プロローグ
6月上旬の朝、今年で19歳になった俺こと桐谷圭一はカーテンから漏れ出した太陽の光と大音量の目覚ましのアラームのダブルコンボにより目が覚めた。
仕方なく重い足取りで俺の部屋兼、物置部屋から徒歩5歩という位置にある風呂と洗面所のあるドアの前に立ち何気なくドアを開けた。もちろん顔を洗い、歯磨きをするために入ろうとしたわけだが…。
ここでいきなりだが言い訳をしたい。3年間独り暮らしをしてきて且つ、朝無理やり起こされた感じで頭が回転しきってない俺の意識と経験上このドアを開けても安全だと思ったのだ。
つまり、もしこのドアを開け目の前にパジャマを脱ぎかけている美少女がいたとしてもそれは事故であると主張したい。
「え・・・?」
「あ・・・」
「・・・・・・」
「お、おはよう・・・」
「きゃあああああああああああっ!!!」
決して広いとはいえない1LDKのアパート部屋中に美少女の悲鳴がひびいた。
何事かと駆け付けた大家さんに警察沙汰だけは勘弁となんとか言いわけをし早々に帰ってもらった。やれやれ・・・。
「葵、ホントにすまん。この通りだ…だから機嫌直してくれないか?」
「ふんっ…///」
ぷぃっと赤面し顔をそむけながらご飯を食べている美少女は西園寺 葵、16歳、高校1年生である。きれいな栗色の長い髪をお気に入りのリボンでポニーテールにしている。
「…お姉ちゃんもいい加減慣れたほうがいい…」
と物静かに俺をフォローしてくれてるのは同じく美少女である西園寺 雫、葵の事を「お姉ちゃん」と言っているが葵と同じ16歳、高校1年生である。これまたきれいな長い黒い髪をしているが束ねずにそのままのロングである。
「ちょっとー!雫まさかお兄ちゃんの味方!?」
「…鍵をかけなかったお姉ちゃんにも非はあると思う…」
「うぐっ…。だって前の家では~…」
「…前の家は前の家…今の家は今の家…」
「うぅ~…」
妹の前に撃沈し、だれる葵。流石にかわいそうと思うがこの事件の発端である俺が励ましてもどんどん不機嫌になっていくのは明確である。すまん・・・。
「…お姉ちゃん…そんなだれてると遅刻するよ…」
「だれのせいよ!だれの!」
「あーここまでだ。ホントに遅刻しちまうぞ。葵、ホント悪かった、何かお礼に言いつけていいぞ。」
「ふんっ。当り前でしょ私達姉妹を誰だと思ってるの?」
あ~そういえばそうだったな。こりゃ1本取られたかな?などとのんきに考えてるとすでに2人の姉妹は玄関に立っていた。
「命令よ。帰りにハーゲンダッツを買ってきなさい」
「…私は…ガリガリ君でいい…」
と意気揚々と学校に出かけた。そして俺は一言。
「かしこまりました。お嬢様」
そう、あの2人はお嬢様なのである。お嬢様はお嬢様、それ以上でもそれ以下でもない、正真正銘のお嬢様である。そんなお嬢様がなんでこんなアパートでいっしょに暮らしてるかと…まぁ話せば長くなるんだよこれが…。
初掲載&連載です。よくあるシチュエーションかと思われますが、まったりいきたいです。