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燃えろ! ムサシ  作者: カネキ
5/14

第 5 話 江戸に着きました

 使命に燃えるムサシとサスケが、念願の江戸に到着した!


「よし! 行くぞ、ムサシ!」

「おうよ、サスケ! 急ぐだ!」


 目的の地は、もう直ぐそこだ!

 この国の平和は、俺達が守ると決意を胸に二人は力強く歩み出すのであった!




「流石、サスケだぁ。

 オラ一人だったら、まっすぐ特務機関に向かってただ」

 団子をモシャりながらムサシがサスケを尊敬の眼差しで見ている。

 そんなムサシに満足そうに頷くサスケであった。


「ムサシ、いいか、俺達は決して使命を忘れた訳では断じてない!」

「うむ! そうなのだ。 オラ達は、命を賭して使命に殉ずる覚悟だぞ」

 キリッとサスケに答えるムサシ。

「だろ?

 俺達は、この先、命がけで働く毎日が待っているよな?

 誰の為?

 人の為、国の為だ」

「オラは、この国を守るだ!」

 やる気に満ちているムサシ。


「そうだ、ムサシ。

 しかし、しかしだ。

 戦士には、休息ってのが必要だ。

 張り詰めた糸は切れやすい。

 つまり緩急ってのだが大事って事だ。

 俺達には、これから緊張の日々が待っている。

 ならば、今は、心と体を労わり万全の状態で大事に備える事が大切じゃないか?

 つまり、俺達が楽しむのは人の為、国の為って事だ!」

「流石、サスケだぁ!

 オラ、目から鱗だぞ!」

 ムサシの反応に、大いに頷くサスケ。

「決して俺達は、怠ける訳では無い!

 いいか、ムサシ。

 ちゃんと楽しめない奴は、ちゃんとした仕事が出来ない人間なんだ。

 辛い事があれば、楽しい事がある。

 振り子と同じ。

 そうでなければ釣り合いがとれないだろ?

 だから、俺達は全力で江戸を満喫した後、特務機関へと向かう!

 それが最善かつ最良の選択と言うのもなのだよ」

 ニコリと笑う詐欺師、いや、サスケがムサシに言った。

 ムサシは、大いに頷き感心しきりである。

 

「サスケ、この団子旨いぞ!」

「そうか!

 だがな、この江戸にはもっと旨い物が沢山あるハズだ!

 なにせ、都会だからな!

 野宿生活で、お前が食べさせてくれたカエルとか、虫などよりマシな食い物しかないハズだ!

 うん。

 ムサシは平気でムシャムシャ食ってたが、繊細な俺は、もう無理だ。

 あんなの、もう喰いたくねぇ!」

「オラは、爺様と山でカエルや虫を良く食べてたぞ!」

「そうか!

 可哀想に!

 それじゃ、行くぞ! ムサシ!」

「おうよ、サスケ!」

 こうして、二人は、江戸を満喫すべく行動を開始す

「……いや、可哀想って、オラと爺様は普通に食って……」

 食生活を否定された事に気づいたムサシが呆然としたが、サスケは気にせず、スタスタと歩いていく。

 こうして、二人は、江戸を満喫すべく行動を開始するのだった!



 ムサシとサスケは、好きな物をたらふく食って豪遊した。

 しかし物価の高い江戸。

 蕎麦やおでんに寿司、天ぷらと食道楽をすれば二人の持ち金など、当然、直ぐに底をつく。

 散財していても、どうせこの先、住み込みで働くんだから大丈夫と、ムサシは考えているので、気にする様子は無いようだ。

 そもそも、金の管理をしているのはサスケ。

 現金がいくらあって、残金がいくらか? そんな事をムサシが知る由もない。

 ムサシとサスケは、今を楽しむ。

 それは、若者の特権なのだ。


 

「うめぇものが沢山だな、サスケ!

 次は、何を食うだ?

