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一六戦目


 イクトと別行動を取り、そして車に乗ったシオンとガイは目的地に向けて西の方へ1時間車を走らせてすぐそばまで近づいていた。

 

 目的地まではおおよそ約500メートル、シオンとガイはこれ以上の不用意な接近は危険と判断して車を降りて物陰に隠れながら徐々に近づいていた。シオンを先頭にして進む中でガイは得意の武器である刀をいつでも抜刀出来るように柄に手をかけていた。

 

「距離にしてあと400……」

「ここまでは気持ち悪いほどに順調だな。シオン、敵の気配は?」

 

「近づけば近づくほど感じる。けど、この感じはさっきの廃工場と同じ感じだ。1人強いのがいてそれに付き従うように弱いのが群がってる」

 

「となるとその強いのが鬼灯潤也であることを願うしかないな。ここがハズレとなれば最後の候補の海辺の使われてないコンテナ倉庫の管理棟まで行かなきゃならないからな」

「簡単に出てきてくれればいいけどな。蒼月と才角をオレがたおした事を把握してるとすればオレが届かないところにでも移動してるかもしれねぇぞ」

 

「だとしても終わらないだろ?」

「当然だろ」

 

 物陰に隠れながら徐々に迫ろうとするシオンとガイ。ゴミ処理場の中に通ずる入口へと2人が迫る中、突然ゴミ処理場の奥から武器を持った大量の《鮮血団》の団員が2人がいる方へと向けて走ってくる。

 

 隠れながら動いていたはずなのに見つかった、何故見つかったかなどは考えずにシオンとガイは敵の接近を前にしてアイコンタクトで合図を送り合うと一斉に飛び出して走り出すとガイは刀を抜刀し、シオンは雷を纏いながら敵の中へと加速して突っ込んでいく。

 

「だりゃあ!!」

 

 雷を纏うシオンは次々に敵を殴り倒し、ガイは刀を手に持ってシオンの後に続くと斬撃を放ちながら敵を一掃していく。荒々しく攻撃を放って敵を一網打尽にするシオンと吹き流れる風のように無駄のない動きで斬撃を放ちながら敵を倒すガイ、2人を前にして《鮮血団》の団員たちは為す術なく倒され、気がつけば敵の全てをあっという間に倒してしまっていた。

 

「……んだよ、もう終わりか」

 

「ベノムを倒した時もだが、ヤツらが引き連れてる部下はただの囮でしかないみたいだな」

「囮か。だがその囮も使い方次第で民間人には脅威になるしオレたちを錯乱することも可能だ。囮と一言で片すにはコイツらは使い勝手が良過ぎる」

 

「シオンの言う通りだな。どうやら敵は部下の使い方がある意味上手いらしい」

 

 《鮮血団》の団員についてシオンとガイが話しているとゴミ処理場の奥から1人の男がゆっくりと歩いてくる。目元を包帯で巻き隠した白髪の男、白いコートを纏いし男は血と思われる赤いものが付着した刀を手に持って怪しい笑みを浮かべると2人の方を向いて話し始める。

 

「初めましてだな、紅月シオンと雨月ガイ。オレは海月、潤也の命令でオマエらを殺しに来た」


「こいつがここを仕切るリーダーってわけか」

「シオンが廃工場のヤツを倒したのもオレと行動してるのも筒抜けのようだな」

 

「どうせここの場所も潤也がわざと落としたUSBから拾った情報を元に知って来たんだろ?何もかも潤也の思惑通りだ。才角を倒してここに来ることも、昼間の1件でベノムの危険性を知った雨月ガイが加勢することも、2人が揃いも揃って仲良くここに来ることも全て潤也の思い描いたシナリオ通りなんだよ」

 

「シナリオ通りか。ならここでオマエが倒されるのも筋書き通りなんだよな?」

 

 それは違う、とシオンの刀を持つ怪しい男は・海月を倒すことを示唆するような言い方をすると後ろから誰かが否定し、シオンが後ろを振り向くとその先には赤いコートを羽織った女に見間違えるような装いの青年が立っていた。

 

「2対2か」

「そういうことだ、紅月シオン。潤也のシナリオ通りキミは雨月ガイとここへ来た。そんな2人がこれ以上《鮮血団》の邪魔にならないようにオレと海月で始末する、そこまでがここで起きるシナリオだ」

 

「血鮫、どっち殺したい?」

「どちらでも。野蛮な海月とは違ってオレは潤也の指示を遂行出来ればどっちを始末しようと関係ない」

 

 どっちがどっちを倒すか、まるで2つあるお菓子を2人の子供が分け合うかのような感覚で青年・血鮫と海月は話し、それを聞いていたシオンは首を鳴らすとガイに尋ねた。

 

「鬼灯潤也はここにいない、となればどっちかが引き受けてどっちかが海辺の方に向かうか?」

「それは非効率だな。この際なら……向こうの遊びに付き合ってやるのが最適解だな」

 

「こっちは遊びじゃないぞ」

「だからだ。シオンの考えだとここでどっちかが疲弊してる状態であの2人を引き受けなきゃならないことになる。毒の抗体を投与したとはいえ毒で体力が削られてるオレと昼間からほぼ連続で戦ってる万全でないシオンの片方が残るにしても万全に近い2人を相手にするのはリスクが高すぎて危険だ。ましてこの2人はまだ通過点、この先にいるボスを倒すための力は残しとかなきゃこの国は守れない」

 

「否が応でも片方倒すのがノルマになるってわけか。ならどっちをやる?」

「やるなら……オレが海月とか言ってた刀持ちを引き受ける。血鮫とかいうヤツの底は知れないから押し付けることになるが、今のオレたちで分担するならこれが最適解だろう」

 

「わかりやすい説明どうも。なら……女野郎はオレが殺るからオマエは変人を潰せ」 

「ああ、そのつもりだ」

 

 ここで倒すしかない、そしてどちらかが2人の相手を引き受けるのではなく単独で敵を倒すべく分担して温存を図りながらも勝つことを話したシオンは血鮫を相手にするように立ち、ガイは刀を構えると海月を倒すべく敵の方に歩を進めていく。

 

「ほぅ……逃げないのか?」

「見逃してくれるならオレもシオンも嬉しいがそうもいかないだろ?だから……情けも容赦もなく倒してやるよ」

 

「我々に勝つつもりか?」

「負けるつもりは元からねぇんだよ!!」

 

 血鮫の言葉に強く返すとシオンは雷を纏いながら動き出し、動き出したシオンは血鮫に迫ると彼を倒そうと殴りかかる。シオンの攻撃を受けまいと血鮫は回避すると反撃しようとするがシオンはそれを読んだかのように反撃される前に間合いを詰めると更なる攻撃を放とうとする。

 

「だりゃあ!!」

 

 

 

 

******

 

 

 一方……

 

 鬼灯潤也は漆黒の闇の中続く道を歩いていた。


 何かを企んでるのは当然のことだが、その企みが上手くいっているのか鬼灯潤也は不敵な笑みを浮かべて嬉しそうに歩いていた。

 

「さすがは紅月シオン。オレの思惑通りタイムリミットまで待たずにオレたちを潰しに来たな。それでいい……それを望んでいたんだ。今のアンタは自分も理解していない力に動かされている。そしてその力がアンタを強くさせ、その強くなったアンタがオレたちの計画の要となる」

 

 楽しみだなぁ、と鬼灯潤也が怪しく笑うその後ろには彼が『シンラ』と呼んでいた痩せ細った男がいた。そのシンラは鬼灯潤也の後ろ姿を見ながら瞳を妖しく光らせ……

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