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31、病魔さんとお話しです


「良かった。お許しが出たところで話をしようか。君が次の結界をはる人だね。」


「ええ、そうです。」


「やっぱり。とんでもない魔力を感じるよ。君は私のことを聞いているようだね。人類を滅ぼす可能性があると。」


「はい。そう聞いています。」


「私は人間の両親から生まれたんだ。ごくたまに人から人を超越したものが生まれる時があるんだよこの世界では。私の力は成長すると共に強くなり、私の意思とは関係なく私の出す瘴気は故郷の村を滅ぼした。でもその瘴気は魔物には心地よいものだったらしく私の周りには魔物が寄ってきてね、昔は魔王と呼ばれていたよ。」


「魔王!」


 アルがちらとこちらを向いた。


「ああ、もう何百年も前の話だがね。この結界は少しずつ私の力を吸い取ってくれるものなんだよ。1人でいるのは寂しい時もあるがありがたいと思っているよ。」


「そうなんですか。」


「ああ、だけどねこの頃こう思うんだ。どうして私は生まれたんだろうと。だって私はもう何百年も1人だ。私がいるだけで人は病気になってしまう。そのせいで誰もよってこずあろうことか、こんな場所に閉じ込められている。私は誰かを傷付けようなんて思ったことないのに。この力を望んだわけではないのに。同情してくれないか?」


「ええ、そうですね。同情します。」


「ありがとう。君は優しいね。しかもこんな状態で話せる人は初めてだ。だからお願いをしてもいいかな?」


「私にできることなら。」


「結界をはるのをやめてくれないかな?」


「えっ?それはちょっと。」


「君の魔力は稀にみるとんでもないものだ。次に結界をはられると私は消えてしまうかもしれない。アルヴィンもとても強い魔法使いだからね。」


「そうですか。」


「ああ。勿論ただでとは言わないよ。私が生き延びるかわりに君の両親を生き返らせてあげよう。君の望みだろう。」


「えっ!両親を…」


「百合!騙されるなよ!そいつは悪の化身だぞ!」


 アルが叫ぶ。


「でも両親を生き返らせてくれるって!」


「無理に決まっているだろう!もういい加減目を覚ませ!俺がそばにいる!死ぬまで!」


「でも…」


「お前の魔力を今すぐ吸い取って結界を破る気なんだよ!この世界の全員が死ぬんだぞ。」


「人聞きの悪い。藤君、君からも言ってあげなさい約束は守る人だと。」


「何故?今藤の話になるの?」


「百合ちゃん…」


「なに?なんなの?」


「藤君伝えてないのかい?もう彼女を守護する力がない役立たずだということを。君はただの人になってしまったからね。」


「えっ。」


「ごめんな、もう僕には百合ちゃんを守る力はないねん。前の世界で両親を亡くして抜け殻になった百合ちゃんを、誰も知ってる人がいないこの世界でまた1人にしたくなかった。どうしても一緒にいてやりたかった。だから人間に。でもこの世界でたくさんの大事な人が出来てほんまによかった。」


 そう言って藤は泣いている。私は自分が情けなくなった。藤は、ここまできて自分のことしか考えていない私の為に自分の力を犠牲にしてそれでもそばに居てくれた。


「ごめんなさい。藤の気持ちも知らないで。ごめんなさい。」


 私は泣きながら謝った。


「病魔さん私は結界をはります。もう迷いません。ああ、気付けて本当によかった。私もこの世界で大切な人ができたんです。だからその人たちを守りたい。」


「百合、お前それで後悔しないか?この病魔なら両親を生き返らせる事ができるかもしれないぞ。いいのか?後悔しないか?」


 アルはさっきとは違う事を言っている。


「うん。後悔しない!私は結界をはります。」


「合格ですね、百合様。」


 ここにいるのがおかしい人が出てきた。


「一時はどうなることかと思いましたが、よかったです。この選択をしてくれて。」


「バートさん?どうして?」


「この病魔の誘惑が最後の試練だからですよ。この試練を仕組んだのは私です。」


「病魔さんもう普通にしていただいて結構ですよ。」


「あー肩こるわーあの喋り方、じじいかよって。」


「百合様、病魔さんは次の結界で瘴気を浄化されるそうです。そうしたらここを出られるんですよ。その後研究所で少しだけサンプルを採らせていただいて一緒に研究をするそうです。」


 私はふつふつと怒りがこみ上げてきた。あの試練まだ続いていたのか。


「ここでてめえらを滅してやろうか。」


「まずいぞ、だからやめようと言ったんだ。」


 アルはバートさんを盾にしている。


「結界があるから入ってこられない。バリア!」


 病魔さんは子供っぽくなっている。


「百合様、あなたは女王になるのですよ。これ位上手く笑顔で交わさないと。」


 バートさんが笑顔で言うのを私は怒りで返した。



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