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Episode 『ある日の運営、開発側の会話』

これは本編とはあんまり関係のない、ちょっとした小話的に考えてください


■糸迷アリア


--都内某所


「ふぃー、休憩行こうぜ。糸迷(しめい)ちゃん」

「あ、良いですね。ちょっと待ってくださいフィッ……遠野さん」

「……おいおい、糸迷ちゃん。そろそろ慣れてくれた方が私としてもありがたいんだけどなぁ?」


液タブのペンを置き、休憩に誘ってくれた遠野さんに反応しようとして……間違える。

仕方がないと言えば仕方がないのだ。何故ならば、


「そんなニヤニヤしながら言わないでくださいよ……反射で出ちゃうんですから。特にハンドルネームなんてそういうもんでしょう?」

「それなら私の他の……それこそ、CNVLとか出てこないよね?」

「そっちはこう……私からすると、あんまり関わりがないんで」


現行で配信中のVRMMO『Smoker's Garden』。

過去には『Festival in Crime』なんかも手掛けた会社で、私は今働いている。

と言っても、真っ当に就職活動をしたわけではなく……言ってしまえばコネ入社のようなもの。

……まさかゲーム繋がりで、その会社の社長と知り合うとは思わなかったからなぁ。

コネと言っても、業務に関してはしっかりと注文、そして水準以下であればしっかりとノーを突き付けてきてくれる会社だ。

それこそ、コネだからと言っても特別扱いのようになっていないのが良い証拠だろう。


「どうします?鷲谷さんとかも誘いますか?」

「ハロウは……良いかな。今あっちはこの前やったイベントの始末書とか、バグ修正とかでデスマーチみたいになってるはずだしね」

「あぁー……」


同僚である鷲谷が担当しているのは、主にPvP関係に関係しているシステム。

この間行われたイベント【紫煙奇譚・壱 ~マヨヒガへの旅~】に際して開催したPvPイベントで発生、確認されたバグや、それ以外にも予想外の挙動をしたNPCが確認されている為、それらを彼女が所属している部署が確認、修正等を行っているらしい。

私はそれよりももっと前、キャラクターデザインなどを担当している為、そこまで詳しくは知らないのだが。


「ま、後で私も気になる事があるし……行ってみる?」

「何処にです?」

「この会社の社長と、ゲーム関係を支えてるAIの所」



「失礼しまーす」

「失礼します」

「……何しに来たんですか、2人とも」


私達は適当に買った昼食を手に、そのまま社長室として使われている一室へと訪れていた。

デスク上のディスプレイから目を離さず、手を動かしながら彼女はこちらへと話しかけてくる。

といっても、だ。

彼女がやっている仕事は基本的には確認作業。

その確認作業も、AIが確認したもののダブルチェック的なものではあるのを知っている。

そうでなかったら、仕事の合間合間に自らもゲームにログインして楽しんではいないだろう。


「ほら、もう時間的には昼休憩だよ如月ちゃん」

「今チェックしてたのって、次回のイベントの内容ですか?」

「あー……成程……えぇ、そうですよ。グリンゴッツ、私も休憩するからチェックリストまとめておいて。あと2人の端末に今出して良いイベントの概要のデータも送ってくれると助かるよ」

『了解した、ご主人』


彼女の言葉と共に、私と遠野の端末へと1つのデータが送られてくる。

それは、


「あ、これ私がこの前デザインした奴ですね」

「成程?【紫煙奇譚外伝 亜獣掃討】……これ私がまたアナウンス役じゃーん」

「別に良いじゃないですか、好評でしたよ貴女」


【紫煙奇譚外伝 亜獣掃討】。

私がデザインしたボスやNPCが登場するらしい、次回開催予定のイベントだ。

まだユーザー達には告知を出していないし、何なら私も遠野もここで初めて知ったレベルの話ではある。

だがこれをここでする、という事は、


「もう情報公開するんですか?」

「そうですね……プレイヤー達の遠征依頼受注率も多くなってきたので、ここらで外伝を入れようかと。その後は、定期的に奇譚の続きをこちら側で入れて、それ以外はAI制御の突発イベントにシフトしていきましょう」


ここから私の仕事が激増する、という事だろう。

何せ、今まではあまり重要ではなかった紫煙駆動都市外のキャラクター達や、それ以外に新たな敵性モブ達のデザインを延々としていく必要があるのだから。

……こーれ、後で酔寄さんにも言っとかないと間に合わないかもしれないなぁ。

いつも酒の香りを漂わせているあの人も、流石に頑張るしかない状況にはなるだろう。


「情報公開は……そうですね、生配信とかしましょうか。なんだかんだウチの会社は女性が多いですし、元々プレイヤーから引っ張ってきた人も多いですからね」

「お、じゃあ如月ちゃんと誰が出ようか」

「頑張ってる鷲谷さんとか良いんじゃないですか?」


そうして、昼休憩の時間は進んでいく。

地獄の生配信の出演者押し付け合いながら。


登場人物

糸迷:アリアドネ(Festival in Crime、Arseare)

遠野:フィッシュ(Arseare)、CNVL(Festival in Crime)

鷲谷:ハロウ(この殺伐とした魔術世界で、Festival in Crime)

如月:クロエ(この殺伐とした魔術世界で、Arseare)

酒寄:酔鴉(Festival in Crime)


もし良かったら、読んでみると面白いかもしれないです。

言っても、本編にはあまり関わってこない側の話ではあるので、読まなくても大丈夫です。

出てきても前回のようにイベントの進行役とかになるので。

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