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【新春お年玉スペシャル!5日間連続投稿】第1章-8 タクシラの商業ギルド会館

“Āyasmant(諸兄、)o, saṅghagā(ギルド会館に)me samāgatā(お集まり頂きました); dassatha a(では、議題に)ttano kiccā(入りましょう)ni.”




ガンダーラ国、首都タクシラ。

Phussamāsa(2~3月ころ)、満月から2日過ぎ、商業ギルドの会議が始まった。


招集を知らせる大太鼓の音は、日の出と同時に街に鳴り響いた。




ギルド長老のプックサが、まず口火を切った。



“Imasmiṃ(今季は) utukāle (キャラバン)dve vāṇija(二隊を送る。)gaṇā pesetuṃ mayaṃ (そう考えておる)cintayāma. ”



すかさず、古参隊長のダンミカが切り替えしてくる。



“Jeṭṭhaka(長老), sace dve ga(二隊を出せば)ṇā gamissa(山賊どもは)nti, balav(道の左右から)anto corā ubho passe(攻撃できます) a|sitāni karissanti. Ekaṃ gaṇaṃ(強固な一隊に) thiraṃ katvā(まとめて) pesetuṃ vaṭ(出発すべき)ṭati.”




“Dhammika(ダンミカよ), tvaṃ niccaṃ(君はいつも) ekagaṇameva(一隊主義だ) icchasi. Athakho a(しかし)mhākaṃ vā(商人たちは)ṇijā paññāpet(言っている)i—‘bahuṃ bha(『積荷が多い。)ṇḍaṃ atthi, puthu gaman(分けて運べば)ena vipat(損失を)ti parihāy(避けられる』)ati’ ti.”(と。)



ここ、ギルド会館の構造は、まずエントランスの手前には、荷車・荷獣(ウシ、ラクダ)などが停められる広い前庭があった。


エントランスには警備(dovārika)が立ち、事務室と会議室が背中合わせの間取りになり、その先の回廊を進むと倉庫、宝物庫などが並んでいて、奥には広い中庭があるが、この中庭は荷受けした荷物を捌いたり整理する作業場として機能していた。

その中庭を囲む形で宿泊棟が設けられており、商談に訪れた遠方の商人が利用した。



建築構造は、今の東南アジアの農村部とほぼ変わらない、いわゆる”日干し煉瓦造り”である。

現代のマテリアルと異なるのは、コンクリートのない時代であったため、キメの細かい粘土に砂、それに刻んだ藁を混合したものを使い、積み上げて行く日干し煉瓦の間隙を埋めて固定した。


しかし、公共施設やこのギルド会館のような重要建造物は、”藁”ではなくジュートや麻などの繊維質を使うことにより耐震強度と寒暖差による収縮膨張の断裂を防いでいた。


また、エクステリアには漆喰(cūrṇa-lepa)を使って、白色カーミナ(石灰白土)により風雨と日光に対するシールドを施した。


そして、屋根は木梁(木製トラス)に葦(kaśa)・草葺き(tūla)• 粘土塗りの平屋根(ガンダーラ乾燥地帯に多い)などが民家、農村部では使われ、都市部では瓦片(terracotta)も一部使用されていた。


このギルド会館の屋根も、赤褐色の瓦に覆われていた。



“Bhaṇḍaṃ bahu(積荷が多い?)ṃ, corā p(山賊は)ana bah(もっと)utarā! (多いのだ!)Puthu gaṇā(キャラバンを)naṃ gaman(分ければ)e maraṇaṃ sa(死者が出る!)kkā hoti. Na aññath(これは事実だ)ā!”



“Mā evaṃ(言葉に) vadāhi!(気をつけろ) Amhākaṃ (こちらには)rathin(熟練の)o balavanto(護衛がいる). Dve gaṇā gam(二隊で異なる道を)issantā nān(使えば山賊)āmaggaṃ ga(を欺ける)hetvā corānaṃ cakkhuṃ muddenti.”



“Ubhayo tuṇhī (両名、)hotha!(静まれ!) Ayaṃ paris(口論で)ā saṅkiliṭṭhā(この会議が) hoti tumhā(乱れてはならん)kaṃ na kalāhena.”



