表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

4

「しゅ、しゅごいぃぃいッ! メイシン様の必殺【(きわみ)・滅殺炎神覇天焦】だぁあぁっ! 私にも、ターナカにもお仕置きを女王様ァッ!」


鼻血を噴出しながら勝手に必殺技名を命名し、メイシンにお仕置きをねだる実況のターナカ。


「誰よ、コイツを実況に選んだやつ‥‥」


隣のゲスト席に座るロゼッタが、ターナカから距離を取りながら呟いた。


「市長、最終決定に判を押したのは市長です」


秘書のルシアが落ち着いて答えた。


「あーっと! そうこうしている内に、生き残った選手は二人となってしまいました! 果たして最後まで生き残り、勝利の栄冠を勝ち取るのは誰なのかっ!」


会場では、メイシンと謎の覆面が一騎討ちとなっていた。


「いや、料理をしようよ」


ティナが小さく呟く。


料理をしていた覆面男が、手を止めてメイシンへと話し掛ける。


「久し振りだな‥‥」


メイシンが顔をしかめる。


「誰だよアンタ」


メイシンの返答に覆面男は低く笑い、小刻みに震える。


「ああ、アンタにしてみたら道端の石ころみたいなもんなんだろうな‥‥ふざけやがって」


そこまで言うと、覆面から覗く目を鋭くしメイシンを睨んだ。


「あの時の屈辱、一日たりとて忘れた事は無い‥‥この技で貴様を地獄に葬ってくれるわ!」


覆面男の叫びと共に、冷凍庫に入っていた食材を大量に取り出して、空中でジャグリングを始める。


「ハッハッハーッ! 地獄の修行により編み出したこの技! 裏千手乱れ掌!」


覆面の手が無数に見える。


「喰らえ! 絶対零度(アブソリュートゼロ)ッ!」


凍り付いた無数の食材がメイシンに襲い掛かる!


キセルを少し動かして火を放ち、食材を燃やし尽くして消滅させた。


「‥‥え?」


火はそのまま、覆面男を火だるまにした。


「ピヤアァァァアッ!アヅイィィィッ!」


転げ回り、食材を冷やす為の氷水をひたすら掛けまくって火を消した覆面男。


煤けた姿になった男がゆっくりと起き上がり、メイシンを見詰めながら言った。


「負けたよ、完敗だ‥‥」


ティナ達が男を見て驚愕した。


「我、未だ道半ばであったか」


『あ、あの時のおっさん』


銀龍酒家でスネークしてたおっさんだった。


立ち上がったおっさんの両側を係員が支える。


「すまんな、係員の人」


おっさんがお礼を言う。


「アジーオ選手に成り済ました不審者を確保しました! これから外で待つ警官に引き渡します」


大会運営部と連絡を取っていた係員の一人が言った。


引き立てられるおっさんが「我は無実だ! 我を選ばなかった運営部が悪いんだぁあぁっ!」 と、叫びながら連れられて言った。


場内は静まり返っていた。


結局一人だけ調理したメイシンがロゼッタとルシアへ料理を運んだ。


「ん、おいし、何時もの味ね」


「メイシンさんの餃子、ニンニク使って無いらしいですよ市長」


ロゼッタとルシアが、銀龍酒家での昼食のノリで食べた。


「き、決まったぁ! 優勝は銀龍酒家のメイシン様だぁ! 貴様等頭が高い! 控えおろう! ターナカはメイシン様の犬に御座います! 女王様!」


グダグタのまま大会はメイシンの優勝となった。


『なんだそりゃ!』




外伝第一話【爆裂!フューゾル市大調理大戦】 完

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