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兄妹の日常

戦略的な妹

作者: 十奥海

 町の映画館。俺は妹の「紫藤しどう せり」と一緒にアニメの映画を強制的に見させられに来ていた。

 物語の一人称、二人称の関係上俺の名前は一回も使用されないが俺の名前は「紫藤しどう 巳弦みつる」別に覚えておく必要の無い名前だ。

 正直言うなら、俺はアクション系の映画が好きなのだが先日芹が、

「兄貴・・・言うことを聞かなければ素っ裸になるぞ!」

 と半分変態、半分脅迫まがいなことをしてきたので裸にさせても良かったのだが、それはそれで、以後母親に報告が言って俺が変態扱いになるので承諾してしまった訳だ。

 別に芹の裸が見れなくてちょっと残念だったなんてこれっぽっちも思っていない訳で、だから羨ましがるんじゃないぞ?

 そんな訳で、脳内を後悔で悶々とさせながら俺は町の映画館に居るわけだ。

 隣には、茶髪に染めたセミロングの髪がふさふさとなびいていて、いい香りをさせる芹が居る。

「兄貴、ちょっとバック転してみて?」

「なんで俺は、こんな公衆の面前でバック転をしなきゃならないんだ?」

「だって、できるんでしょ?見せてよ」

「うん。まず俺はできるなんて一言も言ったことがないな。むしろ出来ないし」

「なんだつまらない」

 いつ何時どんな事を仕掛けてくるか分からないからこいつは全く気が抜けない。

 映画館に来るぐらいだったら、まだ、家で傘コレクションを手入れしていた方がましだ。

「あ」

 何かに気づいた様子の芹。

 今度は何をしでかすのやら。

鞠野まりのがあんなところに」

「何!?」

 鞠野。

 その言葉に異常なまでに反応する俺。俺は周囲を見回しながらどこに鞠野が居るのかを探す。だがどこにも居ない。少し焦りが募る。なぜ焦るのかだと?