 オラは、まだまだいけるぞ!」

 無邪気に笑うムサシだが、予想より食うこの男のおかげで、自分の金まで使い果たしたサスケは、まだ食う気なのか、この山猿は? と思った。

 しかし、金を管理している自分も都会の江戸にはしゃいで散財したので、ムサシを責める事など出来ようはずもなかった。

 てか、特に心配もしていなかった。


「ムサシ、少々問題発生だ」

「ん?」

 何も知らないムサシは、ニコニコとサスケを見た。


「ムサシ、金が底をついた」

「しっかし、江戸って人が沢山いるんだなぁ

 オラ、こんなに人を見たの初めてだぞ!」

 通りを歩く人の群れに驚きの声をあげるムサシ。


「……ん?」

 ニコニコとサスケを見るムサシ。

「いや、だから、金がもう無い」

 もう一度ハッキリと言ったサスケ。

 その言葉に、明らかに落胆の色を見せるムサシ。

 だが、美味しい物を沢山食べれたし、しょうがないかと泣きそうになりながらも唇を噛むムサシであった。



「……サスケ」

 もはや、これまで。

 少々残念な気もするが、特務機関へ向かうしかないとムサシは、サスケに声をかけた。


 だが!


「お前は、それで良いのか?」

 サスケはキリリとしてムサシに問う。


「え?」

 意味の解らないムサシ。

 金が無いのだから、良いも何もないではないかとサスケを見る。

 そんなムサシにサスケは溜息を吐くと言った。


「人間諦めたら、そこで終わりだ!

 ムサシ。

 この先、困難な任務に就いた時に、ダメだと思ったらお前は、簡単に諦めてしまうのか?」

 ビシッとムサシを指差しサスケが問う!


「!」

 ムサシは、雷に打たれたような衝撃を受ける。

 サスケの言葉がビンビン刺さった。


 ……しかし、数秒もすれば流石にアレっと、お前は何を言っている? と思った。

 確かに何かそれっぽい事を言われた気がしたが、現実問題、金が無い。

 諦めるよか無いだろう?

 それに日が暮れてきているし、特務機関に行かなきゃ野宿するしかないのに、めんどくさい奴だなとサスケを見た。

「なぁ、サスケ、夜になる前に特務機関に行った方が良くないか?」

 だが、サスケは、そんなムサシの言葉を意に介していないように、フフッと笑みを浮かべる。


 金が尽きて、イカれたか?


 そう思う読者とムサシを嘲笑うかのようにサスケは、口を開いた。


「道は、自分の手で切り開くもの。

 金が無いなら、……手に入れるんだよ!」

 サスケが変な事を言い出した。


「うん、何を言ってるんだ?」

 とうとう壊れたか?

 現実逃避をするなと、憤るムサシ。


「阿保!」


ピシャリ!


 ビンタされたムサシ。


「何を諦めてんだよ、お前!

 えっ?

 諦めたら、そこでゲームセットですよ!

 しっかりしろっ!」

 ビシッと言ってくるサスケに、なんで今ビンタされたの? と叩かれた頬に手をやるムサシ。


「よし、金を持ってそうな奴から少し融通してもらおうか」

 道行く人をキョロキョロと物色しだしたサスケ。


「おい、何を言い出すんだ?!」

 流石に洒落になら無い事を口にしたサスケに、ムサシも慌てる!

「勘違いするな!」

 一喝されたムサシ。


 口を半開きにして、正気かコイツと思ったムサシだが、いや待て、サスケがここまで堂々としているんだ、何か考えがあるのかも…… そう考え始めてきた。


「俺達は、命を懸けてこの国の民の為に働くよな?」

 サスケが優しくムサシに問いかける。

「そうだ。 オラ達がみんなの平和を守るだ」


「その通り。

 俺達は民の為に頑張る。

 民は俺達の為に頑張る。 

 ギブアンドテイク。

 そうじゃ無きゃ辻褄が合わないだろ?

 だろ?

