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守護霊は、おじさん  作者: 直井 倖之進
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エピローグ


                 エピローグ


 三月十八日。卒業証書授与式。

 体育館へと続く廊下で入場を待つ、六十八人の卒業生たち。その中には真依の姿もあった。

「最後の最後で恥をかかせるのだけはやめてよね」

 振り向いて言う真依に、おじさんは、

「任せてください」

 と、自信たっぷりに自分の胸を叩いて見せた。

 その時、

「ただ今より、卒業証書授与式を執り行います。卒業生、入場」

 館内の声が真依の耳にも届き、それとともに、重い横開きの扉が開かれた。

 ひとり、またひとり、体育館へと入る卒業生を、在校生代表である五年生や卒業生の保護者、先生たちや来賓の人たちが大きな拍手で迎えた。

 やがて真依の入場となった。館内入り口で一礼すると、彼女はシート上を歩き始めた。少し緊張した面持ちだが、その顔は、まるでこれから進む未来を見つめるかのように真っ直ぐに正面を向いていた。


 式次第を終え、恩師である岩田先生に別れを告げた。今、真依たちは、写真を撮るために中庭に集まっていた。

「とうとう、卒業しちゃったね」

 真依が名残惜しそうに校舎を見やった。

「あぁ。六年間、あっという間だったな。俺たち、どんな中学生になるんだろうな?」

 そんな竜之介の問いに、少し考えてから真依は答えた。

「進む道の先に何があるのかは分からないけど、私たちならきっとどんな困難だって乗り越えられるよ。だって、竜之介君の守護霊は香さん、私の守護霊はおじさんなんだから」

「え? それって、どういう意味だ?」

 よく分からないという顔をする竜之介に、真依は、

「固い絆で結ばれてるってこと。私たちも、私たちの守護霊も、ね」

 と、首に着けたネックレスを見せて微笑んだ。

「なるほど」

「ねぇ、見て。……綺麗」

 真依がヤマザクラの木を指差して声を上げる。そこには、彼女のネックレスと同じ淡い桃色の花が、小さく咲いていた。

 ご訪問、ありがとうございました。

 以上で『守護霊は、おじさん』、物語の全てが完結です。

 

 お気づきになった方もいらっしゃるかとは思うのですが、本小説、武田鉄矢さんと浅野温子さんが主演をなさっていたフジテレビの月9ドラマに影響を受けています。

 そのため、登場人物の名前も何となくそれっぽくなっております。

 また、端々に、不自然にはならない程度に小ネタも挟んでいましたから、そちらで気づかれた方もいらっしゃるのではないでしょうか(さすがに“馬券”はおじさんには合わないと出しませんでしたが、代わりに“受験票引換券”が登場しています)。

 拙作ばかり並べての8作、「ならば、その中には、設定的なオマージュ作品があってもよいだろう」そう考え、今回、掲載してみたのですが、いかがだったでしょうか。少しでも楽しんでいただけたのならば幸いです。


 3日に一度の更新頻度となったにも拘わらず、投稿の度にどなたかが訪問くださること。大変感謝しております。

 「人が読めない場所にある小説は、鍵がかかった日記と同じ」そう思い始めた小説投稿ですので、その喜びは一入です。

 つきましては、これからも直井 倖之進の小説を、待ち合わせの時間や暇つぶし、トイレのお供になどにどうぞご利用くださいませ。

 

 さて、以下、次作の紹介となります。

 9作目は、『かくれんぼ』というタイトルの物語です。今回同様、原稿用紙220枚ほどの作品となっています。

 このエピローグ投稿後、序章を掲載しておきますので、よろしければご覧ください。


 それでは、8作目『守護霊は、おじさん』、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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