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暗闇の希望  作者: 凛音
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第四章

ライエム卿の館は町から少し離れた森の中にあった。その中を駆け回る蓮華はまるで黒い風のようだった。足をとめた蓮華はすっと目を細めた。目の前には標的のライエム卿の館が、そしてその巨大な門を守るようにガードマンが2人、裏に3人、その他にも周辺を歩き回っている者が多数いる。


「ご大層なことで」


ふっと笑みを漏らした蓮華は腰に差していた刀を抜き出した。蓮華の武器であるこの国では珍しい日本刀である名刀“氷桜龍(ひょうろうりゅう)”を構えた蓮華は一気に走り出した。地面を強く蹴って飛び出した蓮華に驚きを隠せないガードマンは声を上げようとする。しかしそんな暇を与えることなく蓮華は斬った。狙うは喉。普段は心臓か頭を狙うのだがここで大声を上げられて人数を無駄に増やされてはめんどうだ。


――――ザシュッ!


歩き回っている奴らを次々と切り捨てていく。喉を狙ってその首を胴体と斬り離す。不意に背後をとられた蓮華だが蓮華は妖笑を浮べる。目の前の男の喉につきたてていた氷桜龍をそのまま横振りにして背後の敵の腹を斬った。


「がっ!」


その後倒れこむ男に情け容赦なくその心臓を氷桜龍を突き立てる。その時の蓮華の笑みはその場にいる全員を金縛りにさせた。一人のガードマンが自分達では無理だと判断したのか無線機を取り出して応援を求めようとした。それに気づいた蓮華はポシェットから素早く小刀を取り出し目の前の敵を倒しながら携帯を持つ男にめがけて投げた。


――――グサッ!


小刀は見事敵の喉に命中。蓮華にかかればどんな小さな的でも百発百中で当たる。次々と倒れていく敵を踏みつけながら蓮華は次の敵を倒していく。わずか10分で門の外にいたガードマン達は息絶えた。蓮華は小刀や氷桜龍についた血を拭った。


「弱過ぎ。これじゃガードマンの意味ないじゃない」


呆れを含んだため息を零すと蓮華は館を見た。中はまだこの外の惨劇に気づいていないのか静かだ。だがそれももうじき慌しくなる。蓮華はポシェットから小型爆弾を取り出した。そしてそれを巨大な門に投げた。


――――ドォォオオオオォォン!!


けたたましい爆音とともに中が騒ぎ出した。蓮華はそれに笑みを零しながら爆破された門をくぐりぬけ中に入っていく。中に入ると館は50mくらい先にあり、さっそく中にいたガードマンが出てきた。その数は外の10倍。そして彼らの手には銃が握り締められていた。


「…そうこなくっちゃ、ねぇ?」


蓮華は一気に敵を斬りにかかった。一気に5人、10人、20人と次々敵の数を減らしていく。敵も蓮華も休む暇なく闘っている。敵は銃口を蓮華に向け発砲するが蓮華はそれを華麗に避けてその間合いを詰めて敵を斬る。もう喉じゃなくてもいい。心臓や頭を狙い蓮華の服や顔は返り血で一杯だった。


「くっ、貴様は何者なんだッ!?」


一人の男が発砲をしながら蓮華に叫んだ。蓮華は無言のまま笑って男を斬る。蓮華は氷桜龍を横に振るっては返り血を浴び、死体を踏みつけては次の敵を倒していく。


「これでも喰らえッ!!」


蓮華を中心に円陣を組んだ奴らは一斉に発砲した。うるさいくらいの銃声音。そして弾がなくなった頃、円陣の中心を見るがそこに蓮華はいなかった。もちろん死体も。蓮華の姿を捜そうと目をキョロキョロさせる男達。すると、上から何か振ってきてそれを見るとそこには笑っている蓮華がいた。


「がはっ!?」


恐怖が身体を支配する前にその男は吹っ飛ばされていた。蓮華が男の腹を思いっきり蹴ったのだ。蓮華の姿を確認した他の連中が銃口を向けるが蓮華は次の弾を撃たせなかった。一気に間合いを詰めて鳩尾に一発食らわせるとそのまま手ごと銃を高く蹴り飛ばした。残りの数名が蓮華に向けて銃を発砲しようとして蓮華は銃のない目の前の男をぐっと引っ張って盾にした。


「なっ!!」


気づいた頃にはもう遅い。引き金を引いてしまった弾は味方に当たってしまった。蓮華は相手の動揺の隙をついて先ほど蹴り飛ばして落ちてきた銃を取り連射した。円陣を組んでいた奴らは次々に死んでいった。そして蓮華はまた新たな敵を見ては殺していく。そうして30分くらいたった頃、生きている者は蓮華ただ一人となった。


「もうちょっと楽しませてくれてもいいのに」


顔についた返り血だけ無造作に拭うと館に入っていく。これまたでかい扉で蓮華はまた小型爆弾でその扉を吹っ飛ばした。そして爆煙が晴れてきて見えたものは無数の銃口だった。


「撃てぇッ!!!」


合図とともに蓮華に向かって銃が発砲された。10秒、いや15秒は銃声緒が鳴り響いた頃、ようやく銃声音は止んだ。しかしその場には蓮華がいない。


「ど、どこに行ったッ!?隠れるなんて卑怯だぞッ!!」

「後ろだ、馬鹿」


すっと背後に現れた蓮華。氷桜龍を一振りして血を払い落とし鞘に収めた。


――――チンッ!


やけに大きく聞こえる音に合わせて敵は一気に血を噴出して絶命した。残ったのは蓮華と男だけだった。


「な…ッ」


絶句した敵にゆっくりと一歩一歩近付き蓮華は言い放った。


「貴様に一つ、言っておこう」


口調が変わってその声は怒気で満ちている。敵は蓮華に圧倒されて足がすくんで動けなかった。そんな相手にもお構いなしに蓮華は言う。


「まず一つ。私は別に逃げも隠れもしないし、そもそも貴様らみたいな脆弱な奴らごときにする必要もない。見えないのは貴様らが遅すぎなだけなんだよ。あんなにゆっくり間合いを詰めてやったのにもう少し楽しませろ」


蓮華はただ間合いを詰めて斬った後、彼らをすり抜けて後ろに立っただけ。他の余分な動作はしていない。ゆっくりと言っても蓮華の速さを見られる奴なんて世界に数人いるかいないかくらいだ。


「た、助け…」

「もう一つ。私のことは知っているか?」

「……黒い、死神…」


男は震える声で言葉を紡ぐ。蓮華はゆっくり頷いて笑った。そしてその頭に小刀が刺さった。男は驚いた表情のまま倒れた。倒れた男を冷淡な目で見下ろす蓮華。


「私は死神だから慈悲なんてない。覚えておくことね」


小刀を抜いて血を拭き取ってから蓮華は上に続く階段を上がった。そして思い出したようにふっと笑った。


「あ、でも次なんかないけどね」


クスクス笑う蓮華の笑い声だけがその場に残った。そして蓮華の姿も笑い声もなくなったその場は血と死体だけが残った。

戦闘描写難しいです!!

上手くかけているかものすごく不安ですがどうでしょうか…?

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