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二四戦目


 研究所……の最深部か最深部付近と思われる場所にあるとされる謎の空間。天井から壁まで黒一色、薄気味悪い赤いライトの中でいくつものモニターが並ぶ無駄に広いその空間に鬼灯潤也はいた。

 

いくつものモニターの中にはギガンテスと戦うヒロム、鬼灯潤也を倒そうと先に進むシオンとガイが映されており、その中にはイクトが研究所内の部屋の1つを調べようと中に入っていく姿も映されていた。

 

「あの部屋は……いや、この研究所内のあらゆる資料も証拠も処分済み。今更あの部屋に入っても何も困らないか。黒川イクトといえど燃えカスとスクラップ同然のパソコンを前にしては情報も何も無いはずだからな。それよりも紅月シオンと雨月ガイ……オレの注目株がここまで成長するとは驚きだったな。連戦に次ぐ連戦、雨月ガイに関してはベノムの毒を投与したのに今はそれを感じさせないまでの動きをしている。これは楽しめそうだな」

 

 鬼灯潤也は不敵な笑みを浮かべながらモニターに映るシオンとガイが行く手を阻む能力者を倒そうとする様子を見ながら無線機で仲間に指示を送る。

 

「もうすぐだ。もうすぐでオレとオマエの悲願は達成される……。

だから今はヤツらを殺すために用意しててくれ。オレはオマエが暴れられる舞台を用意しておくからな」

 

『了解』

 

「クククク……楽しみだなぁ」

 

 鬼灯潤也が誰かに指示を送った後に楽しげに笑っていると不気味なこの空間の壁に亀裂が入り、亀裂が入った壁紙勢いよく破壊されると破壊された壁の向こうからシオンとガイが姿を現す。

 

 2人の登場に鬼灯潤也が不敵な笑みを浮かべるとシオンは敵を睨みながら名を叫んだ。

 

「鬼灯潤也!!」

 

「紅月シオン……また会えたな。タイムリミットまであと数時間、再会はその時までお預けかと思ってたのにこうして会えるとは感激だよ。それに雨月ガイ、ベノムの毒を受けてよくぞ生存したな。紅月シオンの血の中にある戦闘種族の対毒抗体をワクチンにして生命力で勝るとは驚きだよ」

 

「驚きはこっちのセリフだ。まさかこんな逃げ場もないところでオレやシオンたちの動きを呑気に観察してたんだからな。オレはオマエのことを戦闘種族に憧れてる愚かなバカと思ってたが、どうやら度胸だけは一人前のようだな」

 

「仮にも世界を戦国乱世に導こうとしてる人間だ。オマエらが何かして慌てるような精神力でそれを成し遂げられるわけないだろ。それにオレにとってオマエらは通過点、オマエら2人を倒せばこの国の脅威は姫神ヒロムただ1人!!

あの男だけになればこの国が信頼する能力者は途絶えて守りは無くなり、《ブラッドアウト》による破壊で地獄を生み出せる」

 

「戦闘種族の再興を謳ってたかと思えば兵器による破壊の行使か……。オマエらの狙いが何なのか分からねぇな」

 

「紅月シオン、オレの理想を知りたいのなら仲間になれ。

今からでも遅くはない、仲間になるのならば血鮫たちのことは許そう。オマエという強い仲間がオレの隣に来てくれるのならオレは……」

 

 黙れよ、とシオンは鬼灯潤也の言葉を一蹴するとポケットから血鮫に託されたドックタグを取り出し、それを鬼灯潤也に見せながら彼に向けて告げた。

 

「オレは託されたんだ。オマエを救ってくれって血鮫に……オマエの大切な仲間にな」

 

「大切な仲間?血鮫に?何を託された?オレを倒して《ブラッドアウト》を発射させるなとでも言われたか?笑わせんなよ。アイツはオレの後ろをついて来ることしかできない弱い男だった。戦いこそが全ての我々に情けも弱さもいらない!!アイツはオレの理想を理解しておきながらその実現に手を貸そうとしなかった!!ならばアイツは仲間でも何でもない!!」

 

「オマエの名が刻まれたこのドックタグを血鮫は大事に持っていたんだぞ!!それなのにオマエは……オマエは血鮫のことを駒として見てたというのか!!」

 

「オマエもそうだったはずだ紅月シオン!!

