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2話

東京の全てを見た空は、現代の地球に溶け込むため、姿を変えた。神のような姿から、軽いポップな服装に変化させ、都会の若者のような雰囲気を纏った。だが、彼の瞳は深淵そのもので、どんな人間もその視線に触れれば無意識に恐怖を感じるだろう。空は自らの力を抑え、地球上のすべての存在を一瞬で認識した。人間、覚醒者、魔物、ゲートの波動――そして、南極の氷の下に潜む、最も強大な存在。その力は、空にとって取るに足らないものだったが、この世界では際立っていた。「いいね。まずはそこから見てみるか」

空は一瞬で空間を歪め、南極の極寒の地に移動した。目の前には、氷に埋もれた巨大な黒い扉がそびえ立っていた。禍々しい紋様が刻まれ、ゲートの魔力とは異なる、もっと原始的で重い力が漂っている。空は迷わず扉に手をかけ、軽く押した。軋む音とともに扉が開き、闇の中から圧倒的な存在感が溢れ出た。

そこにいたのは、アビスと呼ばれる生物だった。竜のような姿だが、黒い鱗は光を吸収し、目に見える者によってその姿は異なる。強者には威厳ある竜として映り、凡人には黒いモヤのような得体の知れない怪物に見える。アビスは、何百年もこの地球の裏側で世界を監視し、操ってきた存在だった。彼は空を見下し、驚愕の声を上げた。「こんなところに人が来るとは……気配を全く感じなかった。我の名はアビス。この世界の支配者だ」その声には、傲慢さと余裕が滲んでいた。空をただの人間と見做し、舐めるように言葉を紡いだ。

だが、空は微笑んだ。「ふむ。支配者、か」次の瞬間、彼は自らの気配をわずかに解放した。それはほんの一瞬、ほんの一端の力だった。だが、その刹那、世界が変わった。地球上のすべての生物が、理由もなく死の恐怖に震えた。覚醒者たちは膝をつき、魔物たちは巣に逃げ込み、ゲートさえも一時的に収縮した。アビスの前に立つ空は、もはや人間の姿を借りた何かではなかった。彼の存在は、世界そのものを圧倒する絶対的な力そのものだった。

アビスは動けなかった。竜の姿が震え、黒いモヤが揺らぎ、恐怖と絶望が彼を縛った。「貴様は……何だ? 我は……我はこの世界の最強だ。なのに、なぜ……」彼の声は途切れ、理解を超えた存在を前に、初めて自身の矮小さを思い知った。

空は穏やかに言った。「君から感じた力が一番強かった。おそらく、君がこの世界を管理しているのだろう。この世界を操る核があるはずだ。それを見せてほしい」その言葉に逆らう選択肢はアビスにはなかった。彼は這うようにして空を巨大な氷の回廊の奥へと案内した。そこには、青白く輝く球体――世界の核と呼ばれるものが浮かんでいた。ゲートの発生、魔物の出現、覚醒者の誕生――すべてを司るこの世界の中心だった。

アビスは空を逆らえない存在と認め、即座に膝をついた。「どうか我をあなたの下僕としてお使いください。この世界を支配する者として生きてきたが、あなたの前では無力です」空は小さく笑い、頷いた。「いいだろう。この世界を観察するのに、案内役は悪くない。アビス、君の願いを認めよう」

空は核から放たれる情報を一瞥で吸収し、満足げに呟いた。「これからこの世界を大きく変える。その前に、もう少しこの世界を見て回ることにするよ。アビス、君はどうする?」

アビスは即座に答えた。「ぜひともお供させてください!我も、このような生活に飽き飽きしていたところです!」その声には、恐怖を超えた興奮が宿っていた。こうして、空とアビスは、現代ファンタジーの舞台を巡る旅を始めた。世界はまだ、創造主の意志が動き出したことを知らない。




キャラクター紹介

アビス

概要: 地球を裏から支配する存在。何百年も生き、ゲートの出現とともに世界の均衡を操ってきた。覚醒者や魔物の上に君臨する最強の生物と自負していたが、空の登場でその認識は崩れ去った。

外見: 強者には黒い鱗と鋭い爪を持つ巨大な竜の姿に見えるが、凡人には黒いモヤのような不定形の怪物として映る。

性別: 男

性格: 傲慢で自信家だったが、空の圧倒的な力に恐怖と敬意を抱き、忠誠を誓う。支配者としての生活に退屈していたため、空との旅に興奮を覚える。

役割: 空の案内役として、世界を共に巡る。空の意図を理解しつつ、自身の知識で世界の裏側を補佐する。

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