集まっていた。


「‥‥ワソトン君、アレを」


ホムズがワソトンにそう言うと、ワソトンが鞄から一枚の紙を取り出した。


「皆さん、少し宜しいですか?」


ホムズが部屋に居る全員を大テーブルへと集めた。


全員がソファーに座った事を確認すると、一つ咳払いをした後に話始める。


「‥‥あれから私なりに色々と考えてみました」


そう言って紙に書かれた一文をペンで指しながら、アルフレッドに向けて聞く。


「アルフレッド様、誰かに恨みを買う覚えはありますか」


ホムズの問いに少し考えてからアルフレッドが答える。


「いや、覚えは無いが‥‥貴族と言う立場上必ずしもとは言えぬな」


アルフレッドの答えにホムズが文章に何かを書き足す。


「では次にガリバ医師‥‥」


そう言って全員に聞き取りを行いつつ、文章に書き足していく。


「‥‥成る程、では次にアリバイですが‥‥」


ホムズが全員のアリバイを確認する。


客室は二階にあり、会食場へと向かうには必ず階段を下りた大広間を通る事になる。


最後に現れたティナ達であったが、あれだけ目立つ書き込みを全員が見逃すとは考えにくく犯行は全員が集まった後に行われたと結論付いた。


「‥‥犯行時、アリバイが不確かなのはメリルさんですか‥‥」


ワソトンが紙を見ながら言った。


「そんな! その時私は皆様のお食事を用意していて‥‥っ!」


「いや、待ちたまえワソトン君‥‥もう一人アリバイが立証出来ない人物がいる」


ホムズの言葉に全員が目を向ける。


「‥‥アルフレッド様、息子であるカイト様はどちらのお部屋に?」


その言葉にアルフレッドが答える。


「息子ならば一階の会食場と階段を挟んだ反対側の部屋に‥‥っ!?」


アルフレッドが驚く。


「‥‥そう、カイト様こそ、一番一人の時間が多くアリバイが全く無い人物‥‥」


「馬鹿な! 息子があの様な悪戯をする訳が無い!」


アルフレッドが怒鳴る。


「‥‥悪戯なら良いのですがね」


癖毛の青年バストールが誰に途も無く呟いた。


「‥‥それで、犯人はカイトって人な訳?」


ジュディが何気なく聞いた。


「あり得ぬ!」


アルフレッドが怒鳴り声で言い返した。


「兎に角、皆さんで時間まで一ヶ所に集まっていた方が良いかと、カイト様は此方へ連れてくる事は?」


ホムズが聞くと、執事のセバスがアルフレッドへと目配せしアルフレッドが頷くと、お呼びして来ますと言って部屋から出ていった。


咳き込みながらカイトが部屋へと現れ、部屋の角にあるソファーに寝そべり、セバスが毛布を掛ける。


それから各々がメリルの用意したお茶を飲みながら思い思いに時間を潰した。


そんな中、ルーニアがルシアに話し掛ける。


「ルシアさん、どう思います?」


主語の抜けた聞き方であったが、ルーニアの意を汲み取ったルシアは答えた。


「さあ‥‥しかし、どうにも腑に落ちない点はありますね」


そう言ってお茶を優雅に飲むルシア。


隣でカードを使った遊びに興じていたティナとジュディも話に加わる。


「何が気になるんですか?」


ティナがルシアに聞いた。


「‥‥あの大きな姿見の鏡の、あんな高い位置にカイトさんやメリルさんで果たしてあそこまでハッキリと掛けるか、等もですが‥‥」


ティーカップを受け皿に置き、言葉を続ける。


「先程ホムズさんが聞いていた人間関係等を考慮した所、動機が全くと言って良い程に見当たりません」


そして、応接間で話す他の人達を見ながらルシアが言う。


「私には、この中に犯人が居るとはどうしても思えませんね」


時計の針は、間も無く午後十一時を指そうとしていた。

【次回予告】


全員が部屋に集まり、書かれた時間を待つ。


ホムズが推理したカイトとメリルが文字を書いた犯人なのか?


それともルシアが言った第三者の存在が在るのか?


そして、殺人予告通りに殺人が行われるのか!?


様々な謎を残しつつ、物語は遂に後編へと向かう!


謎の館での事件の結末は後編にて!

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