戦闘後の会話
一ノ瀬惟斗と分谷操人は訓練場を後にした。訓練を終えた生徒たちはすでにほとんどいなくなり、場は静まり返っている。その中で、月影透奈は一ノ瀬の帰りを待っていた。
月影は彼を見つけると、心配そうに駆け寄ってくる。
「大丈夫だった? 惟斗」
透奈が声をかけると、分谷に軽く睨みを効かせた。
分谷は両手を上げ、降参のポーズを取りながら目を逸らす。
「何もしてないって、ほら」
一ノ瀬は少し苦笑し、
「大丈夫だから、こいつのこと睨まないで」
と透奈に言う。
分谷は即座にツッコミを入れた。
「こいつじゃなくて先生な?」
その夜。学園は街のような構造をしていて、校舎や生徒・教員用の寮だけでなく、ショッピングができるデパートまで完備されていた。店はすべて無人で、24時間利用可能である。
一ノ瀬は寮を出て、夜の街に足を運んだ。
「……腹減った」
彼はぽつりと呟き、空腹を感じながら考える。
「何食おうかな……牛丼とか良さそう」
そんな独り言を漏らしていると、二人の人影に気づいた。即座に木の陰に隠れ、様子を伺う。よく見ると、それは分谷と久遠 遥だった。二人は少し話を交わし、やがて久遠が寮に戻っていった。
一ノ瀬はその場を離れようとしたが、背後から声がかかる。
「だーれだ?」
一ノ瀬の背後から声がして目は塞がれていた
「……はぁ。あんたの能力、瞬間移動なのか?」一ノ瀬はため息をつく。
「さて? なんのことやら」と分谷はとぼけた様子だ。
一ノ瀬はため息をつきながら尋ねる。
「何の用ですか? 用がないなら行きますけど」
分谷は目を輝かせ、突然宣言する。
「よし! 決めた!」
一ノ瀬をじっと見つめて、
「牛丼食いに行こうぜ」
と言った。
一ノ瀬は一瞬呆然とし、
「……は?」
と返すのだった。