28、真意は謎のままです
アルはワープの魔法を使って消えてしまった。意味があるのか分からないが周辺で聞き込みすることになった。
まずは屋敷の隣のカフェだ。とりあえずコーヒーとケーキのセットを注文した。客は私たち以外誰もいないので質問することにした。
「すみません。ここの隣の人ってこられますか?」
「ええ、来てくれますよ。もう一つ隣のレストランで食事をとってるのを見たことあります。」
「私の友達の恋人なんです。初めて会うんですけど。どんな人ですか?」
「どんなって…。そうですね。特には。」
「友達とか知りませんか?」
「うーん友達?分かりませんね。」
「ありがとうございます。」
そこで会計をして店を出た。
「百合ちゃん、レストラン行こうか。」
レストランでも聞いたがこちらは誰の事かも分かっていない様子だった。レストランを出た所で私はため息をついた。
「ねえ情報なんて集めてどうするの?キャロルさんはもうあのままかもしれないのよ。情報なんて何になるの?行く前に調べるべきだった!」
藤に怒鳴っても仕方ないのに、口から出る言葉を止める事ができなかった。
「私が話をしなきゃよかったんだ。そうすれば!」
「百合ちゃん、それは違う。結局、こうなる運命やったと思う。前の世界でいう心の病気はキャロルさんだけじゃない。カート君もそうやろう、あの子は多分、百合と会う前に傷付ききった。それで、」
私は藤の話を遮った。
「分かってる!でも、何かできたかも!」
「無理やった!どちらも救えなかった!できたかもなんて、そう思う事自体自惚れてる。それにキャロルさんだっておかしいやろ、なんでカート君がまた現れると思ってんねん!20年もなんの為に治療薬を作ってんねん!」
「2人ともいい加減にしろ。言ってた妖精を連れてきたぞ。」
「いえーい妖精さんでーす!」
私と藤は道の真ん中で言いあいをしていた。少人数だが遠巻きに見られていた。アルはハイテンションで背が高く肩幅もある男の妖精さんを連れていた。場所を移そうとホテルに移動した。
「さっき長にした話をもう一度してくれ。」
「うん、分かった。あのねキャロルはね、10年前にあの屋敷に来たんだー。すっごい量の本とかと一緒に!それからずっとずーっと本を読んでお薬作って、本を読んでた。でこれも失敗ってがしゃーんって!でもおかしくない?病気の人が試してないのに失敗って決めつけてさ。だから言ったの。そんな無意味なことやめてもっと違うことすればって!自由に楽しく生きるんだよ!って!」
妖精さんはそれだけ言うと消えてしまった。
「結局、あの妖精はキャロルに前を見てほしい。そして自分の人生を歩んでほしかっただけみたいだな。」
「カフェとレストランは常連だったけど、誰の記憶にも残ってなさそうだった。あの妖精さんだけが覚えていた。あの人はキャロルさんは何のために薬を作ってたの?だってカート君が帰ってくるかも分からないのに。」
「とにかく屋敷に戻ろう。俺たちは戻ると約束した。」
「失礼します。百合様いらっしゃいますか?」
ホテルの方が来られて手紙を渡してくれた。カート君からだ。
皆へ
今まで旅をしてくれてありがとう。やっとキャロルに出会えたよ。キャロルを見るとまた衝動が抑えられないんだ。でも今度のキャロルは逃げない。だから2人だけで生きていくよ。これからは3人で旅を続けてね。楽しかったよ皆ありがとう。
「お客様!お客様!」
先程の方が叫びながら走ってきた。
「あの屋敷が燃えています!こんなこと黄の国で初めてです!」
私たちは走って屋敷に戻った。ごうごうと火柱が立って屋敷が燃えている。もしかしたら治療に辿り着いていたかもしれないものも全て炎に包まれている。キャロルさんの20年が全て燃える。後に何も残さずに。
鎮火後やはり屋敷の中に死体はなかった。他の人々は厄介者が消えたわ、あの辺りは暗い花も多かったし位で、キャロルさんが居なくなっても悲しむ人もいなかった。1番綺麗な国だったのに。私たちの中で1番悲しい国になった。
3人になった私たちは最後の旅の行程の、病魔へ行くことにした。病魔は白の国の近くなので、1度魔法具で白の国へ戻り病魔へ行くことになった。




