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二一戦目


 タイムリミットまであと数時間、もうすぐ夜も明ける。そんな中でヒロムに言われるがままにイクトはシオンとガイに連絡し、連絡を受けたシオンとガイは車でホテルに移動するとヒロムが待っている彼が使用している部屋へと訪れた。

 

 シオンとガイ、2人が訪れるとそこにはソファーに腰掛けたヒロムとアランがおり、その後ろでハーランがイクトと共に立ち、さらに他に赤いスーツの女がいた。

 

 自分たちがいていいのかとシオンとガイは多少不安を抱いてしまうが、そんな2人が来るとヒロムは2人に伝えた。

 

「楽にしてくれ。ここにいる人間は全員がオマエたちの活躍を知ってくれている」

 

「ユーたち、カントリーのために頑張るなんてサイコーだね!!」

「ふむ、ヒメガミが信頼する仲間というだけのことはある」

 

「はぁ……。つかガイ、コイツら誰なんだ?」

「オレに聞くなよ……。それよりヒロム、用件は?」

 

「マレーシアのユーリンがオマエらのケアを行ってくれる。オマエらは今から小一時間休んでろ」

 

「よろしくお願いします。

それではこちらに……」 

「待てよヒロム」

 

 ヒロムが言うと赤いスーツの女・ユーリンが頭を下げると彼らに歩み寄ろうとするが、シオンは彼女が近づこうとするとヒロムに対して意見した。

 

「オレたちはオマエがホーランについて情報があるって話を聞いたイクトが呼んでるって聞いたから来たんだ。それなのに安めだの言われて簡単に休めるわけねぇだろ」

 

「休むことに関しては否定しないんだな」

「必要なことなら受け入れる、それだけだ。

それより話せよ、ホーランのことを」

 

「……イクト」

 

 ほいほーい、とイクトはヒロムに名を呼ばれるとヒロムの肩に手を置き、イクトがヒロムの肩に手を置くと彼の影が大きく膨れ上がる。

 

 何かが起きる、そう感じたシオンとガイが警戒していると膨れ上がるヒロムの影の中から1人の男が全身を鎖で縛られて現れる。現れたのは……細身で眼鏡の男、ホテル外に出ていたヒロムが仕事を任せていた堀川という人物だった。

 

 全身を縛られるこの男は鼻水涙を流しながら気絶しており、さらに顔は何度も殴られたようにひどく負傷しており、あまりにひどい姿にシオンとガイは若干引いていた。

 

「コイツは……?」

「堀川正良、今回の防衛策の話し合いにてオレの補佐を任されてた男だ。そして……コイツがホーランだ」

 

「ヒロムの補佐を務めてるヤツが!?」

「どうしてホーランがコイツだと?」

 

「単純な話が鬼灯潤也と手を組む上でメリットのある人間が誰なのか、そしてその人物が鬼灯潤也を確実に導くにはどの立ち位置が安全なのかを考えた。そこで怪しいと睨んだのが防衛策を話し合う場に関与してる人間だ。で、アランとハーランにホーランって人間が暗躍してるって話をした時にハーランが自分の名前と発音が似てるって話をしてな」

「それだけでこの男がホーランって見抜いたのか?」

 

「いや、ハーランが発音のことを口にしたらアランが昔サッカー選手でハーランドってのがいたって話をしてな。その選手が自分の名前を発音したのを日本人がカタカタにして書くと発音の良さからかホーランドってなってしまうって謎の豆知識を披露してくれた」

「これでもオレ、サッカー好きだからね。それにオレの国ではそのネタで日本のユニークさを紹介してる番組もあったくらいだよ」

 

「で、ハーランとアランの話を参考にしつつオレたちの話し合いを知る人間について考えた結果……サッカー観戦が好きだとか言ってたコイツが怪しいと睨んでオレはアランとハーランに頼んで調べさせたんだ」

 

「その結果、コイツがハーランだと分かったのか」

「まぁ、結局コイツが怪しいってとこまではそれで導き出したけど最後の決め手はアランがコイツのPCとスマホを遠隔でハッキングして履歴を調べたからって話なんだけどな」

 