「なぜ鞠野を連れてこなかったー!」

 上空から、黒くつやのある短い髪を逆立てて足を前に出しながら近づく人影が一瞬見えた。

 だが声と共に俺は意識を失った。

 鞠野は二階から飛び降りて俺に降りかかってきたのだ。鞠野の足は俺の胸部に的中してそのまま鞠野の体重に耐えることが出来ずに倒れこんでしまい、頭部を強打。

 死んでもおかしくはない一面だ。

 それでも、鞠野は怒った様子で俺を見下ろしていた・・そうだ。鞠野とは、俺の妹だ。



鞠野「鞠野悪くないよ?」

芹「ああ、全ては兄貴が私を映画館に強引に連れて来たのが悪いんだ。だから鞠野は悪くない」

巳弦「(気絶なう)」



 結局俺は映画館の待機席でずっと気絶をしていて映画を見ることはできなかった。

 そして、一時間後。

 芹と鞠野が放置していた兄(俺)の方へと歩いてきた。

 その手には、パンフレットも買ってあり実に充実した映画鑑賞を終えた表情をしていた。

 飛び入り参加した、鞠野も芹と何か映画の場面で盛り上がった部分で話が盛り上がっている。

「あ、お兄ちゃん起きてるよ」

「ええ、兄はもう30分も前からずっとここで二人が映画館の中から戻ってくるのを待ってましたとも」

「え?私たち映画なんて見てないわよ」

 ん?じゃあ何でさっきから話を盛り上げていたって言うんだ。

 というか、そのパンフレットはなんだ。

 俺は怪訝そうな表情でパンフレットに目を移した。

『納豆名鑑100選』と表紙に書かれていた。

「お前たちさっきから、何をしていたんだ?」

「ちょっと、納豆について語り合ってた」

 俺が不思議そうな顔をしているのなんて、気にならないらしく芹は普通に答えた。

 というか、納豆名鑑ってなんだよ。なんで納豆なんだよ。

「鞠野はね、やっぱりオカメ納豆が一番いいってことに気づいたんだ」

 鞠野は鞠野で、何を納豆ごときに悟りを開いたようなことを言っているんだ。その、納豆の起源を知ってこそ分かることがあるんだ、見たいな表情はやめなさい。

「とりえず、帰るぞ」

「はーい」

 二人同時にいい返事が返ってくる。ほんとに返事だけは良くて困る。



巳弦「あー!俺の財布から2000円なくなってるー!」

芹「納豆名鑑100選を買うために貰ったわ」

鞠野「必要経費よ」

巳弦「(普通に窃盗にあうより納得できてしまうのは何故だろう)」



「ごちそうさま」

 芹はまだ、ご飯を食べて間もないと言うのに既に食器をキッチンへ持っていっていた。

「どうした?お腹すいてなかったか?」

「ん・・・」

 何か考え事でもしているのか、芹はまるで幽霊のようにふわふわした動きで残した晩御飯をラップで包んでいた。

「どうした?元気がないけどなんかあったか?」

「別に・・・ダイエットなんてしてないし」

 少し顔を赤らめて強がる芹。

 分かり安いことこの上ない。

「芹は気にする必要ないだろ」

「なんで?」

「だって、お前の脂肪なんて全部胸に行ってそうだからな」

 芹の胸はそこまで大きい!と言えるほど大きくは無いが、もともと小食の芹があそこまで育つのだから別に今更ダイエットなど考える必要がないんじゃないかと思う。

 俺は、ふざけて言うが芹のお怒りには触れてしまった様子。

「黙れ変態!」

 キッチンはリビングのテーブルを目の前に見えるようにした場所にあり、俺はテーブルのキッチンが見えない場所に居た。

 芹が何をしていたのか分からないが、俺の頭にはフォークが投げつけられていた。

 見事、頭に的中

「いてーーーーー!」

「お兄ちゃんお食事中は静かにしなきゃダメだよ」

 お叱りをするだけで、心配する様子の無い鞠野。しかも、食事はきちんとそのまま続けている。

 この兄妹ひどすぎる。

「兄貴なんて、ピアノ線に引っかかって死んでしまえばいいのに!」

 相当ダイエットに真剣に考えていたらしく俺は暴言を吐かれ、投げられたフォークもそのままで芹は、自室へと戻っていってしまった。

 そもそも、なぜピアノ線なんだ。

「そんな怒ることだったかな?」

「お兄ちゃんは乙女心をもう少し理解できるようにしなきゃだめだよ」

 男なんだから、乙女が理解できる乙女心なんて理解でてたまるか。

 そして誰も心配してくれないようなので、俺はフォークを自分で取る。

 頭からは血が出ているが、別段誰が動くわけでもない。

「フォークって頭に刺さると痛いね」

「当たり前でしょ」

 それでも、涼しい顔をして食事を続ける鞠野。恐らくだが、鞠野は俺が映画館に行くと言うのに誘ってくれなかったことをまだ怒っているんだろう。

 それぐらいの乙女心は分かるつもりだ。



芹「兄貴ー!私のパンツ返せーー!」

鞠野「お兄ちゃーん!鞠野のパンツ返してーー!」

巳弦「そんな大きな声で言うな!近所で変態扱いされるだろ!洗濯してやってるんだからお礼ぐらい言え!」

芹「え?近所で兄貴が変態だなんて常識だよ?」

巳弦「え?・・・・」



 そろそろ、良い子は寝る時間帯


 俺の趣味は傘集め。

 周りからは、随分とまたマニアックな所を追求するな、と言われるがこれが趣味な俺にとっては別にいいじゃないかと思うのだ。

 だが、妹たちに「なぜ傘だし」「雨降らなきゃ傘なんていらないじゃん」と言われると妙にダメージが大きい。

「最近、いい傘とのめぐり合いがないんだよな~。そもそも、最近の傘は機能性を高めましたとか言って、デザイン性が全く掛けているから困る。たまに、テレビで『色も4つそろえてあります』なんて、多機能プラスデザイン性を両立してますってしたり顔してるけど、色そろえれば言いって訳じゃないし」