 ん?」

 ムサシの両肩に手を置いてニコニコ聞くサスケ。

「い、いや、それは……」

 ムサシが口ごもる。


「俺達は、この国を、この国に住む民を愛している。

 そう、愛だよ。

 ムサシ。

 愛ってのは、与えられるものじゃない、与えるもの! なんだよ。

 愛を形にしたのが、金。

 民が俺達に与えてくれる愛を、俺達が集金する事は何一つ可笑しな事じゃないんだよ。

 むしろ、良い事さ!」


「なるほど!」

 ムサシが言っ

 いや、なるほどではない。

 速攻でムサシは詐欺師いや、サスケに洗脳されたのだ。


「って事で、ちょっと待ってろよ、俺が愛情深そうな奴を見繕うからな……」

 話は済んだので、サスケはムサシから手をどけ辺りをキョロキョロ見渡し、金を持ってそうなカモがいないかキョロキョロしだす。



「オラに、金くれ!」

 サスケが金を奪う人物を物色している最中にムサシの大きな声が聞こえた。


 サスケなりのプランがあったが、ぶち壊してくれるムサシ。

「ったく、あいつ勝手な真似を…… しゃぁーねぇーな」

 言ってしまったものは仕方がないと、サスケはムサシの加勢に向かおうと、


「……」

 ムサシがデカい男に声をかけていた。

 まるで相撲取りのような…… いや、相撲取りだろう。



「おい! さっさと金を寄こすだよ。

 サスケが金を必要としてるだ!」

 サスケを指差すムサシ。


「は?」

 指を指されたサスケ。

 相撲取りがサスケの事を睨んでいる。


「……君、ちょっと待ってるでごわす」

 くぐもった声で相撲取りがムサシに言った。

「なんだ、デブ。

 用事か?

 よし! オラは話が分かる人物だから待ってやるだ。

 だけど、用事が終わったら早く金を出すだよ!」

 腕組してムサシが相撲取りに許可した。


 

「おい、おいおい、おい! こっちくるぞ」

 サスケが言った。

 自分にむかって相撲取りがズンズン向かってくるではないかと焦るサスケ。

 そして、


ザッ――


 相撲取りがサスケの目の前にきた。


「おまんが、あの子をけしかけたでごわすな?

 あんな事をさせて、何を考えてるでごわすか?」

 サスケを見下ろし相撲取りが言った。


「え? いや、僕は、そんな事は……」

 アワアワとサスケが言っ

「言い訳するなでごわす!!」

 言葉と同時に相撲取りにビンタされるサスケ。



 屍に対抗しうる力を得る為、特殊訓練を幼き日より受けていたサスケ。

 そんな彼である。

 並みの相撲取りの攻撃であれば、そこまでダメージを負う事などないのだ。


「ムサシ! ちょっとこい!」

 左頬をパンパンに腫らしたサスケがムサシを呼ぶ!

 ビンタした相撲取りは並みの相撲取りでは無かった。


 ヤクザ風の男に声をかけようとしていたムサシが、オラ? と自分を指差しサスケの元へ。


「サスケ、さっきのあのデブ、逃げていきやがっただな!

 ちょっと待ってろって言われたから、待ってたのに!

 でも、心配すんな。

 今度は、あの男からオラがちゃんと金を貰うから!」

 憤懣遣る方無いムサシ。

「いや、ちょっと落ち着こうか。

 取り敢えず俺の指示に従ってくれ」

 もう痛い目に合いたくないとばかりにサスケはムサシに言った。


「いいか、お前は、そこにいて動くな!

 いいな。

 絶対だぞ! 動くなよ!

 俺が行くから! 舐めんなよ、この野郎!」

「解っただ!」

 なぜサスケがこんなに怒っているのか、ムサシは意味が解らない。

 だが、素直なムサシは大人しくちょこんと体育座りで待つことにした。


「クソッ!

 ムサシの野郎、あんなのに声をかけやがって!

 しっかし、やはり江戸は凄いな。

 一般人でも、あんな化物がいるのかよ?

 ……これは、慎重に人を選ばないと」

 サスケはイラつきながらも物色の手を休めない。

 抵抗してきても、自分が痛い思いをする事の無い、弱そうで金を持つ男を探した。

 何故、男を狙うのか?