雨月ガイや姫神ヒロムは自分が強くなるための踏み台としてしか認識していなかっただろ?同じなんだよ……オマエのやってる事とオレのやってる事は!!」

 

 ふざけるな、とガイは鬼灯潤也の言葉に冷たく言い返すと刀を抜刀し、そして刀を構えると鬼灯潤也を睨みながらシオンに対しての彼の言葉を否定していく。

 

「シオンはオマエとは違う。たしかに1度は強さに固執して周りを見ることが出来ずに暴走思想になったこともあった。だが今のシオンは人の痛みを理解しそれを受け入れ前に進むために向き合う心を持っている。オマエが破壊でしか世界と向き合えないのならシオンは何かのために傷つきながらも立ち向かう強さで世界と向き合える真の強さを手にしている。オマエとシオンは……同じなんかじゃない!!」

 

「……同じなんだよ、オレもそいつもオマエも!!

その刀で敵を倒して強さを実感してるオマエも!!戦闘種族として敵を倒し勝利することを求めるオマエも!!くだらない世界を破壊して理想を取り戻そうとするオレも!!全ての原点を辿れば違いなどありはしない!!力こそ全て……力がなければ生きていけない!!平和などという疎かな思想がそれを忘れさせるのならオレはその全てを破壊する!!」

 

 ガイの言葉に対して鬼灯潤也は強く言い返し、そして天に向けて右手を翳すと突然緑色の炎を右手に纏わせていく。纏われる緑色の炎は次第に大きくなっていき、大きくなる炎は形を得るように変化すると不気味な刀へと変化を遂げる。

 

 刀身は鋸のように細かい刃を持ち、刀身の背は棘のようにいくつも隆起するような造形となっている。

 

 その不気味な刀を鬼灯潤也が構えるとシオンはガイに敵の持つ刀について尋ねた。

 

「ガイ、あの刀は何だ?」

「多分……妖刀・《鬼喰》だ。あの造形、無数の細かい刃の刀身は妖刀の資料で見たものと似ている。持ち主の生命力の強さに応じて刀が秘める呪いの力を解き放ち人の肉と命を削ぐ妖刀。数ある殺しの武器の中でも一撃必殺ではなく鬼が肉を喰らうために引き裂くの如く何度も斬り負傷させて苦しませながら殺すためのよだ」

 

「呪いってのは?」

「……斬られた傷口はあらゆる治癒を数日間受けつけない状態になり、1度あの刃で斬られた人間は2度目以降に攻撃を受ければ斬られる度に傷が異常な速度で悪化させられるらしい。だから触れたら終わりの妖刀だ」

 

「触れたら終わり、か。んなもん真剣相手にするなら妖刀に限らずどの武器でも言えることだろ。それに……オレとオマエならあの妖刀があったところで何とか出来んだろ?」

 

「ああ、問題ない」

 

 鬼灯潤也の刀が妖刀であることを刀について詳しいガイから聞いたシオンは2人ならやれると語ると雷を全身に纏い、シオンの言葉に賛同するように言葉を返すとガイは刀に魔力を纏わせる。

 

 やる気十分、2人の構えを見た鬼灯潤也は不敵な笑みを浮かべながら妖刀を構えると走り出す。

 

「全ては否定から始まり破壊で終わる。そして破壊という通過点を経ることで理想という真の終わりに到達するということを教えてやる!!」

 

「なら否定してやるよ……オマエのその歪んだ思想を!!」

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