僕、背後霊になります。
僕が何だったのか、何でここにいるのか、全く分からない。
わけが分からないまま僕は知らない少年の背後霊に任命された。
オルカディオスはマジックで何も持っていない手からコインを出すような仕草をすると、本当に手からコイン、ではなく扉が出てきた。その扉は霊世の景色と同化して、もともとここにあったかのようだ。
「この扉はエクプリス、この扉をくぐったらお前は前世の世界に行ける。そしてこの少年の背後霊になれ。」
そこまで言うと、3Dみたいに少年の顔が映し出された。
僕はその時一瞬だけ、ほんの一瞬だけ胸が熱くなった。
そしてエクプリスがゆっくりと両側に開いて行く、中からは眩い細い光が差し込んて来る。そしてエクプリスが開ききった時、中に映っているのは少年の後ろ姿だった。
「お前の仕事は少年の背後霊だ。早く行け、言っとくが俺はいつもお前を見ているからな」
僕は混乱しながらも、オルガティスの言う事に従い、扉へ一歩、足を踏み入れた。
その瞬間、僕の体は扉の中に吸い込まれどんどん沈んでいく…扉がどんどん小さくなっていく。僕が扉に吸い込まれる寸前、オルガティスが
"楽しませてくれよ"
と、不気味に囁いた気がした。
そして今は、風磨の裏についている。
これから起こる事をまだ知らない僕はただただ風磨の裏に着く事しかしていなかった。
背後霊と言う仕事の本当の意味を僕はまだ知らなかった。