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親愛
藤岡が去り、黒のスーツの越川、グレーのスーツの伊丹両刑事は居酒屋へ
「おお。達之と伊丹刑事か。」
店主は達之と顔見知りである
「大将、俺は有紀を精神的に追い込んだかもしれない。」
どういう事だ? 話聞かせろ
「なるほどな。有紀ちゃんが心を病んでしまったか。」
話を聞いた居酒屋店主は二人にビールを出した
グラスについだのは伊丹だ
「で、医者は受診してるのか?」
今、入院中なんだ
担当は高岡先生。
高岡教授なら間違いない。
居酒屋店主の松重は板前経験を持つ
50代で強面。この店は魚介類を主に扱う
「有紀ちゃんのことだ。お前のところに帰ってくる。お前は親友のような恋人として帰ってくるのを待ってろ。有紀ちゃんがお前にしてくれたように。感謝しかないんだろ。」
有紀に感謝しかない達之。
こんな子供っぽい俺なんか、見放してくれていいのに。
彼は何度そう思っただろう。だが、彼女は要所要所でフォローしてくれる
有紀ちゃん以外お前を助ける女神はいねぇぞ。
松重はそう言う
ビールとお造りの盛り合わせを食べながら、有紀への想いを
感じずにはいられない。
土曜の夜のことである