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1話

本編スタートです

東京タワーの頂上、333メートルの高さに立つその姿は、まるで夜の帳に溶け込む幻影のようだった。空はそこに現れた。雨は止み、濡れたアスファルトがネオンの光を反射する東京の夜景が、彼の足元に広がっていた。風が彼の黒いコートの裾を揺らし、だが、彼の存在は誰にも感知されない。空は自らの気配を完全に消し、宙に浮かんだまま、この世界を観察した。創造主である彼にとって、この地球はかつての単なる「試作品」だったはずが、今、予想外の進化を遂げていた。

数百年前、この地球は平凡な惑星だった。科学が支配し、魔法も超常もただの物語だった時代。だが、ある日、突如として「ゲート」と呼ばれる裂け目が世界各地に出現した。そこから溢れ出した魔物たちは、人類に未曾有の災厄をもたらした。都市は崩壊し、無数の命が失われた。空はその惨劇を遠くから眺めていた。介入するつもりはなかった――彼にとって、破壊もまた創造の一環だったからだ。

しかし、人類は予想外の適応を見せた。魔物の脅威に対抗し、「覚醒者」と呼ばれる者たちが現れ始めた。彼らはゲートから漏れ出す魔力を体内に取り込み、超人的な力を得た者たちだった。炎を操る者、力を強化する者、変化する者――覚醒者たちは多様で、個々の力は些細なものだったが、その数が集まり、組織化されていくにつれ、世界は新たな均衡を築き始めた。

現代、2025年の地球は、魔物と覚醒者が共存する世界へと変貌していた。ゲートは依然として存在し、魔物は定期的に現れるが、覚醒者たちはそれらを狩り、素材を採取し、アイテムや薬を生み出す産業を築き上げていた。東京は特にその中心地だった。覚醒者ギルド、魔物素材の取引市場、ゲート管理機関――都市はファンタジーと科学が交錯する場所へと変化していた。空はそれを見て、微かな笑みを浮かべた。「面白い。僕の知らぬ間に、こんな舞台が出来上がっていたとは」

空は東京タワーの頂上から宙に浮かび、気配を完全に消したまま都市を見下ろした。渋谷のスクランブル交差点では、覚醒者たちが魔物討伐の任務に向かう姿が見えた。新宿の裏路地では、闇市場で魔物の角や鱗が高値で取引されていた。銀座の高層ビルでは、ゲート管理機関のエリートたちが次のゲートの出現位置を予測する会議を開いていた。すべてが生き生きと動き、混沌と秩序がせめぎ合う。

「さて、どう遊ぼうか」空は呟き、上空から辺りを見回した。創造主として、彼はただ見るだけでは満足しないだろう。彼の指先が軽く動けば、世界は再び変わるかもしれない。だが今はまだ、彼は静かにこの世界の鼓動を感じていた。東京の夜は、創造主の降臨を知らぬまま、騒がしく脈動し続けていた。

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