あの頃テレビ1987 part3 そして番組は終わった・・
大賞曲の演奏が終わった。
おっと、ここでモモヨライブ会場に切り替えなければ。。。
後、1分で歴史的コメントだ・・・
会場の玉田のアップに切り替える・・・
彼はファンとしての役割。
そこに舞台の原田モモヨの声がかぶってくる。
これは、当時のライブCDの音なのだが・・・・
「皆さん、今日、私は大切なことを、皆さんにいわなければなりません」
表情が変わる玉田・・・
そして静まり返る会場・・
といっても音声さんが音を下げるだけのことなのだが緊張感が走る。
玉田の表情に当時のコメント音源を載せながら時代を再現する。
そして、クライマックスで今度は当時のフィルムの原田モモヨをインサート。
「私は引退します」
まあ、引退コメントと言うと、長嶋茂雄の「私は今日、ここに引退いたしますが、我が巨人軍は永久に不滅です」 キャンディーズの「「普通の女の子に戻りたい」山口百恵の「幸せになります」など、名台詞もあるが、
まあ、モモヨのはストレート。
「みなさん、今までありがとうございます
私もとてもわがままなかもしれません。
でも、私はこれを選らばにければ、きっと後悔すると思うんです。
私の人生を、精一杯生きることが、私の選ぶべき生き方だと思い
決心しました・・私のわがまま許してください」
会場は、静まり返り、たまに咳ばらいが聞こえる。
人気の芸能人の突然の引退表明は、いつも熱狂的なファンにとって
理解し、受け入れるのに時間のかかるショックなのだ。
昔のビデオで、画面も汚いのに、そのリアリティはその場でしか作れない
緊張感なのだ。
そして、35年前の原田モモヨは、次の曲を始める。
「今日最後の曲です。
♪忘れないわ~あなたの事を~
いつも優しい笑顔を見せてくれる
♪忘れないわ~あなたの事を~
どんなに悲しい思い出だととしても・・」
彼女のラストシングルである「ラストダンスに愛の詩」
ちなみにベスト10の一位を3週維持し120万枚のヒットになった。
詩はサビに入っていく
♪悲しみに縛られた私の思いは 空高く消えてゆくよ~
だけど永遠にあなたは心に いつまでも~
「高木さん、そろそろCM入りますよ」
モモヨの過去素材で、視聴者的には、ノスタルジーが充ち溢れてる。
そして・・・・CMに入った。
どうなんだ!どうなんだ!ここが勝負だぞ!
「高木ちゃん!モモヨ邸から中継入ったよ!!ノムチャンからだよ」
そうか!来た来た!リアルのインパクト直撃!
「判った!CM明け、中継に切り替えて」
「はい!」
CMは後30秒しかない・・・チェックする時間もない・・いちかばちかだ。
「戻りまで10秒前・9・8・7・6・・・・」
中継カメラは、顔を切って、胸元を狙っている。
ノムチャンの好きなやり方だ・・しゃべり始めたら顔にパンナップしていく。
「4・3・2・1・・・・」
OAが戻ってきた。
どうなるんだ・・・
「・・・・・」
いきなり5秒の沈黙・・・
「お~い、しゃべんねえよ」
「どうします?顔出しちゃいます・・」
みんな結構焦っている・・・
「あと10秒待って!」
「9・8・7・6・・・・」
・・・・これはやばいかも・・・
ここに来て、だんまりは、辛いぞ・・・
そろそろスタジオに切り替えざるを得ないか・・・
と、その時だった。
「こんばんわ。原田モモヨです」
やった!カメラもすでに顔を画郭に捕らえている。
「綺麗だね・・・40歳には見えないよ」
スイッチャーがつぶやく。
当たり前じゃないか・・・彼女はプロの大スターなのだ。
決心してしまえば、メイクもしゃべりも、全てスター仕様で整えてくる。
「今日は35年ぶりのテレビで、
しかも生なので さすがに緊張しています」
どうなるんだ・・・
「皆さん、今日、私は大切なことを、皆さんにいわなければなりません」
引退の時と同じ台詞じゃないか!
遂に子供の事を話すのか???
「今日、私は、この番組で、芸能界に戻ります。」
えっ、それできたか!!
「この歌を私の息子に捧げます。」
最初の歌が始まる。
フォークの神様がギターを奏でて、ダンスミュージックの仕掛け人が
ピアノで伴奏する。
始まった歌は、花・・・・1980年に喜納昌吉&チャンプルーズの曲。
なんとライ・クーダーがギターを弾いている。
世界60か国以上でカバーされている名曲だ。
♪川は流れて どこどこ行くの 人も流れて どこどこ行くの
で始まるこの曲は、ずばり沖縄の曲だ。
なぜ、こんな歌を選んだのか・・・・その意味を感じた。
そして、さびにかかってくる。
♪ 泣きなさい 笑いなさい いつの日か いつの日か 花をさかそうよ ...
