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あの頃テレビ 1987 prat 1 グッドオールディズ

あなたはあの時代を覚えていますか・・


「全国ネット、19時から3時間特番、

予算6000万、スタジオは第1と第3

スタジオと技術は局持ち」


放送日と予算が決まって、いよいよ番組は加速度的に動き出す!


「高木ちゃん、原田さんの出演は、

本当にシークレットでなくていいの?」


「大丈夫です」


「彼女と打ち合わせは?」


「いえ、それは断られました。

彼女の指定する場所に中継車を

出すと言うのと、最低5分は出演する

それだけです。そこで何をするかも、

彼女に任せると言う条件です」


実は、原田モモヨとは、あの後一度しか話していない。

日時を押さえただけ!

あとは、任せると言われただけ!


局が求めている理想は、犯罪者の母親であるスターが、テレビを通じて、贖罪をすると言う事。


だが、謝るとは本人はもちろん、俺も一言も言っていない。


それでも、注目のスターが、生で出ることが重要なのである。


そこで、何かをしゃべったら成功。


しかも、こんなデリケートなスターなのに、出演演すると言う番組宣伝は許可されている。


「大丈夫だよな?

ちゃんと出てくれるよな」


周りは不安で、俺に何度も聞いてくる。そのたびに・・


「もちろんです」


とは答えるが、自信はない。


電話では出ると言った。それ以降、放送日と時間を伝えただけで・・・・







ここにページを追加



ここに章を追加





123ページ


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俺は仕込みとサブだしのVTRの編集でほとんど寝ない日々。


サブだしVTRだけで、正味90分あるんだ。その為に6班に分かれのべ50チェーンが、ロケに出て、約100時間分の素材と、さらに過去のフーテージが150時間分。合計250時間を一人で見ると、寝ないで10日間以上!これも4班で粗い抜きをしてもらうが、12時間分にするのに、1週間かかる。


そして、ここから俺がオフライン編集するが、それだけで、寝ずに1週間かな?


さらに、ここまで、規模が大きいと、

台本の打ち合わせに、ペン入れ、

さらに、技術打ち合わせ、美術打ち合わせが、週に一度!

つまり、寝ないでも、こういう2~3時間の会議が1日2個はあるから、

オフライン編集は3週間位かかる。


そして本編集が入り、さらにリハーサルの準備・・・・

これが並行して行われて・・・


そんな時に、また聞かれる・・


「大丈夫だよな?ちゃんと出てくれるよな」


「もちろんです」


一度スターが、出るといったら任せるしかないのだ。


むしろしつこく確認すると、信用していない話になり、

出演拒否・・・全部ひっくり返る可能性さえある。


相手は、伝説のスターだぞ。


そもそも、当日体調が悪くて、ドタキャンなんて

あるいは、飛行機が遅れて出演不可能とか

生では当たり前のこと・・・・何を心配しているんだ。


後は、野となれ山となれだ。

それがテレビ屋というもの・・・アクシデントも覚悟はしてるぜ。


放送前々日に、通しのリハーサルを敢行。


原田モモヨ登場の部分だけは、中継車がどこに行くかは当日という事にして、

ダミーでリハをした。


さていよいよ、番組が始まる。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


リハーサルを終えて・・・さて、いよいよ本番だ!


俺は、メインのスタジオとなる局のスタジオサブに座る。


サブとは、


そして、そのセンターにチーフディレクターとして座ると言う事は、

俺の一言に全員が従うと言う事。


タイムキーパーが時間をつかさどり、それを聞きながら、俺はカメラにサイズを指示したり、VTRの出しやCGのタイミングを指示したり、放送中は、休む事はない。

スイッチャーは、いくつもあるカメラの映像から、最も流れに適したものを選ぶ。おかしい絵なら、カメラの指示も出すのがチーフディレクター。


格好いい感じに聞こえるが、忙しさは半端ではない。

しかも、責任も全部被るのだが?


