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[よん]
当時の私は商社に勤めていた。
営業、転勤、出張と営業マンの醍醐味を堪能中であった。
今では堪能中だったなんて言葉が出てくるが、当時はその考えは浮かばなかった。「上司の尻拭い」しか頭になかった。
客先へ行く先々で、私の前に前任していた担当営業の話をよく聞かされた。
身になるものなら良いが、全てはその担当営業の愚痴であった。見積が遅いだの。納品に間に合ってないだの。話がわかりにくいだの。
そんな評判の人だが、会社ではクビにせず、私の部署で事実上、私の上司になった。