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一四戦目


 才角を倒したシオン、そのシオンのもとへとガイが手配したとされる警察や鑑識が続々と駆けつけ、警察の車両に同伴したらしいイクトが不機嫌そうな顔で現れる。

 

 遅れる形でガイもスーツの男たちと駆けつけるが、イクトは真っ先にシオンに不満をぶつけた。

 

「オマエ、オレに嘘ついたよね!?

敵の居場所も手掛かりも分からなかったとか言っといてこれはないよね!?」

 

「落ち着けイクト、オマエのその騒々しさは目立つ」

「オマエのその態度腹立たしいんだけど!?」

 

 まぁまぁ、とガイはイクトを宥めて落ち着かせるとシオンに忠告した。

 

「今回はヒロムが全てを予期してオレやイクトがシオンに合わせて動けるようにしてくれたから良かったけど次からは気をつけろよ。ヒロムが伝えようとした事をオマエが理解してるとアイツは信じてるんだからな」


「分かってる。それより用水路は?」

 

「運良く用水路の入口でベノムを倒せたから中には入られてないから毒の直接的な投与は避けれたが事前に下見に来て何か仕込んでるかもしれないとして危険物処理の特殊部隊を派遣してもらって調べてもらってる。幸いなことに街の方には毒の介入した形跡はないとの事だから安心して大丈夫だ」

 

「そうか」

「けど、シオンが派手に倒してくれたおかげで得意の電気信号尋問が使えなくなったけどどうすんの?これじゃ次の手掛かりを得られないけど……」

 

「これがある」

 

 才角が瓦礫の下敷きになったことで情報を得られないことを口にするイクトだが、そのイクトの言葉に反応するようにシオンは彼とガイに向けてある物を手渡した。

 

 イクトとガイが渡されたもの……それはUSBメモリーだった。

 

「これは?」

 

「この廃工場の奥に落ちてた。中身がウイルスの危険もあったからオレの頭をPCデバイスの代わりにして電気信号で無理やり読み込んで閲覧したが……」

「待って、さらっと怖いこと言ってない?」

「何がだ?」

「え?自分の頭をPCデバイスの代わりにしてUSBの中味見たってこと?」

 

「そう言っただろ」

「いやバケモンじゃん!!

何それ!?現代っ子も仰天のハイスペックじゃん!!」

 

「……うるせぇ」

「それでシオン、中身は?」

 

「《鮮血団》の計画に関してのメモだった。潜伏先にしている場所の情報と計画の流れについてだ」

 

「罠、だな?」

「恐らくな。潜伏先を記してる時点で怪しさしかないが計画の流れに関しては信用してもいいかもしれない」

 

「どうしてさ?」

「ヤツらがオレに課したタイムリミットが訪れるとベノムの独学拡散されるのがヤツらの狙いのつもりだったらしいがそれを阻止された場合は別の手を打つように鬼灯潤也が策を練っている」

 

「その策ってのは何なの?」

「街の人たちのパニックだ。USBの中の計画が本当ならヤツらはタイムリミットと同時に首都を焦土に変えるつもりだ」

 

「焦土にって……嘘だろ!?」

「待てシオン。そんなのパニックどころのレベルじゃ……」

 

「パニックのレベルだ。ヤツらはまずこの国の要たる総理大臣たちのいる首都を焦土に変えると同時に電気等の生活システムを停止させることから始める算段だ。首都に大半のシステムが集まる今のこの国は数時間足らずでパニックの渦の中に落ちる。たとえ鬼灯潤也たちが倒されても日本という国は再建が困難な道の中を進む他ない未来に落とされるってわけだ」

 

「そこまでして日本を支配したいとか何なのさ……」

 

 違う、とシオンはイクトの言葉に対して言うと彼とガイ、そして警察官たちにある話をしていく。

 

「鬼灯潤也は街の人たちをまるで平和慣れした愚かな存在のような言い方をしていた。そしてこの世界を戦国乱世の時代に戻すとも豪語していた」

 

「まさか……」

「鬼灯潤也の狙いは……」

「そう、鬼灯潤也率いる《鮮血団》の狙いは……世界そのものを戦場に変えることだ」

 

 シオンの口から語られた内容に警察官たちは驚きを隠せぬ様子でザワつくが、ガイとともに来たスーツの男の1人は冷静にシオンの話した内容について質問していく。

 