 それは、か弱い女から金を巻き上げるのは、悪党のする事だとサスケが考えているからだ!

 どちらにしても犯罪なのだ。


 そこに、小柄な男が通りかかる。

 年齢は上でも自分より少し小さいか?

 しかし、変わった着物を着ているし、金持ちに違いないとサスケは思った。

 狙いは、決まった!


「おーい、おっさん! お前だよ、小さいおっさん」

 サスケが小走りにその男に声をかけた。


「……ん?」

 洋装のその男がサスケの声に振り向く。


「よう、おっさん。

 金、貸してくれよ」

 ニコリとサスケが手の平を差し出す。


「俺は、おっさんじゃねぇ。

 まだ、20代だ」

 男が答えた。

「ああ、そう。

 どうでも良いから、早くだせよ。

 こっちも忙しいんだからさ」

 

「……」

 サスケに冷たい視線を向ける男。


「はい、はい。

 睨まない、睨まない。

 いいから出せ。

 大人しくだしといた方がいいぞ」

 一向に金を出さない男にイラつきながらもサスケが言った。

 向こうでは、体育座りしたムサシがこっちを見ている。


「……大人しくださないと、どうなる?」


「はあ?

 頭悪いね、お前も。

 痛い目に合うって事。

 嫌だろ? 痛いの。

 ほら、解ったら、さっさと、ほれ」

 差し出した手をヒラヒラさせて催促するサスケ。


「……いいだろう」

 男がサスケの差し出す手に、

「そうそう。

 そういう素直な態度でだ…… なっ?!


ガッ!


 サスケの手首を掴み、足を払う男。

 クルッと一回転するサスケだが、かろうじて着地――

「っこのッ!」

 頭をあげようとしたサスケの目の前に、男の足が!


ドガガァーー!


 男の蹴りが顔に入り、サスケが吹き飛ぶ!


「サスケ!」

 ムサシが立ち上がる!


「……仲間がいたか」

 ムサシに視線をやった男。



「……つつ。

 おい、おっさん。

 何処に行くんだよ?」

 サスケが膝をついて立とうとしていた。

 

「俺の蹴りを受けて、立とうとするか。

 ガキの癖に少しはタフだな」

 サスケを見下ろし男が言う。


 サスケは、地を這うように低く構え、背中の刀に手をかける。


「ジョブは、ニンジャタイプか。

 構えは悪くない。

 おい、お前。

 あっちのちっこいのも同じか?」

 男がサスケに聞いた。


「……」

 サスケは黙っているが、視線は、男から外さない。

 その時である。


「どうしましたー?」

 サスケと男の前に現れた初老の男性が男に声をかけてきた。

 男と同じような洋装をしている。


「お仲間、登場かよ!」

 初老の男と目の前の男を交互に見て、悔しさの滲む顔のサスケ。


「心配するな。

 ムラタは手を出さないから、来い。

 お前のような奴には、教育が必要だ。

 柄じゃ無いが、相手をしてやる」

 男に言われ、サスケが初老の男を見ると頷いていた。


バッ!


 ブンッ!


「外しただ!」

「さっきのガキ!」

 男が体を逸らし、ムサシの刀が空を斬る!

 サスケの危機を感じたムサシが不意打ちしたが、男に避けられた。

 爺様にも勝てた自分の剣が当たらなかった事に動揺を見せるムサシ。


「隊長ーー!」

 突然の襲撃!

 刀で斬りつけてきたムサシを見て、ムラタが叫び、自身の刀に手をかけた。


「ムラタ、動くな!」

 近寄ろうとしたムラタを制する男。


 こちらを見ているムサシとサスケを男は、冷たい視線で見ている。


「……おい、ガキども。

 お前達は、よっぽど教育が必要なようだな」

 日ノ本特務機関 東部方面部隊 クロガネ分隊 隊長 クロガネがムサシとサスケを見下ろしいった。

どうしようもないムサシとサスケ。

大丈夫か?!

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