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一〇戦目


 鬼灯潤也率いる《鮮血団》の1人である蒼月が右手に鉈を構える中シオンはそれを迎え撃つべく雷を纏い拳を構える。

 

 両者戦う意思は十分、そして互いに相手の動きを見ながら牽制するべく静かに機を窺っていた。

 

 主人と敵が睨み合う様子を見守る精霊・ライバ。ライバが見守る中でシオンは蒼月の動きを窺っていたのだが、蒼月は鉈を強く握ると様子見をやめたのか走り出した。

 

 動き出した、シオンは雷を強くさせると迎え撃つべく走り出すと右手に雷の一部を集めると雷の剣にして構えながら蒼月に迫る。

 

 雷の剣を構えるシオンに対して蒼月は躊躇うことなく鉈で斬りかかるが、シオンは雷の剣で防ぐとすかさず弾き返して蒼月の体勢を崩させると蹴りを食らわせて追撃をし、蒼月の体勢が完全に崩れるとシオンは雷の剣で蒼月の首を斬ろうと一撃を放つ……が、シオンの雷の剣は蒼月の首を斬ろうと襲いかかると金属音のようなものを響かせて弾かれてしまう。

 

「!?」

 

「すみませんがその程度では傷などつきませんよ」

 

「なら……他を試すだけだ!!」

 

 何が起きたかはシオンは分からない。だがシオンが今確かに分かっているのは蒼月が何らかのギミックで首を守ったであろうこと、そしてそのギミックの攻略こそが蒼月撃破のカギだと。

 

 傷などつかないと蒼月は豪語するがシオンはほかの攻略法があるとして雷の剣による連撃を腕、足、胴など各部に何度も放って蒼月を負傷させようとするがどこを攻撃してもシオンの攻撃は弾かれダメージに繋がらない。

 

 このまま攻撃を続けるのは状況を悪化させるかもしれないとシオンは一旦下がろうとするが、蒼月はそんなシオンが下がろうとすると距離を詰めて鉈で襲いかかってくる。

 

「!!」

(コイツ、間合いの詰め方が上手い!!)

 

「逃がしませんよ」

 

 鉈を振り下ろす蒼月に対してシオンは雷の剣で防ぎ、蒼月の鉈に力負けせぬようにシオンは雷の剣に力を込めて押し返そうとするが、シオンが押し返そうと考えていると蒼月は鉈に込めた力を強くさせながらシオンに告げた。

 

「何故私がここに現れたのか、何故アナタの相手が私なのか……それは私がアナタの天敵だからですよ」

 

「あ?」

 

「私は強化人間となる過程で2つ目に所有することとなった能力を手に入れました。それがこの硬質化する《硬甲》の力です。魔力を身に纏う間は私の体は鋼鉄をも超える硬さを得るこの力の前では炸裂させることに特化されているアナタの雷では傷はつけられません。もっともほかの誰が来ても私には勝てませんがね」

 

「魔力を纏う間だと?

ずいぶん便利な力だな」

 

「ええ、私の身を守るもっとも信頼出来る力ですよ。

潤也も私のこの力を信頼してくれている。つまり、私は強いのですよ」

 

「それはどうかな?オマエは2つ目の能力って言ったが、1つ目に位置する力次第では弱くもなる。それを理解した上でネタばらししたのか?」

 

「そうですね。ですが人間の思想を考えると2つ目の能力を明かした方が余計な詮索もせずに相手が能力を使ってくれるのですよ」

 

 自身の能力についてベラベラ喋っていく蒼月、その蒼月の鉈は雷を纏い始める。

 

「雷!?」

 

「少し違います」

 

 少し違うと言う蒼月の言葉に反応するように彼の鉈は炎のようなものを雷の上に纏いシオンの雷の剣を破壊してしまう。

 

「コイツ……能力を複数持つのか!?」


「それについては明かしてますよね?」

 

「ちぃ!!」

 

 シオンは何とかして距離を取ろうと蒼月に向けて右手から雷を撃ち放ってぶつけるが、それを受けた蒼月は《硬甲》と呼ばれる能力による肉体の硬質化で防いでしまう。鉈に雷と炎のようなものを纏わせる蒼月はシオンの首を斬ろうと一振りするもシオンは両手にそれぞれ雷を纏わせて雷の剣に変えて二刀流で蒼月の鉈を止める。

 

「くっ……!!」

 

