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1-3

割り当てられた部屋で皆と寄り添っているとコンコンとドアがノックされ、鈴木葵ちゃんの体が文字通り跳ねた。

1cmくらいは浮いたんじゃないかな?

そして私の後ろに素早く隠れる鈴木葵ちゃんと白井姫花ちゃん。

その様子に苦笑しながら斉藤桐江ちゃんがどうぞと答えるとメイドさんが入ってきた。


「お食事の用意が出来ましたので食堂までご案内させていただきます。」

そして案内されるままに食堂へ行き、席に着くと籠に山盛りのパンとスープにサラダとステーキが出てきた。

周りを見ると皆思い思いに食べ始めているけど、ご飯を食べていると言うのに苦い顔をしている子や食欲が無いのか手が進まない子、逆にガツガツと食べまくっている子と様々だ。

横を見ると4人は何故か私を見ていて食事に手をつけていなかった。

どうも私が食べるのを待っている様にも見えるので戴きますと手を合わせてパンを手に取ると皆もそっと食事を取り始めた。

何時もなら賑やかな食事風景も不安からか皆静かに食べている。

とりあえず私は手に取ったパンに齧りついた。

ガリッ…ガリガリッ…バリボリバリボリ…

どうやら保存の為に焼きしめた物らしく、某おせんべいの如き固さだった。

バリボリと食べ進めているとふと視線を感じたので周りを見ると何故かいろんな人に見られていた。

クラスメイトどころかメイドさん達まで目を丸くしてこっちを見ている。


「りっちゃん良く噛み砕けるね、私にはちょっと固すぎて無理だったよ。」

そういいつつ白井姫花はスープに浸したパンを食べていた。

どうやら食べ方を間違えていた?らしい。


「おせんべい食べてるみたいで結構おいしいよ。」

バリボリと噛み砕くとふんわりと小麦の良い香りが鼻を抜け、ほんのり感じる甘みが心地よい。

サラダはシンプルなドレッシングで、少々脂っこいステーキに良く合う。

ちなみにステーキはチキンっぽい食感で香草らしき良い香りがつけられている。

少々物足りなく感じるのは香辛料が使われていないからかな?

スープはかぼちゃのポタージュみたいで彩りと思われるほうれん草が浮かんでいる。

少々味が濃い目なのはパンを浸して食べるためだろうか?

パンにつけるとやっぱり丁度良く、スープ単体でもほうれん草と一緒に食べると良い感じだった。

食べながら横を見るけどやっぱり皆元気が無く、食事も進んでいないけど一応食べれてはいるみたい。

でも鈴木葵ちゃんだけはもしかして食べてないんじゃないかって位減っていない。

仕方ないのでパンをナイフで半分に割り、鈴木葵ちゃんのポタージュに浸しておく。

突然の行動に再度視線が私に集まるけどそんな事より鈴木葵ちゃんだ。

チキンステーキを削ぐ様に切り分け、フォークの背で軽く解してソースに絡めておき、サラダからトマトを取り出してこれも小さく切っておく。

そしてポタージュで柔らかくなったパンの片割れにサラダのレタスを載せ、刻んだトマトを置き、解した鶏肉を被せてパンの片割れもう一つを上に置く。

最後にステーキの乗っているお皿に移して、ポタージュのほうれん草を使ってへのへのもへじ…と。


「はい葵ちゃん。食欲無いかもしれないけど食べないと倒れちゃうよ。」

「あ、ありがとうりっちゃん…。」

他の3人が何故か生暖かい視線を向けてくるのは何故だろう?

ともかく、鈴木葵ちゃんに食事を少しでも取らせる事には成功したいし良しとしよう。

それにしてもカトラリーのナイフに刃がついてて良かった。

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