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ボール取って

「今日は何食べよっかなー」


「もう亜美ったら優柔不断なんだから」


「えーだってどれも安くて美味しいから悩んじゃうんだもん」


 俺たちは今サイゾにいる。

 サイゾとはサイゾリア。

 安くてうまいの二拍子が売りのファミリーレストランだ。

 てか、久しぶりに来たな。


「愛斗は決まったか?」


「うーん、この人気No.1って書いてあるドリアにしよっかな」


「やっぱそれだよな、俺もそれ」


 隣に遠藤が座っていて、向かい側に須藤さん、新谷さん、宮下さんが座っている。

 須藤さんは金髪の髪の毛をハーフアップにしている。

 新谷さんはと宮下さんは少し長めの髪を下ろしている。


「そっちは決まったかー?」


 遠藤が女子3人に聞いた。


「あと亜美だけなんだけど。そっちは何にしたのよ」


 須藤さんが聞いてくる。


「俺ら2人はドリアにした」


 遠藤が答えると、新地さんはこちらを見ながら


「本当に2人は仲良いんだね」


 と笑顔で言った。


「仲良いぜ。な、愛斗」


 遠藤がこちらを見ていった。

 別に同じの頼んだだけで、仲良いはおかしいだろ。


「いやいや、今日会ったばっかりだし。そんな仲良いなんて」


 俺は仲良いって言われるのが恥ずかしくなってか、否定してしまった。


「おいおい、何でそんなひどいこと言うんだよ。悲しいぜ。愛斗ー」


 悲しそうな目で俺に訴えかけてきた。


「あはは」


 とりあえず笑ってごましておくことにした。


「今日会ったばっかりとか関係ないじゃん。量より質ってやつよ。愛斗って、なんか変なやつだし気に入ってんだよ」


「変なやつって何だよ。遠藤の方が変なやつだろ」


 ちょっとムキになって言い返した。


「何だと。お前の方がよっぽど変だし」


 俺たちが言い合ってると宮下さんが笑い出した。


「ふふ。もー笑わせないでよ。本当に面白いね。遠藤くんも江場くんも」


「本当にどっちもバカよね」


「それそれ。2人とも馬鹿ってことよ」


 宮下さんに釣られて新谷さんも須藤さんも笑い始めた。


「何だよ。みんな揃ってバカバカって」


 遠藤もそう言いながら笑っていた。

 何だろう。この気持ち。

 またサッカーをしていた時とはまた違う居心地が良いようで違和感のある変な感じ。

 これが楽しいってやつなんだろうか。

 俺は、そんなことを考えながらも心の底から笑顔が溢れていた。


 ーーーーーーーーーーーー


 量より質、、か。

 確かに、大事なのはかけた時間なんかじゃなくて、その時どんな気持ちをしていたかんだろうな。

 どんな気持ちを持ってその時を過ごしたか。

 サッカーの時も同じ。

 ただ闇雲にボールを蹴るだけと何か目標を持って、練習をするじゃかなり違ったもんな。

 そんなことを考えながら俺は帰路についていた。

 あれからファミレスでかなりの時間を費やした。

 新谷がそろそろ帰らないといけないと言ったことで俺たちはようやく帰ることにした。



 時刻は16時半。もう夕日も落ち掛けるくらいである。

 俺は、帰り道にある公園に入った。

 なぜ入ったかは、分からない。

 ただ今はまだ帰りたくはなかった。

 この公園は少し広めで、端っこの方に遊具があり、真ん中にはスポーツや鬼ごっこなどもできるような広場があった。

 その広場の端っこにあるベンチに俺は腰掛けた。

 今日は疲れたな。半日しか学校なかったのに。

 ベンチに座っているとポンポンとボールを蹴る音が聞こえた。

 俺はふとその音が聞こえた方に目をやった。

 するとそこには1人でサッカーボールを蹴っている男の子がいた。

 リフティングをしているのかボールを何度も上にあげようとするが変な方に転がっていった。

 それでも何度もボールを取りに行ってはまた上にあげる。それの繰り返しだった。

 それをしばらく見ていると、俺は昔の自分を思い出した。

 懐かしいな。俺もよくここの公園で1人でサッカーしてたっけ。

 あの頃の自分とこの少年を重ねてしまった。

 するとボールが転がってきた。


「お兄ちゃん、ボール取って!」








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