「タレントさん入りました」


「照明アップして」


「本番30秒前」


「頭の台詞MCに確認して」


「フロア、カンペは大丈夫」


「頭、MCの2ショットからでしたっけ」


「変えていい、ルーズ俯瞰からにする」


「OK」


「10秒前、,8,7,6,5,4,3,2,1 キュー」



まずは、オープニングタイトル・・・15秒。


開けると、メインの第1スタジオに、35年前・・・当時の衣装で、

宝田順二と田中ユキ登場。


宝田順二は、コミック劇団出身、苦労人だが、バラエティで体を張った

レボートが一世を風靡、演技力にも定評のある60歳。


田中ユキは、フォークソング歌手としてデビュー、ラジオのDJとして

人気を博し、これまたバラエティで姐さん的立場で活躍する55歳。


スーパーで1987という文字が出る。


35年前のニュースショーが始まる。


「皆様、いかがお過ごしでしょうか?1987年10月20日。

 ゴールデンアワーのアイドル宝田順二です」


まあそんな時代にそんなワイドショーはないが、適当につけた。


「学生のアイドル、田中ユキです」


「ところで、ユキさん、今日のお召し物は、なかなかですな。

 さすがトレンディ!」


「ワンレンボディコンですわ、、宝田さんも年甲斐もなく渋カジで、

 まさに最先端を突っ走ってますね」


「イケイケですな。最近、六本木ではディスコで照明落ちて人がお亡くなり

 になったりしてますから、イケイケのお嬢さん 気をつけてくださいね。

 ところで、最初のニュースは、相変わらずリクルート事件からですね。」


「おお懐かしいじゃなくて・・・・今年は夏はこの話で持ちきりでしたからね。

 12/9に宮沢蔵相が辞任されましたからね・・・今度はなんですか?」


「今日27日、竹下内閣が決まりました、法務大臣は長谷川峻、

 外務大臣に宇野宗きち、

 てな感じ、巷では改造竹下内閣といわれてますが、評判悪いですな」


「長谷川さんあたりがどうもやばいらしいですよ」


「あんたなんで知ってるのよ」


「カン、カン・・・・大晦日近くがやばいらしい」


「僕は、逆に宇野さんなんて、首相になる器だと思いますが・・・」


「ええ、年号も変えるような大きな器だと思いますよ」


「何予言してるのよ。あんたは細木さんかい?」


「えっ、それは誰ですか????」


「私の隣に住んでる。和子さんの占いよく当たるんですよ。

 次のテーマは、おっ、今日はミュージック大賞の日でしたね

 中継のキムラサン」




ここで、音楽番組の登場だ。


これは隣の第2スタジオにセットを組んでいる。


「こんにちは、木村文彦です」


これが、白髪交じりの72歳なのだが、当時は若手のアナウンサー。

長身でインテリ、ウィットにとんだ会話で当時の主婦のハートをわしづかみ。


その後、ニュース番組の顔となり、日本を代表する文化人。


そんな木村氏も、原田モモヨが出るのなら・・・と

この役割を引き受けて入れた・


「今日は、今人気のアイドルにニューミュージックのアーチストなど

 続々詰めかけてくれています」


って、スタジオのなつかしのアイドルをカメラで抜く。

衣装は昔のままなのに、老けている。

その頃20才のアイドルは55才だから不気味ではある!


「話題のミュージック大賞も迎えること39回目、1987年の今年は

 サザンはお休みでしたし、BOOWYは解散するらしいし、

 小室のTM NETWORKはGet Wildでブレイク

 ってのも忘れちゃだめだね。

 さらにマイケルジャクソンは来日するし音楽界は活発な動きでした。

 とにかくここ武道館には2万人の老若男女が押し寄せて、

 押すな押すなの大盛況

 ・・・・・通りは、大渋滞だそうですよ」


で、35年前の渋滞の絵をインサート。

ハイビジョンではないから絵が汚い。


「はたして、今年のミュージック対象を獲得するのは、誰なのか?

いよいよスタートです」


なんて感じで、番組内でもう一つの、当時の番組が始まる。


そして今度は当時のお茶の間に切り替える。

これは、第5スタジオ・・・小さなスタジオに部屋セットだ。


ここにページを追加



ここに章を追加





127ページ


編集 画像 削除



絵は、同棲中の大学生カップルの部屋。


ぼろーい時代物のアパートのイメージで、忠実にその時の衣装を着せた

イケメン俳優と女芸人で仕込んでいる。


「きょうのミュージック大賞って、長渕は出るの」


「いや、今年は光ゲンジらしいよ。」


「光ゲンジって、子供の父親はどっちって、あの光ゲンジ?」


「おいおい、何の話だ・・・」


たまに現代のネタを交えるのは、こういう番組のポイント。


「だって今年は、酒よで吉幾三だろ~」


「知ってる・・・あの曲のサビってチャイコフスキーこの交響曲とそっくり」


「泉谷の春夏秋冬はオーティスのドッグオブベイで、

 ドリカムのラブラブラブはアルバート

 ハモンドの秋風のコンチェルトだし、みんなリスペクトよ、リスペクト」


「あんた、ドリカムは1991年デビューよ、何を言ってるのよ」


ここで吉とチャイコフスキーを流す・・・・う~ん似ている!


「それよか、これみてよ。。買っちゃった」


「何、ティファニーのスターリングドロップじゃない???幾らしたのよ」

 それより、あんた、どこにそんなお金あったのよ

 でも、家賃はちゃんと割りかんよ」


「まあまあまあ・・・明日もカンバルンバ」


さりげなく、バブルな日々の値段を紹介して。。。音楽を流して、

昔を喚起させながら、彼らの後ろの本棚には、村上春樹「ダンスダンスダンス」吉本ばなな「キッチン」広瀬隆「危険な話」村上龍にいとうせいこう・・・・

これもアップにして・・


さあ次はライブ会場に・・・・カメラを切り替える。




中野サンプラザに大群衆・・・・・

モモヨのポスター。


そこにトレンディ俳優の玉田勝登場。


原田モモヨの35年前をここに再現する。


この4つの場所をつないで、さらにvtrを入れながら番組は進行する。


トレンディ俳優は、暗い中進み、席を探している。

まわりには、仕込みのエキストラが、400名。

一人5000円でエキストラ代だけで200万。


「23列のF・・・・・」


舞台から、原田モモヨの歌声が・・・・

やっと席に着いた。


ここでスーパーとナレーション


「・・・・そして30分後、あの歴史的な事件が起きた・・・・


    今夜あなたは、タイムマシーンに乗り込み、

    20年前の同じ日の同じ時間をテレビの中で時間を目撃する。

    これぞ、まさにタイムトリップ番組。


          あの頃テレビ1987」


やっとオープニングVTRだ。



都合3つのスタジオと、このライブ会場の4次元中継を中心に

さらに中継車からの映像と、サブだしVTRを交えながら、番組は進行していく。


今のところ出だしは上々だ。


局も、視聴者も「原田モモヨはどこで出てくるのか・・」しか

気にしてないとしてもだ。


もちろんその準備も・・・ぬかりなく進めている。


本当に出てくれるのか・・・それは俺にもわからない。


大スターは、気まぐれなものだ。


隣で大きな声でタイムキーパーが叫ぶ


「CM明けまで2分・・・」


「次ニューススタジオ行くよ~」


いよいよショーが開幕だ。



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