無能力の少年
この世界は能力至上主義の世界だ....
何を言ってるのかわからない人もいるだろう
この世界、風景だけは今あなたが生きてる日本となんら変わりはないが人間たちは違う。
人間一人一人には特殊な能力を所持しており
魔力もあり、なんと魔法もある
能力とは一人一人が異なるものを持っている力のことであり
魔法は誰でも使えるような力である
そんな中無能力者と呼ばれる
「一ノ瀬 惟斗」の物語である
中学の廊下。一ノ瀬惟斗は、数人のクラスメイトに囲まれ、体を押されて壁に追い詰められていた。嘲笑や冷たい視線が彼に向けられ、誰も助ける者はいない。一ノ瀬は俯き、抵抗することなくただ黙って耐えている。見た目には無能力者として情けない姿だ。
「なんだよ、お前、能力もないくせにさ。お前みたいなのが進学なんて笑わせんな!」
一ノ瀬はただ小さく苦笑いを浮かべるだけ。しばらくして、いじめっ子たちは「もう飽きた」と言い捨て、彼を置いて去っていった。
数分後、一ノ瀬惟斗の幼馴染、月影透奈が廊下を歩いて一ノ瀬の姿を見つけると、駆け寄ってきた。「大丈夫?また、あいつらに…」
一ノ瀬は無造作に肩をすくめ、飄々とした態度で答える。「まあ、慣れっこだよ。あいつらも暇なんだろ」
彼の余裕ある様子に、透奈はほっとしたように微笑む。二人はそのまま少しの間、気の抜けた会話を楽しむ。
「そういえば、実力至上主義の高校、目指すんだって?」透奈が尋ねると、一ノ瀬は頷き、軽く笑って答える。「まあ、無理だって思ってるけど、一応目的もあるし、挑戦するだけでもいい経験になるだろうしさ」
「惟斗は、変わらないね」
透奈がその言葉を発すると、二人の姿を廊下の陰から見ていたいじめっ子たちが、冷たい目で睨みながら小声で囁く。「…調子に乗ってんじゃねぇか、無能力者のくせに…」「あの月影って奴も目障りだしな」
次のターゲットとして透奈に目をつけた彼らは、二人がその最難関の高校を目指す夢を挫こうと決意する。そして、二人に新たな試練が迫ることとなる。
放課後、月影透奈は学校の帰り道に一人でいた。彼女は周囲の人々の心の動きを敏感に感じ取っていたが、そのことが彼女を孤独にしていた。能力を隠すことが当たり前の世界で、心を通わせることができない彼女は、心の中で葛藤していた。
そんな時、いじめっ子たちが彼女の前に現れた。彼らは彼女を狙い、笑いながら近づいてくる。
「おい、月影。お前、いつも一人じゃん。友達いないのか?」
いじめっ子たちは透奈を取り囲み、侮辱の言葉を投げかける。その中の一人が彼女を指差し、嘲笑するように言った。
「お前、多分戦えるような能力じゃないな。多分、頭脳とかをなんちゃらかんちゃらする系だろ?」
「それなら十分痛めつけられるな」
透奈はその言葉に心を痛めながらも、冷静に彼らの心の動きを読み取ろうとする。しかし、彼女の心は不安でいっぱいだった。
その時、偶然通りかかった一ノ瀬惟斗が、彼女の様子に気づいた。彼は彼女を助けるために駆け寄ると、いじめっ子たちに向かって言い放った。
「やめろ。彼女に何の恨みがあるんだ?」
いじめっ子たちは少し驚くが、すぐに冷笑を浮かべて彼に向かって攻撃を仕掛けようとする。
「能力発動!!木棒変化!!」
そのリーダー格の少年が持っていた木の棒が、大きなこん棒に変わる。
「お前は無能力者だろ?これで痛い目に遭わせてやるよ!」
惟斗は一歩前に出て、こん棒を片手で止める。彼の動きは滑らかで、まるで事前にこの状況を予測していたかのようだ。
惟斗はそのまま、いじめっ子たちを冷静に制圧していく。無駄のない動きで一人、また一人と倒していく。
いじめっ子たちは次第に動揺し、恐れの表情を浮かべる。リーダー格の少年が倒れ、弱々しく惟斗を見上げた。
「なっ、なんでお前はただの無能力者のはずだろ?」
惟斗は彼を見下ろし、微笑みを浮かべながら言った。
「ただの無能力者なら、それに負けたお前なんだよ」
透奈は惟斗の姿を見つめ、彼が持つ隠された力に驚愕する。彼は感情を表に出さず、淡々と敵を倒していく。
惟斗はそのまま手を差し伸べる。
「大丈夫か?怪我はなさそうだな」
透奈は、彼の行動に心から感謝し、安堵の表情を浮かべる。