1、召喚されたようです
「おい、俺と結婚しろ」
「嫌です」
「なっ」
断られると思っていなかったのか目の前の男は断った瞬間から、目を見開き私を凝視したまま動かなくなってしまった。誰かも分からない人にプロポーズされて結婚する人など、どこにいるのだろうか。それに変わった格好だコスプレ?やっと式が終わったとこだったのに。
ここはどこなのだろう、気付いたらここにいた、座っている場所には5行程文字が書いてあって、部屋の中心にいる。真っ白な壁に大きな窓、窓からは雲ひとつない真っ青な空と、きらきらと光が反射し、ゆったりと流れる小さな川が見える。川のそばにこの部屋と同じ真っ白な壁の家ばかりの街がある。
少し落ち着き周りを見渡すと、未だ目を見開いている男性の他に4人いて、王様と王妃様、神父様と騎士団長らしい、正装なのかドレスやガウンを着ているのに胸に役職と名前、年齢がかかれている四角い名札をつけていてとてもシュールだ。なんだ劇か何かだろうか?目の前の男性の名札には魔法使いという役職の横に俺が1番強いと書かれていて少し笑ってしまった。4人ともプロポーズを断られた事に吹き出すのを我慢しているのか、小刻みに肩が震えている。視線で私が笑った事と周りが笑いをこらえていることに気付いたのか緑の瞳が少し涙目だ。顔を髪の毛で隠すように下を向いてしまったので真っ黒な髪しか見えない。
それにしても魔法使いなんて、悲しみのあまりおかしくなってこんな夢をみているのかもしれない、だったらちょうどいいこの泣きそうな魔法使いに私の願いを叶えてもらおう。
「すみません結婚するので、1つお願いを叶えていただけませんか」
「いいけど多分今からお前が言うお願いは無理だぞ、両親を生き返らせてくださいだろう。その願いは叶えられない。」
無理、それだけ聞いて私は窓から飛び降りた。