「で、情報を吐かせたのか?」

「いいや、アランとハーランがボコっても吐かねぇからオレが精神的に追い詰めて全部吐かせた」

 

「……オマエが何したのかは想像したくねぇな」

「で、何かわかったのか?」

 

「コイツの話ではシオンに出されたタイムリミットが迫れば鬼灯潤也は無差別攻撃をするための鬼灯潤也しか知らないメンバーで構成された独自の部隊と兵器を用意しているらしい。その兵器がハーランが言うにはドイツが世界的指名手配犯に向けて使うとして開発を進めている兵器に似ているらしい」

 

「どんな兵器なんだ?」

 

 一体どんな兵器なのか、シオンがヒロムに全容を聞こうとするとヒロムはソファーの後ろに立つハーランに説明してくれと頼み、ヒロムに頼まれたハーランは咳払いをするとタブレット端末を取り出して画面にある設計図を表示してシオンに見せながら説明していく。

 

「正式名称はなく開発途中の現在与えられている名前は《ブラッドアウト》。戦闘機に搭載可能なレベルのミサイルの中にミサイル発射から数秒後に酸素を媒体にした探知できる熱源反応を全てを消す高出力のエネルギー弾を数千・数万円生み出して地上に降らせるものだ。熱源があれば問答無用で殺し、酸素があれば永遠にも近いエネルギー弾生成を行える」

 

「んなやべぇもんを作ってんのかよ……」

 

「だが熱源反応を捉える点がシステムの核を占めてるせいで味方と敵の識別の設定が不可能だと判断されて我が国の大統領は散らしてはならない命を散らす危険しかないとして開発を中止するよう開発部に申し出ていた」

 

「待てよ……てことはハーランさん。鬼灯潤也とホーランはアナタの国の機密情報を得ているというのですか?」

「先ほど国に確認したところ、《ブラッドアウト》設計に関わっていた技術者に向けて《リブート》と名乗る技術支援者が資金と技術を提供するから設計図を見せてくれと言われたと報告があった。技術支援者と疑わなかったその者が設計図のコピーを渡したため、この男の協力者は《ブラッドアウト》を手にできたのだろう」

 

「ここに来て新しい名前かよ」

「ホーランは口を割らないが、おそらくはコイツが別の偽名として名乗ったのがそれだろう。設計図のコピーをどこに渡したのかも聞き出したかったが、肝心なところでコイツの精神が限界に達して聞き出せなかった」

 

「さすがにアレ以上はヤバいよ大将。ユーリンさんがドン引きしてたんだから」

 

「ミス・ユーリンの反応はともかく《ブラッドアウト》をテロリストが手にしたとなればそうも言ってられないと思うな。ミスター・ヒメガミの危険なやり方も蓋を開ければこの国を守るための行動だ。何かを成すためには行動するしかない、それを彼は証明してくれたんだ」

 

「だが兵器について知れても敵の居場所が分からないなら……」

「居場所は特定出来てる」

 

 ヒロムの口から出た言葉にシオンが驚かされていると続けてハーランがシオンとガイに説明していく。

 

「ヒメガミがこの男を問い詰めた際に数週間前に日本政府が調査を終えて撤退した研究所に敵のリーダーはいると聞き出せた。私とアラン、ヒメガミ、クロカワは30分後にその研究所に向かって敵のリーダーを拘束する手筈を整えている」

 

「まさかヒロム、オレとシオンに小一時間休めって言ったのはそのためか?」

 

「移動時間も含めて約1時間、それだけあればユーリンが行えるという治癒術によるケアで2人ともそれなりに戦えるようになるはずだ。《ブラッドアウト》の発射がシオンに出されたタイムリミットと同じだとすればオレたちに残された時間はあと6時間もない。残されたその時間で鬼灯潤也を倒し、そして《ブラッドアウト》発射の阻止と破壊を完遂して全てを終わらせるぞ」

 

 ヒロムの話を受けたアラン、ハーラン、イクトがやる気を見せる中でシオンは自分を狙いながらも無関係な人間を巻き込むやり方をする鬼灯潤也と直接戦って止められると頭で感じたのか拳を強く握ってそのやる気を全身から出させる。

 

 残り時間はそう長くない、果たして……

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