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翌日、窓から差し込む薄明かりで目を覚ます。
闇が濃くなる日の出の僅かな時間に起きた私は何故か抱きついてきている佐々木博子ちゃんと白井姫花ちゃんをそっと抱き合わせて静かに朝のストレッチ。
何時もならシャワーを浴びるから汗だくになるまでやるけど状況的におそらく無理なので汗をかかない程度に。
陽が登って部屋の中が良く見えるほどに明るくなった位にストレッチが終わり、斉藤桐江ちゃんと鈴木葵ちゃんにいつの間にか跳ね除けられていた布団をかけているとドアがノックされ、昨日とは違うメイドさんが入ってきた。
あまりに自然で気づくのが遅れたけど返事も待たずに入室するのは無作法ではないんだろうか?
まぁ目を見る限り此方を侮っている様なのでわざとなんだろうけども。
「朝食の用意が出来ていますので食堂へお越しください。食堂までの道順は覚えてらっしゃいますよね?」
そういうと私の返事も待たずにさっさと出て行ってしまったので仕方なく4人を起こして食堂へ。
今朝のメニューは昨日と同じパンに豆と根菜のシチューとサラダとお肉は無いけれどその分シチューは大盛りでした。
そんな朝食の後、部屋に戻ろうとするとこの後王様がお話の場を設けられるので待つ様に言われ、全員の食事が終わると一斉に移動する事に。
廊下を歩いていくと段々と空気が変わり、やがて煌びやかな城の廊下から質素な、それでいて粗末ではない石造りの廊下に変わり、大きな部屋へと辿り着いた。
その部屋はお城の大きな食堂よりも少し小さい位で沢山の長椅子が並べられ、天井や壁には年月を感じさせつつも清浄さを感じさせる壁画やステンドグラスが存在し、部屋の奥の講壇と思しき段には女神と思しき大きな石像が台座の上に祭られている。
その女神像の前に跪いていた王様が立ち上がり、此方を向いた。
王様が纏う厳かな雰囲気にクラスメイト達の騒めきが消え、空気が張り詰めていく。
「わざわざ御足労頂き感謝致します。まずは椅子に腰を落ち着けて頂きたい。」
素直に席についていくクラスメイト達に倣って私たちも長椅子に腰を下ろす。
そうして皆が座ったのを見た王様が錫杖を掲げて声を上げた。
「運命の悪戯に翻弄されし迷い子達に女神サーシェルの御加護があらん」
その言の葉は不思議な響きを持って空気を変えた。
それは佐藤理恵にとってとても心地の良い物で…気がつくと頬を雫が伝っていた。