「複数持つというのはその通りですが少し異なります。私の1つ目の能力は《複装》。私が目にした相手の能力の性質さえ理解していれば技までも私のものとして模倣出来る力です」

 

「じゃあその雷は……オレの力を見たからか!!」

 

「その通りです。そしてこの通り……」

 

 自身の能力を懇切丁寧に明かす蒼月は左手に雷の剣を装備し、鉈でシオンの2本の雷の剣を押し返すと変則二刀流でシオンを追い詰めようとする。だがシオンは身に纏う雷を強くさせると加速することで蒼月の攻撃を避け、攻撃を避けたシオンは立て直すべく距離を取ると考えた。

 

「模倣出来る力……」

(雷の剣はともかく強化人間のコイツが今のオレの身体強化を真似したらあの硬質化と合わさって手がつけられなくなる。物理的な攻撃を無力化する硬質化という防御と理解さえ出来れば敵の攻撃や能力を模倣する能力者……オレの出会ってきたどの能力者よりも厄介だな)

 

「……オマエみたいなのが鬼灯潤也に仕えてるってことはアイツはよほどの強さを持つって考えていいんだよな?」

 

「潤也の強さは私と比較していいものでは無い。彼は戦う度に成長する天才、私のこの力を前にしても1時間苦戦させることしか出来ませんでしたからね」

 

「1時間?んだよ……潤也ってクソ雑魚かよ」

 

 蒼月の能力を前にして彼が仕えている鬼灯潤也はさらに強いと考えたシオンの言葉に反応して蒼月が鬼灯潤也の強さについて語るとソラは何故か残念そうな反応を示すとともに鬼灯潤也の事を《クソ雑魚》と見下した。シオンの鬼灯潤也を見下した発言、それを受けた蒼月は雷と炎のようなものを纏わせている鉈に風を纏わせると眼鏡を外して投げ捨て、シオンのことを睨みながら走り出す。

 

「貴様……潤也のことを何も知らないくせに偉そうな口で彼のことを語るな!!」

 

 鬼灯潤也を侮辱されたと捉えた蒼月はシオンを殺害しようと鉈を握る手に力を入れて勢いよく振り下ろそうとする。だがシオンはため息をつくと蒼月に殺気を放ちながら忠告する。

 

「……オマエ、隙だらけだよ」

 

 シオンは身に纏う雷を強くさせると轟音を響かせて姿を消し、シオンが姿を消すと蒼月の両腕が肘部分で綺麗に切断されてしまう。

 

「ぐぁぁぁあ!!」

 

 両腕が切断された蒼月が苦痛により叫ぶとシオンは蒼月の頭上に現れて踵落としを脳天に決めて敵をダウンさせる。が、何と蒼月はしぶとく意識を保っていた。

 

「バカな……!!

何故硬質化している私の体を……」

 

「あいにくだがオレは本物の戦闘種族の末裔。オマエらとは持ってるものが違うんだよ」

 

「何故……何故……!!」

 

「簡単な話だ。オマエの話が事実なら硬質化の能力は無敵だ。だがよくよく考えたら全身硬質化した場合オマエの体は駆動するのか?関節部まで硬質化したらオマエは蝋人形のように動けないのか?仮に硬質化してないとしても狙われてると理解して瞬間でそこを硬質化して防げるのか?色々悩んだが……オマエが反応できない速度で動いて斬れば済む話だったな」

 

「バカな……まさか……関節部まで硬質化出来ないと見抜いたのか!?

潤也ですら見抜くのに1時間かかったのに……どうして……!!」


「あいにくオレは落雷に匹敵するスピードに生身で応戦してくる化け物を知ってるからな。そいつの倒し方考えるのに比べたら……オマエの相手なんて簡単なんだよ」 

 

「ぐぅ……おのれ……!!」

 

 さて、とシオンは右手に雷を纏わせた状態で蒼月の頭を掴むと冷たい眼差しを向けながら尋問を開始しようとする。

 

「微かに魔力を纏ってても硬質化が機能してるなら痛みによる尋問は苦しくもないだろ?だからこうしてオマエの頭を掴む手から雷を体内に流し込んで体内を焼き焦がしながら尋問する。もっとも、口を割らないなら脳に無理やり電気信号送り付けて情報を吐かせるけどな」

 

「や、やめろ……!!

私は……!!」

 

「さて、大事なお仲間を裏切ってもらおうか……クソ伊達眼鏡」

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