手紙を第二の自分へ
掲載日:2026/07/11
筆のキャップを、ポンッ、と外して。
目下の純白の紙に、黒いインクを馴染ませた。
『第二の自分へ。
毎日が楽しくて、悩みなんてありませんか? 悩みといっても、楽しい悩みですか?
嫌なことから逃げるために、誰とも知らない女の裸を見て、無駄な労力を増やしていませんか? する暇がないほどやりたいことをしていますか?
1日1日進化していますか。ゴミ箱に消しカスを捨てるように日を跨いでいませんか?
それらができての第二の自分です。頑張ってください。
自分より。』
筆を置いて、ベランダから覗く夜空を眺める。幾つもの星が煌めいていて、宝箱の中身のようだった。
世界は相変わらず綺麗だった。俺を置いてきぼりにして。
横にあるコップに、ゆっくりと口をつけて、傾けた。




