「RPG的、必殺技」
ナンシーと、ヨアヒムさん。
ドラゴンと、神父。
側から見たらどこのRPGだって絵だ。
そして、どこかの王道RPGなら、ここでバトルが始まるーーーー
いや、ちょっと待って。
ふたりとも慣れているような感じなんですけれども。
ドラゴンと、私と、神父。
運悪く中間地点のいる私は巻き込まれるのは確実だ。
私死んじゃう、巻き込まれ型の事故で死んじゃう!!
「聖女様、危険です!」
『ナツミ、危ないよ!』
これぞ。絶体絶命のピンチ。
「聖女様!危険です!こちらへ!!」
「ちょっと待って!本当に待って!」
「くそっ、……………!」
ヨアヒムさんは叫んだ。あまり聞き取れなかったが、恐らくあまり良い言葉ではないのだろう。
「本当に待ってください!ヨアヒムさん、いきなりどうしたんてすか?」
このドラゴン、敵意はまったくない。それどころか子どもたちと遊びたそうにしてるだけ。
それなのに、いきなり銃を、撃つなんて怖すぎる!!
バンバン、連続で発砲されて、森の木々が吹き飛んでいく。
めっちゃ怖い!!
ナンシーも毛を逆撫でて?いや、この場合鱗や筋肉が蠢く。
銃すごい危ない!!
とにかくこのヨアヒムさんが銃を打つのやめさせないといけない。
私は、ヨアヒムさんの銃の装填のスキを狙い、ナンシーから下りて、ヨアヒムさんの前に立つ。
ヨアヒムさんは、私に危害を加える気はないらしい。
だが、私は違う。
ドラゴンに全神経を集中させているヨアヒムさん。
私は自分の重心を低くする。ナンシーには、ひだりに、飛べと言っておいた。
私は彼の腰を目がけて、タックルをかました。
先程のぎっくり腰を知っているからこその弱点を付く卑怯1000%の攻撃。
ヨアヒムさんは、それをモロにくらい倒れた。大勝利。