プックサ長老の一喝。

二人の隊長は口をつぐんだ。

二人のやり取りを見ながら、思い思いに勝手なことを話していた他の参加者たちも一斉に黙りこくった。


lirakkh(記録係)ita が議事を促した。



“Bhaṇḍavibhā(積荷の分類は)go pana eva(次の通りです)ṃ: lohaṃ, (金属類、)khetta-samb(農産物、)hārā, telañca.(油類。) Katamaṃ gaṇa(どの隊が)kiṃ hariss(何を運びますか?)ati?”



“Dhammika gaṇ(ダンミカ隊は)o lohaṃ hara(金属を運べ)tu; Jatila pana(ジャティラ隊は) telaṃ ca osadh(油と薬草類を)īni haratu. Khettasambh(農産物は)ārā ubhinnampi gaṇā(両隊で均等)naṃ samāni bha(に分けよ。)vantu.”



ダンミカ隊長は不満げな様子で呟くように言った。



“Lohabhaṇḍaṃ(金属は) garuka(重く)ṃ; corāna(山賊にも)ṃ piyaṃ.(狙われやすい) Idaṃ(これは) gaṇassa(私の隊の) bhāro ho(負担が大きい)ti.”



それを聞き逃さず、長老は厳しい口調で諭した。



“Dhammika,(ダンミカ) tvaṃ porāṇa(お前は古参)gaṇapam(隊長だ。)ukho. Yuttaṃ te ga(重荷を担うのは)rubhāra(当然だ)ṃ vahituṃ. Evaṃ(これが) porāṇācarā(昔からの定めだ).”



記録係は最終決定を告げた。


“Dve gaṇā ga(二隊で出発)missanti, maggā nānā(ルートは別). Dhammika(ダンミカ隊) puratthimaṃ m(南方街道)aggaṃ, Jatila ut(ジャティラ隊)tarapatha(ウッタラパタ)ṃ gaheyyu((北方大街道))ṃ. Evaṃ (これを)saṅgho ni(ギルドの決定)cchitaṃ k(とします。)aroti.”


[BGM]

"Im Nin’alu - Ofra Haza"

挿絵(By みてみん)


当時の商業ギルドとキャラバン隊は、次のような組織で構成され、キャラバン隊商はそれぞれの役割が明確でプロ集団として統率された、いわば軍隊に近く、更にマーケティングも兼ねるロジスティクス組織だった。


【商業家・ギルド本部】

ギルド長;Seṇi-pāmokkha

 └─ 副ギルド長; Upa-pāmokkha

 └─長老評議会; Pamukha-parisa

 ├─ 財務官;Bhaṇḍāgārika

 ├─ 契約官;Paṇṇa-nāyaka

 ├─ 相場査定官;Mūla-vicāyaka

 ├─ 道程管理;Magga-nāyaka

 └─ 警備;Guttika

 |

└── 物流部門(キャラバン隊)

 ├ 隊商長;Satthavāha

  ├ 経理・会計;Gaṇapadika

  ├ 交渉・外交官;Vacaka

  ├ 警備隊長;Senānī

  ├ 斥候;Pūrvagāmin

  ├ 通訳;Anubhāṣaka

  ├ 動物管理;Go-nāyaka(牛管理長)

  ├ 医療;Vaidya

  ├ 料理・水管理;Odapāna‐pāla

  └ 荷役;Bhāravāhaka



  

◯ガンダーラ国、首都タクシラ

現在のパキスタン、イスラマバード付近。


※ [BGM]

物語を眼で追い、BGMを実際に耳で聴く事により、読書体験がより膨らむように選曲。


<利用例>

1. 最初に文章をエンドまで読み終える

2. 次に、BGM の QRコードを読み取り検索。または "(曲のタイトル)" をコピー、Youtube、Spotifyなどでコンテンツを検索

3. 曲を準備してもう一度最初から読む

4. BGM のところまで読んだら曲をプレイ

5. 続きの物語を読んでそのシーンの世界観を拡げる


検索結果が複数出た場合、オリジナルメディアの音源とライブなどバリエーションを聴き比べるのも楽しみ方の一つ。

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