22、洋館はびっくりです
洋館の中は割と綺麗だった。人があまり通らない道の廃墟が、ホコリ1つ無いっておかしくない?藤を見ると頷いてくれた。アルはただ震えている。
「あのさホラースポットって本当に幽霊が出る場所って少ないの知ってる?」
「急になんだ。百合。」
「こういう場所って薄暗くて人が近寄らない。だから悪い人が女性を連れ込んで襲ったり、何か人に見られたくない物を隠したりする。それでその悪い人達は他の人が、ここを避けるような噂を流す。噂を聞きつけて面白半分で来た人が、実際に被害にあった女性を夜に見たりすることで、余計に噂が広まるの。そういう場合もあるんだよ。」
2人は黙って聞いている。
「まあそういう怨念が幽霊になってしまったなら、仕方ないかもだけど。」
「ねえあのお姉さん怖いね。」
「でも賢いね僕らに気付いてるのかな。」
「人間なんて嫌いだ勝手に僕らの家に。」
「まあ僕らも勝手に住んでるし。」
「藤、聞こえる?」
「ん?百合ちゃんどうしたん?」
「何かがひそひそ話をしてるの。」
「なっ何?今の声、幽霊かやっぱり幽霊が!」
そういってアルは走って玄関から出ていってしまった。
「あっ1人出て行ったよ。」
「あいつ弱虫だな。」
「あのお姉さん聞こえてるみたい。」
「ほら黙って。」
「藤、今しゃべった!」
「うーん。確かに唸り声は聞こえる。話しているというより唸っているな。」
だからアルは怯えてたのか。藤は顔色1つ変わらない。まあ藤も霊か。
「すみません。少しだけ出てきていただけませんか?お話しがしたいです。」
「あれあのお姉さん本当に聞こえてる?」
「出てきてほしいってさどうする?」
「お前が行けよ!」
「やだよ、人間怖いよ。」
「もうよい。わしが行く。」
「すみません、勝手に入ってしまって。でも危害は加えません。お話しがしたいです。姿を見せていただけませんか?」
藤は黙って聞いてくれる。
その時だった鯉がふよふよと浮いて出てきた。
「ほら出てきてやったぞ。」
「ありがとうございます。ここに住んでるのですか?」
「ああそうだ他にもいるが、人間が怖くて出てこられないのだ。」
「すみませんでした。私たちもすぐに出ますね。」
「待て。さっきお前がしていた話だ人が近寄らないように広めてくれ。」
「うーん。あれは人が来るかもしれない諸刃の剣です。先に出て行った人に幻惑の魔法をかけてもらってもう見えないようにする方がいいのでは?」
「ならそうしてくれ。静かに暮らしたいのだ。」
「分かりました。」
「後、もう一つ。何故お前は我ら魔物の言葉を話せるんだ?」
「えっ!」
「えっ!って今話しているだろうが。」
「藤!私何言ってるか分かる?」
「えっうん。わかる。」
「鯉さんの言葉は?」
「分からない。」
「ほらな普通の人間は皆分からぬぞ。さっき出て行った奴も。我らの声は唸り声としてしか認識できていない。」
「なんでだろう?」
「はっ自身のことも分からぬのか。まあ良いさらばだ人間。」
そう言うといつの間にか外にいた。洋館の裏手だ。洋館の周りを歩いて表にまわる。そこには酷く疲れた顔をしたアルを介抱しているリリアとバートさんが見えた。
私はアルに話しかける。
「アルどうしたの急に出て行って!」
「だって百合が怖い話をしたあと唸り声が聞こえてきただろ?」
「えっ?」
「えっ?」
「藤、私何か話したっけ?」
「いやなんも話してないと思うで。」
「アル何を見たの?」
「百合!藤!冗談だろう!お前が声が聞こえると言ったろ!」
「アル大丈夫?私はずっと黙ってまっすぐ歩いてたよ。」
「えっこの洋館なんなの!」
リリアが叫びアルは震え続けている。
「アル様そんなに危ない洋館なら人の目に触れない方が良いのでは?」
とバートさんが告げる。心の中でガッツポーズをした。イメージアップの旅だからね。そう言ってくれたらいいなと思っていた。
「分かった。幻惑の魔法を最高難度のものをかける。」
それからアルは5分の間詠唱を続け、唱え終わると洋館は綺麗さっぱり姿を消した。
そしてカート君が戻ってきた。皆、怯えている異常な光景をカート君は無視して出発の準備をし始めた。皆も何も言わずに準備し洋館のあった場所を後にした。