「それが事実だとして日本の首都を狙うだけで世界を混乱に陥れるのは不可能なはずだ。この国に対して各国が攻撃するだけの龍を与えるようなことが起きなければ……」

「今オレたちのリーダーは《十家》という古いシステムに代わる新たな策を練っているところだ。その策を練るために協力する姿勢を見せてくれているいくつもの国から国の偉い人間が首都に集まっている」

 

「つまり鬼灯潤也は毒を用いた殺戮を行うと予告しておいて広範囲を破壊する作戦を用意してヒロム諸共各国の主要人物を殺害してしまおうって考えるのか」

「しかもそれが日本の仕業ではなく防衛機能が整ってない日本でなら殺害できるとして他国が行ったと勝手に思い込んで近隣国同士がいがみ合えば……」

 

「鬼灯潤也が思い描く戦国乱世の時代に戻れる……はずだ。

だがこのUSBは謎が多い」

 

「謎?」

「1つは何故こんな廃工場に落ちてたかだ。PCすら置いてないような廃れたこの場所に敵の幹部とも言える男がわざわざ持ち込んでるのもおかしな話だ。2つ目が事前にバレれば阻止されるのにあえて書き記してることだ」

 

「そういえばガイは鬼灯潤也の話からベノムって能力者が何かすると思ってシオンの血で作られた抗体を投与する前にベノムを居場所を探り当てたんだよな?たしかに事前の情報で阻止するだけの行動力のあるオレたちに手掛かり残すなんて不自然かもね」

 

「だが今回のその方法に関しては詳細に記されてないんだろ?

焦土に変える、そこしか分からないなら鬼灯潤也もオレたちが阻止するのは不可能だと思ってるに違いない」

「そう、そこもだ。このUSBの中身が鬼灯潤也が仲間に残したものだとしたらアイツは仲間すら捨て駒にするつもりで作戦を立てている。仲間がどれだけ犠牲になっても構わない、そんな風に考えているとすればその方法ってのは危険性を感じた仲間が止めようとしないようにしてる可能性もある」

 

 USBの中身が本物かどうか、そこに記された作戦は実行されるのかどうか……考えれば考えるほど悩ましくなってくるシオンたちだが、そんな中でイクトはある事を思い出した。

 

「ホーランだよ、シオン!!

鬼灯潤也に資金と拠点の提供をしてるって蒼月ってヤツから聞き出した協力者!!シオンの尋問の結果だとそいつは政界に身を置く人間だったろ?てことはだ!!このUSBの中の計画は鬼灯潤也ではなく鬼灯潤也の計画が失敗した場合に自分のことがバレると危惧したそいつがベノムが失敗した時のための作戦を書き換えたんだよ!!」

 

「何のためにだ?」

「オレたちを惑わすためか?」

 

「第1はそれだね。それと……鬼灯潤也や《鮮血団》に失敗したら未来はないと脅してるのかもね。ここ数時間でホーランについて調べてみたけどそれらしい情報はなかった。ひとまずは大将に報告して返事待ちだけど、今の話の通りに各国の人間が集う場所を標的にしてるとすればホーランは『そこにいたのに何とか生存できた証人』を演じられる!!つまり……」

「「ホーランは……どこかの国の主要人物か!!」」

 

 イクトの話を受けたシオンとガイは声を揃えてある可能性について口にし、2人がそれを口にするとイクトは頷く。しかしスーツの男は納得していない。

 

「日本で起きている問題なのに、進展もしてないまま他国を疑うのか?」

 

「けど今の日本を利用すれば金儲けになると思ってるヤツは間違いなくいる。そいつがホーランだ」

 

「そいつを見つけて鬼灯潤也の計画の全てを吐かせれば……」

「《鮮血団》を止められる!!」

 

「でも問題はどうやって探すかだよね。オレたちが動くにしても主要人物に会うのは無理だし、かと言って警察の人らも変に動けないだろうし……」

 

 1人いるだろ、とどうするか悩むイクトに向けてシオンはある人物について話していく。

 

「オレに攻撃した時にGPSと小型マイク取り付けたヤツなら動けるはずだ。アイツは今オレたちの誰よりもそこに近いところにいる」

 

 

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