 そんなことを呟きながら、俺はお気に入りの空模様の傘を手入れしていた。

 手入れと言っても、きちんと駆動するかどうかの確認をするぐらいなのだが、量があるから時間がかかるってものだ。

 手入れに没頭していると、誰かが俺の部屋をノックしてきた。

「入るよー」

 声の主は芹だった。

「ダメ~」

「入るねー」

 拒否も空しく、扉は開かれた。

「うわっ、傘くさっ!」

「傘臭いってなんだよ。傘は臭わねぇよ」

 芹は、扉の前で立ち止まり話していた。

 今の俺の部屋は散らかりきっているからだ。いや、散らかっていると言うか開いたままの傘がたくさん置いてあって足場の踏み場が無いだけだから別に片付けようとすればすぐに片付く。案外開いた傘ってのは場所を食う。

「兄貴、ちょっとこれ全部壊していい?」

「いい訳ないだろ!用件があるなら早くいいなさい!」

「ああ、映画館いけなかったから素っ裸になってやろうかと思ってちょっと」

「とりあえず、裸になった瞬間俺は全力で逃げるぞ。変態扱いされて晒し者になるのはごめんだからな」

 芹のいつもの言動から察するに俺は、変態扱いをされて遊ばれるのだろう。ならば、窓を突き破ってでも逃げてやる。

 そんな無駄な決意をする俺。

 だが芹は、あきれたような表情をしていた。

「女の子が裸になってあげるって言ってるのに拒否するとか兄貴ほんとに傘にしか性欲が向かないんだな」

「傘に性欲を催した記憶はねぇよ!」

 そんなこんなで、喋りながらも傘の片付け作業を終えて、全ての傘を傘たてに、飾ってあった傘は元の場所へと戻した。

 やっと、部屋にゆとりが生まれて足の踏み場が出来た。

「よし!片付いたし裸になる!」

「やめろ!」

 言葉を発した瞬間芹は、上に着ていたパジャマを脱ぎ始めた。

 こいつ、本当に脱ぎやがった!

