9、別についてこなくていいです
「ごめんね、勝手に決めちゃって。」
「ええよ、どんな状況でも百合を守るだけやから。」
「ありがとう。じゃあ準備しようか。」
「なんの準備だ?」
いきなりアルヴィンが現れた。この人は魔力を制限していないのだろうか。
「アルは魔力を制限していないの?」
「話を聞けよ、俺は魔力が溢れ出ているんだ。この世界で1番強いからな。はっはっはっ。」
誇らしげに高笑いしている。藤は呆れたように、
「それやったらにーちゃん1人で結界はれるんちゃいます?」
「それは無理だな、運命の恋人の魔力を混ぜないと完全な結界にならねえんだよ。もし1人ではれるならわざわざお前をよばねえよ。」
「そうなんや、すみませんね。」
「百合様聞きましたよ、この世界を回られるのですよね。護衛として私も同行致しますので。」
バートさんが駆け寄ってきて、話してしまう。折角、話を変えたのに。私がおかしな顔をしたのかバートさんが、
「すみません、まだ行くとは決まってなかったのですか?」
と追い打ちをかけてくる。私は藤とひっそり行こうと思っていたのに。誰にも頼らず、少し働いては移動してお金を貯めて行こうと思っていたのに。
「おいどういうことだ。何故俺には相談しない?もし世界を回るのなら絶対に俺も行くぞ。」
ああまたややこしい話に。王妃様から土地別の名物を聞いて妄想を膨らましていたのに。もう旅に出る気満々だったのに。
逃げよう。藤聞こえてるよね、私ここから逃げるからね。
「おい何かこそこそしているな。バート絶対に逃げるぞこいつら。」
「えーそんなわけないでしょう、ねえ百合様。藤君も逃げませんよね。」
バートさんの笑顔が怖い、2人がじりじりと距離を詰めてくる。まずいもう強行突破するしかない。藤行くよ!
私たちは一目散に走り出した。なのに走れていない、足が前に一切進んでいない、足が凍っている、これはバートさんの魔法かな。
「私を2度も出し抜けるとお思いですか?嫌なことがあったら逃げるのではなくて、笑顔でかわしなさい。それにしても、軟弱娘とその下僕と勘違いストーカーこんな3人と旅をするなんて先が思いやられますね。」
この人。
「バートはこんな奴だぞ、見た目で惑わされるんだ皆。それに俺は下僕じゃないぞ。」
見当外れのことを言ってるアルも怖いけど。この人怖い。本能が告げている、怖い。目が笑っていない。
「失礼ですね。優しいですよね百合さん?ちゃんとアドバイスしてあげたし。」
「そ、そうですよね。あのほんとあり、ありがとうございます。」
「ちょっとお兄ちゃん百合怯えてるやん。やめろよ。」
こっちはこっちで怖いけど、とにかくバートさんの視線から逃れるために藤の後ろに隠れた。
「だからこういう時に笑顔でかわすんです。それは自分が弱いということを証明するようなものです。あなたは純粋すぎる。もっと裏まで見なさい、相手だって逃げたいかもしれないのを、仮面をつけて自分の方が優位だと見せているんですよ。さあ準備をしましょう。」
1度落ち着こう結局旅は4人で行くのか。
「バートさんは騎士団長なのに国を離れてもいいんですか?私は藤に守ってもらいますよ。」
どうだ、私だって嫌みを言えるんだぞ。旅には付いてこないでください。
「これはこれは百合様ご心配は無用ですよ。王妃様から絶対に守れと言われていますから。」
うわあ全然きいてない。
「すみませんでした、ありがとうございます。お願いします。」
バートさんはにやりと笑いながら私と藤を部屋に連行した。




