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仮称 underdogs  作者: 青江兼次
ライフ・イズ・シット
1/8

イントロ

銘を切るように 心に刻んで

十代までだよ  初恋は


 ……オッケー。

 この目に現在進行形で映ってる『ふざけた』光景を理解出来る気もする気もさらさらないから、一旦目を閉じようかな。


 いや、どうしよう。何だか迷っちゃうね?

 目を閉じたら多分、耳が過敏に反応して音を拾っちゃうからイヤホンがいる、かな?

 それともかえって邪魔?

 君はどう思う? 


 私さぁ……今ね、その判断が上手くできなくてね、エアーポッツの蓋を五回くらい開け閉めしちゃったんだよね。奇行過ぎて自分でドン引きしちゃった。うーん……やっぱいらないかな。きっと、私の脳みその中の電気信号が、今から光が地球を七週半するくらいの秒数で、この状況の至るまでの人生の振り返りを済ませてくれる。

 そ、れ、も、めちゃくちゃクールにね。

 そうそう、死に際の走馬灯みたいに。

 よし、それじゃあ……目を閉じよう。

 それで準備完了。

 始めよっか。


 最初に言っておくけど、私は記憶を『コンパクトディスク』にして保管してる。

 いや、アレだよ? イメージの話だよ?

 幸か不幸か私は現実を生きる人間で、ディストピア世界観のサイエンスフィクションに記述された住人じゃないから。何がウケるって、私一冊も読んだことないのに例えに出したことだよね。どうでもいいね。ごめんね?


 それで、どういう事かって話なんだけど。

 頭の中にこれまでの人生ってラックを作って『名前も知らない女としたセックス』とか『泥酔して路上でゲロ吐いてそのまま爆睡した』とか『ヘビースモーカービッチと寝タバコして仲良くラブホで燃えかけた』とか『メンタルヘラヘラ自称繊細女にバイト先で刺されそうになった』とか、そういった出来事でラベリングして、それが『悲しかった』とか『辛かった』とか『気持ちよかった』とか、そういう感情とか気持ちでジャンル分けして時系列順で並べるんだ。そうそう蔦屋さんみたいにって……知らないか今時の若い子は。サブスクリプション全盛の時代だもんね。私? 私はアップルミュージック派だよ。え? スポティファイ? なにそれ食えんの?


 兎に角、ある時に思ったのよ。

 ここにあるディスクが全部『マキシ・シングル』じゃんって。

 私は、例えそのバンドの中で好きな曲が一曲しかなくても『マキシ・シングル』より『ベストアルバム』を借りる派だった。だから、自分のライフイベントでターニングポイントって思うディスクの内容を一枚にまとめたってわけ。そんで私だけが知る、私の人生の『ベストアルバム』が完成したんだ。

 それを今から脳内再生するって、わけ。


 人は過去を振り返る生き物だから。


 私みたいなネガティブモンスターは毎日やってるよ。やったことない人は、やんないほうがいいよ。時間の無駄でしかないし、人生を虚無に過ごす行為だから。

 一から振り返ることは久々だけど、やらなきゃいけない気がしてるんだ。

 さてさて、取り出したディスクの表面には何て書いてあるのかなー。おー……ガキの落書きみたいな字だね。ミミズが躍ってるより悲惨だ。私のやった事だから確実なんだけど、カッコつけて英語で書こうとして失敗して、ダサすぎて泣きたくなって、ヤケクソ気味にカタカナで書き殴ったんだと思う。私は生まれた時から馬鹿だったのに、年を重ねるたび更に馬鹿になってったし。


『ライフ・イズ・シット』


 そっかー……人生はクソかーそうかー.......。

 まてまてまてまて、待ってくれって。

 私さぁ、人生の『ベストアルバム』って、さっき自分で言ってたよね?

 人生のベスト集めてクソかよ。そうかよ。てか、クソな現実から逃避したくて始めた回想と妄想でまでクソとか言ってんのかよ。何もかもクソ過ぎて気が狂いそうだよ流石の私も。

 それもこれも全部、私がクソだからってことが原因の半分を……ごめんなさい嘘つきました九割です。私が原因の九割を占めてます。

 そんで残った一割は、あの女のせい。

 とりあえずプレーヤーに突っ込んで再生しないとね。

 全てはそれから、だから。


 それじゃあ、再生ボタン押すよ。

 んー……いや、なんか、普通過ぎない?

 もっと自分に酔っていこうよ。

 バチっとキメキメのセリフで始めたい。

 今の私は暗闇に一人なんだからさ。

 ダサくてもカッコつけさせてよ。

 ハリウッドの映画とかジャンプコミックの決め台詞みたいに。


 というわけで、もう一度話をしようか。


 即席で作ったイマジナリーなもう一人の私。返事しろ。いくよ。

 それじゃあ、私と私が神様と崇めたトチ狂った女との出会いから。

 再生。



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