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【第4章】未来人、完璧至上主義にガチギレする

未来人は街の大規模ショッピングセンターの前で立ち止まっていた。

巨大なガラス張りの建物。

完璧な照明配置。

ブランドごとに寸分のズレもない陳列。


未来人は静かに口を開いた。


「……よくもまあ、ここまで“同じもの”を量産できたな。」


その声はまだ落ち着いていた。

だが、その落ち着きは“嵐の前の静けさ”だった。


未来人はエスカレーターに乗り、

整列した看板、統一された広告、

同じフォント、同じ配色のディスプレイを見上げた。


そして——キレた。


◇ 未来人、エスカレーターで爆発


「おい現代人!!!!」


エスカレーターの中央で突然叫んだ。


通りすがりの客が全員振り向く。


未来人は怒りを抑える気ゼロで、

ガラスの壁を指差した。


「なんだこの “揃ってればOK” っていう

“思考停止の宗教”は!?!?」


急に怒鳴るから通行人がビクッとする。


未来人は止まらない。


「誤差が怖い? 歪みが怖い?

ムラが嫌い? 均一じゃないと不安?

じゃあ聞くが——」


未来人は階段を一段飛ばしで降りながら叫ぶ。


「お前らの人生、そんなに均一だったか!!!!」


客がざわつく。


未来人の怒りは理路整然としていて、逆に怖い。


「人間の心は揃ってねぇ!

生き方なんて歪みだらけ!

感情なんてムラだらけ!

なのにどうして“外側”だけ完璧に揃えようとすんだよ!!」


未来人はフードコートのテーブルを指差した。


「全部同じ形、同じ高さ、同じ色。

これの何が“安心”なんだ?

これのどこに“美しさ”がある?」


通行中の家族連れが立ち止まる。


未来人は胸を張って言い放つ。


「揃えることしかできない社会は、

考えることを放棄した社会だ!!」


◇ 未来人、家電量販店でさらにキレる


次に入ったのは家電店。

壁一面に並んだテレビが全て同じ映像を流している。


未来人はしばらく黙って見つめ、


「……。」

と小さく息を吸い、


「これ、洗脳施設じゃねぇか!!!!」


と怒鳴った。


店員が慌てて駆け寄る。


「お、お客様!?」


未来人は指を突きつける。


「“選択肢が多い”ように見せて、

形も色もスペックも全部同じ。

これは選択じゃない。

“選ばされてる”だけだ!!」


店員が口を開こうとすると、


「黙ってろ、君のせいじゃない。」


と言って手をひらひらさせた。


未来人はさらに畳み掛ける。


◇ 「完璧」とは“管理しやすいだけ”


「現代社会の“完璧”はな、

美しさではなく“管理しやすさ”なんだよ!!!!」


その瞬間、近くで聞いていた大学生が

「確かに……」と呟いた。


未来人は指を二本立てて続ける。


「完璧な形、均一な色、等間隔の配置。

これは“間違えにくい”“クレームが来ない”。

ただそれだけの理由で作られてる!!」


未来人は片手で天井を指し、叫ぶ。


「創造性ゼロ!!!!

そのくせ“美しいデザイン”とかほざくな!!!!」


周りの客数人が拍手した。


◇ 最後の一撃:未来人、現代に宣告する


未来人は深呼吸し、

怒りを静かに燃やしたまま言った。


「揃っている世界は、

一見、秩序あるように見える。」


少し間を置き、

静かに、低く。


「だが、それは“死んだ世界”だ。」


客たちが息を飲む。


未来人は歩きながら宣言する。


「歪み、ムラ、ズレ。

それは“生命の証拠”だ。

揃ったものより、揃っていないもののほうが

未来になり得る。」


そして振り返り、叫んだ。


「完璧を求めるな。

未来を殺すな。

歪みを抱えたまま前へ進め!!」


その姿は一瞬、

街のネオンよりも輝いて見えた。


未来人は颯爽と立ち去る。


次の破壊現場を探すために。

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