10、さあ出発です
部屋に連れて行かれ身支度を、と思ったけど召喚されたので私は何ももっていなかった。仕方なく王様夫妻からお金をお借りし町で整えることにした。アルは別に準備があるということで私と藤とバートさんの3人で町でお買い物をすることになった。
町は栄えていてお店がたくさん出ている、その中でも揃えなくてはいけないのは、衣服と長持ちする食料と医薬品かなそれ以外はバートさんに聞こう怖いけど。そうと決まれば私と藤の服を揃えよう。
「バートさんまずは服を見てもいいですか?」
「ええどうぞ、ここの町は大体、白の服しかありませんが。ここのお店とかはどうでしょう。」
うーん旅にでるのに白ってどうなんだろう。歩いて移動するのに白か。まあとにかく入ってみよう。お店は男女どちらの服も置いているので藤の服も買えそうだ。この世界では黒の服は喪服なのだろう仕方ない店員さんに聞いてみよう。
「すみません、黒い服ってあります?」
やっぱり汚れが気になるので黒を買いたい。普段着る白の服も欲しいけど。
「くっ黒ですか。このコーナーです。」
店員さんが驚きながら案内してくれたのはお店の奥の隅の一角だ。わたしはその中からYシャツとTシャツとワンピースにズボン、雨よけにポンチョとコート、全て装飾はついていないシンプルなものだ。シャツとズボンは3枚ずつブーツは2足買おう。次は白の服だ、白は黒の一角以外全てなので様々なデザインの服がある。この世界の服は白か黒かしかないのかこのお店には色が2色しか見られない。白の服はドレス1着とワンピース2着だけでいいだろう、ドレスは華美すぎないもの、ワンピースはシャツタイプとセーターのものシャツの方はパジャマにしよう。白のブーツも買って、それにしても靴はなぜかブーツしかない男性も女性も。折角だから下着と靴下は一週間分揃えておこう白しかないけど。
藤も同じ考えなのか服の全てを黒にしている白の服はYシャツとズボンだけなので私と同じ考えで町だけで白を着てそれ以外はずっと黒の服を着るつもりだろう。
お会計をすませて藤と白の服に着替える春のような温度なので私は長袖のワンピースとブーツ、藤はYシャツとズボンとブーツだ。やっと浮いていない服に着替えることができた。お店を出てバートさんに基本的なことを質問してみた。
「バートさんこの世界って気温はずっとこんな感じですか?」
「えーっとあなたの世界でいうと春と冬しかありませんね、雪は降りますが積もることはありません。気温は寒くなっても0度まで暖かくなっても25度以上にはなりませんね。」
なんて過ごしやすい最高の世界だ。
「次は長く持ちそうな食品を買おうと思っているのですがおすすめはありますか?」
「それなら干し肉がおすすめですね。調理もしやすいし、でもその前に魔法具を買いましょう。」
「魔法具?」
「ええ旅に出てこの大量の衣類をどのように運ぶおつもりですか?」
「えっリュックないんですか?」
「ありますけど普通のなら入りませんよ、つきましたよ。」
なんでもしまえる鞄ありますという看板がでているお店だ。なんでもしまえる鞄…。四次元…。
「いらっしゃいませ、どのような鞄をお探しですか?」
「僕はリュックのタイプがええわ、両手あくし。」
「わっ私も同じものを。」
店員さんが出してくれたのはシンプルなリュックで前に大きなポケットがついているデザインのものだ。鞄も白か黒しかないので2人とも黒にした。店員さんは不審そうにちらと見たけど普通に売ってくれた。
店を出て早速さっきの服をいれると、全く重くならず膨らみもしない中は普通にリュックなのだが上からいれれば底がないように永遠に入るリュックなのだ。とても便利だなリュックをさげるとバートさんが、
「あなたたちは本当に黒しか選びませんね。今だって仕方なく白をきているのでしょう。ここの者たちは白の民として誇りをもっているから白しかきないんですよ。白は清廉潔白を意味して着ています、だからこの辺りはとても治安がいいんですよ。それと昔から医療関係者や研究者が多く白衣を着ている者が多いので白の民と呼ばれるようになったとか。とにかく目立たないように。」
「「はい。」」
バートさんの言うことはしっかり聞いておくべきだろう。
その後、食品と医薬品をある程度揃えた私たちは研究所へ戻った。騎士団庁舎は研究所の敷地内にあってその前でバートさんと別れた、出発は2日後になるらしい。
王妃様に買い物から戻ったら顔を見せてと言われていたので、2人で部屋に向かった。何のようかと思えば。
「百合ちゃん、藤君これは取っておいてちょうだい私たちのせいだから。」
「いいえ、受け取れません。」
「だめよ、受け取って。」
私と王妃様はお金を互いに押しつけ合っている。お買い物も結局王妃様が出すと押し切られ旅費まで全額出すと言われているので丁重にお返ししているところである。
「わかりました。買い物はありがとうございます。でも旅費は受け取れません。」
精一杯の譲歩だ。
「いいえ、どちらも出します。」
「いえ、受け取れません。」
「しつこい、レジ前のおばはんか。百合もう受け取りなさい。ありがとうしなさい。」
藤が珍しく叫びこの押し問答に終止符を打った。私は仕方なくお金を受け取り頭を下げ王妃の部屋を後にした満足そうな王妃を残して。
2日後私たちは騎士団庁舎の前にいた、バートさんが出てきて全員揃った。
「お待たせしました、では行きましょう。この世界は白の民と青の民、赤の民、緑の民、黄の民の世界から成り立っています。まずは海の近くにある青の民の町に向かいます。魔物はそれほど強くありませんが油断しないように。それでは出発します。」
なっなんですと魔物、魔物ってあの。
「魔物ってなんですか?魔物がでるんですか?」
「怖いのか?大丈夫だぞ俺が守ってやるから。それにバートもいるし。」
「百合様、魔物については後で説明しますので、お尻を蹴り上げられたくなければ歩いてください。」
私は仕方なく歩き出した、旅はまだ始まったばかりなのにもう後悔している私に藤はただ苦笑していた。




