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1-8

タタタッと言う走る音と共に隣の温もりが無くなった。

そして突然走り出した白井姫花ちゃんに反射的に剣を振り被った兵士達の姿。

このままだと彼女は殺されてしまうかもしれない。

でももう手は届かない、走っても間に合わない、だから…


「「「「っ?!」」」」

一瞬だけの殺気を兵士達に叩き付けた。

油断していたのかなんなのか、兵士達はビクッと動きを止め、一斉に私の方へ構えた。

近くにいた3人は武器を向けられたのが怖かったらしく私に抱きついてくる。

…あの鈴木葵ちゃん、首が絞まってるんですが…


そんな事をやっている間に白井姫花ちゃんが呆然としている男の子と女の子、雷を飛ばした山上風太くんと炎を飛ばした高岡花鈴ちゃんを抱き締めた。

青い顔でガタガタと震えだす山上風太くん。

お母さん助けてと泣きだした高岡花鈴ちゃん。

白井姫花ちゃんはそんな二人に何も言わず抱き締め続ける。

そんな3人にも武器を向けている兵士達の前に柴田先生と運転手のおじさんが割り込んだ。


「子供に武器を向けるなんて何を考えているんですか!」

「そっちの都合で拉致しといて言う事聞かなきゃ剣を向けるとか随分とふざけた話だなおい!」

二人の物言いに気まずそうにしたり顔を真っ赤にする兵士達。

そんな睨み合いを壊したのはドゴンという大きな音と共に吹き飛んできたラインハルトだった。

何事かと皆が目を向けた先に居たのはとても良い笑顔にまるでマンガの様に分かりやすい青筋を浮かべた王様だった。


「貴様ら、やめよと言ったのが聞こえなかったのか? 今すぐ、剣を、しまえ!」

慌てて納刀していく兵士達の中を歩いてきた王様は柴田先生達の前で膝と手をつき、頭を下げた。

まさかの土下座である。


「度重なる部下の非礼、面目次第もございません!」

「なっ!お止めください!王がこの様な者共に頭をさげゴハァ?!」

王様の声で目を覚ましたらしいラインハルトはまた地面に沈んだ。

他ならぬ王様の拳で。そう拳で!

王様らしい豪奢な衣装で杖を持っているのにまさかの拳で鎧を着た大男を吹き飛ばした王様はまた土下座の姿勢をとり、話を再開した。


帰還が不可能である事を重ねて謝罪した王様は召喚に頼らざるを得なかった情勢を口にする。

曰く、10年以内に発生すると推察される数百年に一度訪れるエーテルの氾濫と呼ばれる大災害の備えだと。

曰く、魔境と呼ばれる地の多くが活性化していて魔物による被害が膨れ上がっているのだと。

曰く、前年が不作であった性か野生動物の一部も凶暴化して村が失われる事例も増えているのだと。


「魔境の活性化に野生生物の凶暴化が重なった現状でエーテルの氾濫が起きてしまえば滅亡の可能性が大きく、そして我が国が滅びる状況であれば周辺の小国も多くが地図から消える事でしょう…!」

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