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フラグの回収は見事に行われ、一時間ほど一本道を歩いていた四人は何故か平地に囲まれる国フューゾルには無い筈の海のある場所へと到着していた。
「何処ですかここ‥‥」
何故か暗雲立ち込める海に出て来た事に顔をしかめるティナ。
訳の解らない状況に四人が立ち竦んでいると、雨が降りだしてきた。
雨具の用意などして居なかった四人は、慌てて雨宿りが出来る場所が無いか周囲を見渡す。
その時、稲光が走り少し行った先の崖に聳える古びた洋館が写し出された。
「建物があるわよ! あそこで雨宿りさせてもらいましょ!」
ジュディの提案に、四人は洋館に向けて急ぎ走り出した。
洋館に着く頃には四人共ずぶ濡れであり、一様にやりきれない表情であった。
「すいませーん! 少し雨宿りをさせてくれませんかーっ!」
ドアのノッカーを叩きながらティナが大声で叫ぶ。
暫くすると、中からドアが開かれ、一人のメイドが出てきた。
「あら、どうされました! ? そんなにずぶ濡れで‥‥」
四人はメイドに事情を説明し、話を聞いたメイドが館の主人に聞いてくると言って、四人にタオルを渡して入り口にあるソファーへと案内し、館の奥へと向かった。
四人が濡れた服と頭を拭いてソファーで待つと、メイドが執事服を着た老齢の男を連れてやって来た。
「なにやら大変な目に遇われましたな、主人がお会いするそうですので皆様此方へお願いいたします」
執事服の男に促され、その後をメイドど共について行く四人。
途中館の中を見渡し、品の良い装飾品が館を飾っている。
しかし、この悪天候の暗がりがそう見せているのか、品の良い筈の装飾品達は何か館の空気を不気味な物に見せていた。
稲光と轟音が響き、雨音が窓を叩き付ける中、四人を連れた執事服の男とメイドはとある部屋の前で足を止めた。
「それでは皆様、此方でございます」
執事服の男がノックの後、ドア越しに四人を連れてきた事を伝えると中から入る様に促す声がした。
その声に六人が部屋の中へと入ると、豪華な机に背を向けて椅子に座り、大きな窓から外を眺めている男性が居た。
「アルフレッド様、御客人をお連れしました」
恭しく頭を下げる執事服の男とメイド。
「ふむ‥‥セバス、メリル、大義であった」
椅子に座る男がそう言って振り替える。
瞬間、稲光が走り薄暗い部屋に強烈な光が射し込む。
その光が、男の顔を鮮明に写し出した。
「ようこそ御客人、我がカーマイン家へ‥‥私はアルフレッド、アルフレッド=カーマインである」
こうして道に迷ったティナ達は、カーマイン達の住む館へと足を踏み入れる事となる。
この先に待つ出来事を知らずに‥‥
【次回予告】
意図せず謎の館へと足を踏み入れる事となったティナ達。
何故かフューゾルに存在する海に面した崖に聳え立つ洋館で起きる事件に巻き込まれたティナ達の運命は!
そして、目的地だった温泉旅館の今後の扱いは!?
風雲急を告げる中編に、君は何を見るのか!
あ、タイトルは例によって最後に書きますね。
待て次回!