一七戦目
海月の相手をガイが引き受ける一方でシオンは血鮫を倒そうと雷を纏いながら動き出し、シオンが動き出すと血鮫に魔力を静かに纏って構えてシオンの動きには対応しようとする。
静かに魔力を纏いて構える血鮫のその姿には隙と呼べるような無駄はなく、血鮫に接近すべく走るシオンはそれを肌で感じ取ると両足に雷を集めながら地を蹴ると加速して血鮫との距離を詰めようとする。
「先手必勝だろ」
(あの構え方、ヤツが普通じゃないことの表れだ。静かに魔力を纏ってオレを迎え撃つつもりで構えてるみたいだがヤツの内側から感じ取れる力は異常だ。落ち着いてるように見えて内側からは今にも暴れだしそうな強い力が目を光らせている……それを面に出させる前に潰す!!)
シオンは加速しながら血鮫に迫る中で新たに雷を両手に纏わせると手刀を強化した状態となると接近とともに手刀による一撃を放とうとする……が、シオンが手刀の一撃を放とうとすると血鮫は静かに動き出すとシオンと攻撃を受け流した上でシオンの体を突き飛ばしてしまう。
「!?」
「その程度の動き、読めている」
「この……なら!!」
突き飛ばされたシオンは崩れかける体勢を倒れぬように立て直すと右手に纏わせた雷に形を与えて剣へと変化させ、雷の剣を手にしたシオンは血鮫を斬るべく振り上げる……が、シオンが雷の剣を振り上げて斬りかかろうと振り下ろすその瞬間に血鮫は左へ数歩ズレるように動くだけ動いて防御しようとせず立ってシオンの顔を見ていた。
血鮫が数歩ズレるように動いたことにより振り下ろされたシオンの雷の剣は先程まで血鮫がいた何も無い場所を斬るように振り下ろされて終わり、シオンの雷の剣が空振りに終わると血鮫はシオンに掌底を叩き込むようにしてシオンを吹き飛ばす。
「ぐぁっ!!」
血鮫の掌底により吹き飛ばされたシオンは勢いよく倒れてしまい、倒れたシオンが立ち上がろうとする中血鮫は静かにゆっくりと歩を進めながらシオンに向けて話し始める。
「生憎だがキミの戦闘データは我々なすでに把握済みだ。キミの癖・攻撃方法・パターンなど……あらゆるデータは《鮮血団》の手の中にあり、オレはキミを倒すためにそれを与えられている」
「データだと?」
「キミの能力と身体のスペックはもちろんのこと、戦闘におけるキミの長所と短所も……今のオレには手に取るように分かるのさ」
「そうかよ……ならそれを上回ればいい話だ!!」
シオンは雷を強く纏うと血鮫の前から姿を消し、血鮫が反応するよりも先に背後へと移動して手刀の一撃をは放とうとした……が、シオンが一撃を放とうとすると血鮫は素早く振り向くとともにシオンの一撃を魔力を纏った手で止めてしまう。
「なっ……」
「これもパターンの1つ。追い詰められたキミは雷を纏って加速できる状態になると相手を撹乱して倒すために姿を消すと必ず背後に現れる。そして相手の隙をつくように放つ一撃は必ず手刀だ」
そして、と血鮫はシオンの体に蹴りを入れると彼を怯ませ、シオンが怯むと魔力の一部に鮫の形を与えながらシオンにぶつけるて負傷させながら吹き飛ばす。
吹き飛ばされたシオンは体に切られたような傷を負い、傷を負うシオンを見ながら血鮫は彼の行動についてあることを話す。
「キミのその戦闘時の動きは姫神ヒロムに敗北した経験から戦術に多様性を持たせようとしたからだ。キミは姫神ヒロムに敗北し、そしてあろうことか自らを負かした相手に屈した。強い人間が生きることを許された闘いの世界に生きるべきキミは敗者となって廃れた」
「敗者……?」
「敗者と成り下がったキミを倒してもオレには何の得もないが全ては潤也の計画のため。日本を終わらせるためにもここでオレが……」
「黙って聞いてれば偉そうな言葉ばっかり並べやがって……。んなに強いヤツとやりたいならオレなんか無視してヒロムを倒しにいけよ」
「何?」
吹き飛ばされたシオンは血鮫を言葉に言い返すように言いながら立ち上がると続けて血鮫の言葉とそれを口にした彼について意見するように発言する。
「さっきからオマエは勝ち負けだの強い弱いを基準にしてるような言い方してるがそれならオマエらはヒロムを直接狙えばいい。オレを負かした相手に挑めばオマエらの強さは簡単に証明出来るだろ。でもオマエらはそれをしない。戦闘種族だ何だのと言いながらやってることは臆病者と大差ない……ヒロムに勝てないと怯えてアイツに負けたオレを倒して強くなったつもりでいるんだろ」
「……黙れ」
「んだ、図星か?言われたくないこと言われて反論できなくなったから黙れってか?今までもオマエみたいなのはたくさん見てきたがその中でもオマエ 単純すぎて分かりやすいタイプだ。外面を綺麗に取り繕っても些細な事でそれを崩してしまうように反応してしまう、そういうヤツは案外想定してないことに対面するとすぐに素が出てどんなに適切に対処出来る力を持ってても発揮出来ずに終わる」
「黙れ……」
「どうした?言葉が単純になってるぞ?