彼女は、殺人の事も、息子の事も一切話さない。
ただ、歌うだけだ。
それが彼女の選んだ贖罪なのだ。
もはやスタジオのサブは、静まり返っていた。
だが、世間は大騒ぎだろう。
伝説の女王が、そして悲劇の主役が、生で登場したのだから。
考えても見てほしい。
あの沖縄の話は、とうに判決が出ている。
それに不倫も不肖の息子も、彼女にとってはふりかかった不幸。
探れば、探るほど、悲劇のヒロインとされるはずだ。
沈黙を続けてもよかったのかもしれない。
だが、彼女は、身をさらすことを選んだ。
自分が一線から消えたことは、時間を少し求めていなかった。
むしろ彼女の利権に人はたかり、彼女の血縁は怨恨を生み
時間は流れていたことを知ったはずだ。
だからこそ、表に出て、歌い続けて、息子をはじめ
かかわった多くの人に思いをのせる。
そういう事なのだ。
ショーマストゴーオン
死ぬまで彼女のショーは続く、そして彼女は、愛と悲しみを歌い続けるのだ。
花の演奏が終わり、フォークの神様が口を開いた。
「みんな、彼女に拍手を・・・」
数人しかいない、中継班のスタッフの拍手が入ってきた。
横からTKが叫ぶ。
「放送終了まで、後5分」
みんなは、彼女の告白?釈明?そんなものを求めて見つめている。
だが、静かに楽器がチューニングされ次の曲が始まる。
・・・やべえな~告白はしないつもりだな・・・・
で、モモヨは、歌で応える。
俺は、そんな落とし前もあっていいと思う。
彼女は、最後の歌を歌い始めた。
♪忘れないわ~あなたの事を~
いつも優しい笑顔を見せてくれる
♪忘れないわ~あなたの事を~
どんなに悲しい思い出だととしても・・
ラストシングルである「ラストダンスに愛の詩」
そして、35年前の原田モモヨがあの引退の時に歌った名曲だ。
彼女は、あの日、歴史を止めた歌を、再開の歌として選んだのだ。
詩はサビに入っていく
♪悲しみに縛られた私の思いは 空高く消えてゆくよ~
だけど永遠にあなたは心に いつまでも~
俺は気づいていた。
この歌は4分45秒ある。
つまり、番組は、この歌のエンドまでいって後15秒という事。
おかげで、モモヨの告白がとれるから番組をやってくれと言った
メンツは丸つぶれ。
局のプロデューサーも、さぞ怒っているだろうな~まっいいか?
最後のさびが繰り返される
♪だけど永遠にあなたは心に いつまでも~
だけど永遠にあなたは心に いつまでも~
曲が終わった。
「15秒前です」
モモヨは、にこりと笑った。
「後10秒です、8,7,6,5,」
モモヨは、一礼をして一言。
「みなさん、ありがとう」
で、番組はエンドマーク入れて終わり。
「番組終了まで5,4,3,2,1・・」
「お疲れ様でした」
「お疲れ様でした」
「お疲れ様でした」
そこら中で、お疲れ様でした!!の嵐。
生放送は、これで終わりだからいい。
収録番組だと、ここから編集所に2週間はこもる。
充実感に包まりつつ、俺は、まいっていた。
なんせモモヨの生中継は20分に及び、当初の10分をはるかにオーバー。
6分のVTRがオジャンになり、スタジオのトレントのまとめのコーナーも
ぶっ飛んだ。
これも、予算という点と、タレント行政的には、
すぐに局とタレントに謝罪しなきゃ・・・
で・・・こわごわ局Pの顔を見ると、
おっとピースサインを送ってきている。
こいつの頭は、明日の視聴率発表だけだ・・・・
まあいいや、20%超えたら、盛大に打ち上げだ。
なのでほっといて、タレントの所に急行・・・
「よかったよ、高木ちゃん・・・原田モモヨ最高じゃない」
「すみません、エンディング飛ばしちゃって」
「いいよいいよ・・わかってる??これって歴史的瞬間だよ」
「そうそう・・その番組に出られただけで最高なのよ」
どうも、俺は歴史的な番組を作ったらしい・・・・まあ、いいか??
翌日の視聴率は、3時間で平均26%、前半は18%前後だが
モモヨ登場以降平均42% 瞬間最高48%だそうだ。
まあ、これでとりあえず、最後をモモヨの生で通したことに
文句を言うやつはいない。
むしろ、著名ミュージシャンがバックバンドを買って出た事が
音楽界で話題になって盛り上がっていた。
「高木ちゃん、やったね」
「すごい番組だったよ」
賞賛の嵐とは、裏方には気恥ずかしいものだ。
そして、その賞賛も3日で終わった。
復活したモモヨは、全国88ケ所のツアーを発表した。
八十八ヶ所の巡礼お遍路みたいだな・・・
まあ、そう言う事なのだろう。
そして彼女は、無料の音楽配信で毎月新曲を出し、年間800万ダウンロードを
達成し、CDは300万枚のヒットを記録・・
なんと10億以上も稼いだ・・だが、その90%を寄付していった。
その人気は、中国韓国も席巻し・・・東洋の女王となる。
そして、俺は1ケ月もすると、またニュースのコーナーに舞い戻り、
まるで、何もなかったかのような人生に戻った。
「高木ちゃん~元気?」
船越警部からの電話だ。
「何かあったんですか・・・やりますよ。今金もないし。」
さあ、次の仕事、仕事・・・・
☆☆☆☆☆☆☆
だが、歴史は繰り返す。
秋葉の地下のカフェで、ある男がアイドル衣装の娘に迫っていた。
・・・・えっ、AVですか?
・・・・ああ5本だ。
・・・・そんな私約束してない
・・・・だって、うちと契約したよね。
・・・・いえ、それもいいかもって言っただけですよ。
・・・・口約束でも契約は契約だからね。
違約金が発生するよ。
・・・・いくらですか・・・
・・・・3000万円現金で払ってもらう
それだけ金がかかってんだよ!!!
また、アイドルが脅されている。
よい子の皆さん言っておこう。
デビューにいくら金がかかっても、それは会社の責任。
さらに契約は取り消すことも出来る。
さらに、言っておこう。
そんな簡単にはスターにはなれない。
そこに、殺しさえもありうる戦場だ。
アドバイスは一つだけ・・・・運も実力のうち!
それだけだね。
後は、時代が君を認めるかどうか・・・・それだけ。
処女作品という事で、いろいろ未熟な点をお許しください。
いつか書き直していきます・・・・こっそりと