 驚く俺は即座に止めにかかる。

「んん~」

 脱ぎかけでとめに掛かったから、腹が少し出ていて顔がスウェットで覆い隠された状態になってうめいている芹。

「ぬ・ぐ・な!てか、これ誰が得するんだよ!」

 ぐいぐいと上に引っ張ろうとする芹と下に戻そうとする俺の力でスウェットが伸び始めているが、ここで負けたらほんとに負け組みにされる。

 こいつは、そんないたずらを軽くやってのけるから恐ろしい。

「私が得するもん!」

「何に得するんだ!」

 もごもごとスウェット越しに声が篭もって聞こえる。

 瞬間、俺の力が一瞬弱まったのを感じたのか芹がぐっと力を入れる。

 パジャマは無残に伸びきり、俺の手に残り芹の体から離れた。

 芹の上半身を隠すのはブラジャーだけになっていた。困ったことに芹は、胸が大きい。男なら誰でも興奮しそうになるってもんだ。

「お兄ちゃんの事を私が襲っちゃうんだもん」

「は?」

 にやりと嫌な笑みを浮かべる芹。上半身ほとんど裸でそんなことを言われると妙に説得力が生まれる。

「てい!」

 掛け声と共に芹は捨て身でタックルをしてきた。俺はかわすことも出来ずに自分の体重ですら尻餅をついたら痛いと言うのに二人分の体重を尻に感じる。

「いって~」

「どうだ!ほ、本当だったら裸になったら兄貴が欲情する予定だったんだが、まぁ予定なんてどうでもいい」

「いやまて、俺はそう簡単に人の道を外れたりしないから安心しろ」

「女の子が裸になったら、据え膳食わねばなんとやら!って言うでしょ」

 芹にマウントポジションを取られ腕は掴まれて動くことすら間々ならない俺。なんて情けない姿なんだと自分で思う。

 と言うか、さっきからこいつは何故こんなに暴走をしているんだ。

「まず、俺は裸にするのを阻止したはずだぞ。欲情なんか・・・とりあえず、だから上からどけ!」

 腕に力を入れて、抵抗する。

 案外芹は力が弱く簡単に腕を動かすことも出来たし、踏ん張ったら芹の体は簡単にどいた。女の子ってのはこんな軽いものなのか。

 上から退いた芹は

「さてブラも」

 そういった瞬間、俺はホックに手を伸ばした腕を掴んで抑止した。

 ぎりぎりセーフここまでやられたら自分だって、男なんだしあれがあれしちまうってもんだ。

「ふぅ~」

 腕を掴んでなんとか安全は確保されたかと思ったが、ふと芹の後ろ見ると

「お、お兄ちゃんがお姉ちゃんの腕を掴んで裸にしてる・・・」

 鞠野が愕然として立っていた。

 まだ、鞠野は14歳。中学2年生だ。

「ちょ、ちょっとばっかし、鞠野には刺激が強いかな~、あはははー」

「兄貴・・・言い逃れが下手すぎ」

 うるさい、じゃあどうやってこの状況を逃れろと言うんだ。

 と言うか、芹も言い逃れをしてくれ!

「ま、そんなこともあるか」

 鞠野はすぐに冷静さを取り戻し、その場から立ち去っていった。

 ん?立ち去っていった?

 それにしても、冷静すぎないか?

「鞠野だってもう、中学生だ。私が中学生のころはもう、兄貴のエロ本の場所も突き止めて読んでいたからな。とりあえず、もう脱がないから腕放して、痛い」

 こら、俺のクローゼットの奥を勝手にあさるんじゃない。ってまさか、鞠野まで俺のクローゼットを勝手にあさってたりするのか?

 とりあず、俺は腕を放すことにした。

「ああ、ごめん。なんか疲れたしもう、俺は寝る」

「んじゃ、私も寝よ」

「そうしろ、さっさと寝て、俺を静かにさせてくれ」

 そういって、芹が向かったのは俺の布団。

 無言で歩いていったと思いきや、有無を言わさず俺の布団で寝る準備を始めだした。

「はぁ~・・・とりあえず、服着たらここで寝ていいから服着なさい」

 もう、何を言っても聞いてくれないのはいつもの事だから、結局観念して寝る事を許してしまった。

 脱ぎ捨てられたパジャマを拾い上げ芹に渡す。

 もぞもぞと、布団の中で服を着る芹。

 さっきの、状況を留意して今の状況を考えるとなんだか、それに色気を感じる事はなかった。

 すると、掛け布団を叩いて俺にさっさと布団に入れと指示がでる。

「ったく、鞠野ならまだしも、子供じゃないんだから一人で寝ろよな」

 ボフン

 もしかしたら、これは昨日の一言から戦略を練っていたのかもしれないと疑う俺。

 結局今日は、芹と一緒に寝るのであった。



 睡眠中


芹「むにゃむにゃ・・・ダブルラリアットー!!!」

巳弦「ぐは!」

芹「ふ・・私の勝ちむにゃむにゃ・・・」

巳弦「・・・(気絶なう)」

暇つぶしに書いたものだったけど、芹のキャラ設定がちょっとツンデレだったので

案外書くのに苦労してしまった・・・・


暇つぶしのつもりがマジで考える羽目になってちょっと後悔w


というか、芹の服脱ぐのが突然すぎてうまくまとまらなくてそこで一番苦戦したw

挙句、うまくまとまらず終い・・・


タイトルはツイッターでこの前

「妹」を付けると、ラノベ調になるとのことでなんとなくw

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