図星過ぎて言葉選べなくなったのか?」
「黙れって言ってるだろ!!」
シオンの言葉を否定するように血鮫は力強く叫ぶと魔力を溢れ出させるように放出させる形で全身に纏い、纏う魔力を鮫の形にしながら走り出すと血鮫はシオンに接近して彼を始末しようとした。鮫の形になった魔力はシオンを噛み砕こうと口を開き血鮫自身も両手に刃のような魔力を纏わせながらシオンを倒すべく攻撃体勢に入ろうとする……が、シオンは雷を強く纏うと血鮫の全身の纏う鮫の形になった魔力を吹き飛ばし、血鮫が無防備になるとそのまま相手の顔面に拳を叩き込んで敵を殴り飛ばす。
「っ!?」
殴り飛ばされた血鮫は近くに廃棄されていた粗大ゴミに激突する形で倒れてしまい、血鮫が倒れるとシオンは首を鳴らしながら敵に向けて話していく。
「何焦ってんだよ?せっかくの戦いなんだからもう少し楽しむ余裕持てよ。あの程度の挑発で取り乱して判断力衰えるなんて馬鹿げた話は無しだぞクソ野郎」
「バカな……オレがオマエの攻撃を受けるはずが……」
「オマエ、か。ようやく本性表しやがったな。
やっぱり自分の内にある弱さを隠すために冷静なフリをしてたんだな」
「ありえない……どうしてだ!?」
「簡単な話だ。オマエがオレの対策をしてるのならその対策を打破する方法を探しただけだ。オマエがオレのデータ把握しててオレの上を行くためにどんな手を使うのか……それを考えようとした矢先でオマエが答えをくれたんだ」
「オレが答えを与えた!?
そんなはずは……」
「与えただろ、オレが誰に負けたのかって」
「あっ……」
「おかげですぐにオマエの謎が解けた。オレがヒロムに負けたことを執拗に口にし、そしてオレの行動パターンと回避方法を理解して実践するオマエのスペック。さらにそこにオマエが強化人間だということを補足すれば……オマエはオレの全てのデータとともにヒロムの行動データを肉体に反映させることでオレの上を行くスペックを再現したんだってな」
「この短時間でそこまで……!?
何故そこに辿り着けた!?強化人間だということを理解しているのなら自分より上をいくスペックに強化されたと思い込むはずだ!!」
「悪いな、オレは戦闘種族の血を受け継ぐ末裔だ。この体に流れる血が本能で頭を動かさせるんだよ……オマエを倒せ、オマエを潰せってな」
「バカなことを言うな!!そんなふざけた話でオレが納得するわけ……」
関係ねぇよ、とシオンは雷を強く纏うと赤い瞳を白く光らせながら拳を構え、構えた状態で血鮫に告げた。
「理屈とかそんなもんは戦いに関係ない。強いヤツが勝って弱いヤツが負ける……単純な摂理の前では人の理解も納得も必要ねぇんだからな!!」
「ッ……!!」
「覚悟しろよ鮫野郎。ここからのオレはオマエのスペックを超えて先を走るぜ」




