【新春お年玉スペシャル!5日間連続投稿】第1章-10 炭焼き職人 ジャーピタ
ガンダーラ国スワート渓谷の炭焼き小屋。
毎朝、夜明けに起きて、簡単な朝飯を喰う。
その後、ジャーピタの炭焼き窯の方へ行き、その日の作業を慧は手伝った。
ヤナカには(やらなくて良い)と言われ続けているが、慧としては、命を救ってもらった上に、食事までご馳走になり、寝床も自分の使っているものを使わせてくれている。
(いやいや、これで働かなかったらバチ当たりびと決定でしょ)
もともとの性分が忙しがり屋、あるいは何かやっていないと落ち着かんというタイプなので、ジャーピタの手伝いをすることには全く苦はない。
それに加えて、手元に四角いリンゴは無いので、手持ちぶさたなのだ。
ただ、現世の東京では普段やらないガテン系なので、その日の作業が終わると腰がしっかり痛んでいる。
しかし、炭焼き窯の近くで作業をしていると釜の熱で汗をかき、終わったあと渓流での水浴びが至高の爽快感をもたらしてくれる。
(まるで、サウナ行ったみたいだ。なんだっけアレ、そうそうトトノウだっけ)
さっぱりしたあとに、必ずアーロカのことが思い出される。
それが、日を追うごとに強くなり、やがて慧は、寝るときもアーロカのことを考えるようになっていた。
ジャーピタの炭焼き窯では、炭になる材料の原木に硬い樫の木を使う。
《大まかな工程》
1 先ずは、山で樫の木を伐採、その場で裁断し釜に入るサイズにする。
2 小屋に運んだ原木を木ごしらえ(太いものを縦割り、曲がったものを真っ直ぐにする丁寧な作業)がある。
3 その後、熱した窯の中に素早く投げ入れ釜の蓋を閉じる。
4 およそ10日をかけて乾燥を行い、 引き続き「炭化」の工程を経て窯出し。
5 すぐに真っ赤に焼けている炭にすぐスワート谷で取れるキメの細かい石灰質の砂を掛けて急速冷却する。
6 2日から3日の間、炭を砂の下で寝かすと完成する。
完成したジャーピタの炭は、火力に長け固く火持ちがする。
ちょうど、日本の和歌山で生産される紀州備長炭に相当する炭だった。
“mayhaṃ kaṭṭha-kolā sāthikā; na bhijjanti na vinassanti yānena.”
“ubhato hatthe kolā gahetvā, saṃghaṭṭehi.”
-カキーン-
まるで、金属バットで早い直球をジャストミートしたような快音。
“idaṃ, kacci, saccaṃ kolā eva?”
“evaṃyaṃ. tasmā ayaṃ bhaṇḍaṃ dūrantarāsu janapadesu nīyati.”
“acchariyaṃ vata.”
(ガンダーラって想像と違う、なんかすごい)
[BGM]
“すごい男の唄(2017年リマスター)”
※四角いリンゴ
読んでいるあなたが、今その手に持っているヤツ。
(小さなアンドロイドかもしれないが)




