04S.ルリナスが居る世界 前編
ここは「未来の右側神」と、成った「ルリナス」が、支配する世界でした。またそこは「新サキュレス物語11」の世界とも、呼ばれました。この「11世界」を、支配した「右側神ルリナス」は、自分の「リグレット(心残り)の解消」が、一段落すると、満足した日々を、過ごしました。しかしこの神の「リグレット」は、まだ他にも有りました。
「ルリナス」が、まだ魔人類で有ったときの名前を「鹿島瑠璃」と、言いました。彼女は「淫魔王グン・ペイン」を、構成する「淫魔王の第8アニマス」として、この世界に誕生しました。彼女の両親は「生粋のはぐれ淫魔」でした。それから彼女には、父親が同じ弟が、2人居ました。彼女は、その父親の第1子でした。
瑠璃には、子供の頃から、一緒に育った弟が居て、その名前を「鹿島宗平」と、言いました。彼は「瑠璃の心強い協力者」で有り彼は、この世界では比較的長く「生きること」が、出来ました。彼は、長命で有り、妻も3人居たので、たくさんの子孫達を、残すことが出来ました。それから「広い所領」まで、与えられました。また彼の子孫達は、その地では、特殊な部族「インキュマー」として、栄えて居ました。
そして宗平は「不滅に近い、存在で有る」姉の瑠璃とは違い、一般的な魔人類として寿命を、終えました。弟の宗平が亡くなると、瑠璃は深い悲しみを、味わいました。彼女は「神に、連なる者」だったのですが、そのときは、まだ「ただの特殊な、魔人類」で有り、大いなる力が、有りませんでした。
瑠璃は、自分の本体とも言える「原初の魔神」に、自分の望みを伝えると、弟の宗平が、亡くなる直前の「全ての情報を、取り込んで」尚且つ容姿は、今の若い姿の瑠璃と、釣り合いが取れるような、弟の姿を再現したものを「記録した指輪」を、作って貰いました。それを解析すれば、何時でも何処でも、そのときの弟を「創り出せる」ようにしたのです。もちろん、その指輪には、彼が所有する、4体のゴーレム達の、情報も含まれて、居ました。
「鹿島瑠璃」は、その指輪が出来ると「3つに分けて」彼の妻達に、持たせました。それは、いつか自分が「神に成った、その日」に、弟を復活させる為に「預けた」のです。こうして、その彼女の願いも「リグレット」の1つとして、密かに彼女の胸の内に、仕舞われました。そして「右側神ルリナス」が、誕生した今こそ、それが実行されるときと、成ったのです。
「黒崎アヤカ」が、目を覚ましました。今日は、土曜日でしたので、家の中でゆっくりする予定でした。ここは、アヤカ達が暮らす「黒崎家の本館」でした。彼女達は、本館の中枢から、大分離れた場所に、部屋を与えられて、住んで居ました。学園までは、歩いて行ったり、車で移動したりしました。最近、この世界の隣接部分に「別世界(12)」が、出来たことを、彼女は知って居ました。
「黒崎アヤカ」の容姿は、身長が155㎝位の中肉中背の綺麗な娘でした。彼女の前世態で有る「黒崎綾」と「ミーシャ」それに「娘アヤカ」の面影が、残って居ました。彼女の容姿は、肌色が白くて、子供時代から眉毛と眼が切れ長で有り、生まれながらの美人顔でした。目は、大きくて瞳の色は、済み切った「漆黒の闇」のような色でした。そして唇の色は、薄いピンク色で有り、相手の顔をじっくりと見る処が、有りました。
髪の色は茶髪で有り、肩先まで伸ばして居ました。アヤカは、子供時代から良く自分の髪を、撫でる癖が有りました。彼女は、痩せて居ましたが、その体型の割には、胸が大きくて、良く発達して居ました。それは、彼女が「サキュレス(女型淫魔)」で、有ったので、獲物を引き寄せて、魅了させる為に、生まれながらに持った「身体的な特徴」でした。
その「12世界」は「黒崎アヤカ」の居る「11世界」とも、リンクしたので、多少ですが、その影響を受けました。その世界は「右側神ルリナス」では無い「違う神」が、支配する世界でした。そして、時間軸も違う、ここよりも大分前の「過去の時代」を、再現した世界でした。
今までに、その時代の世界のことが、具体的に語られたことが無く、その為その世界が、出現したことにより、この物語の「始めの時代設定」が、より具体的なものに、変わりました。
そして、その世界が出現したことにより「新サキュレス物語」の「初期の物語」にも、影響を、もたらしました。「黒崎アヤカ」は「その〝隣接世界の調査″をする必要性が、出た」と、思いました。誰か、適任者を選別して、その世界に行かせて「何が、有るのか。何をする世界なのか。」探る必要性が、有りました。
「黒崎アヤカ」は、手頃な処から、探してみました。初めに目が止まったのは、彼女の1日違いの兄で有る「霜月十六」でした。彼の元には、いつも従者で有る「大同ハイト」が、従って居ました。彼等は、同族なので「死蠍魔人」と言う、戦闘に特化した「魔人態」に、変わることが、出来ました。そして、いつでも戦える力を、持ちました。
また「大同ハイト」には最近、特に仲が良く成って居た「黒崎アヤカ」の従者で有る「大滝アリソン」が、いつも一緒でした。この3人の身体からは「アヤカ」にしか見えない、特殊な「黒いオーラ」が、放たれて居るのが、見えました。そして、それが空間を、侵食して居るように、見えました。そのことは「こちら側の世界」の次元に入り「別の世界」の次元に、行けることを、意味しました。
「黒崎アヤカ」には、彼等の「黒いオーラ」の意味を、知ることが出来ました。彼等は自由に、この「物語の世界」に、侵入することが、出来ました。それが「彼等の称号」が持つ、力で有ったのです。彼等は、この「物語の象徴」として、設定された「数字の16と牛と蠍」の象徴を、持つ者達でした。
そして場面が変わり、ここは「新サキュレス物語02」の世界でした。「鹿島瑠璃」は、もうじき死を迎える、弟を見て居ました。「宗平君。今迄、私に協力してくれて有難う。穏やかに最後を、迎えて下さい。」瑠璃は、そう言うと「1人の老人の頭」を、撫でました。それは瑠璃の、弟に対する最後の「愛情表現」でした。老人は、苦しそうに一言「ねぇさん。」と、呼ぶと「永遠の眠り」に、付きました。
「鹿島瑠璃」は、弟の宗平との別れを済ますと、彼は荼毘にされて、埋葬されました。それから瑠璃は、長い間1人で所領を、守って居ました。「宗平の後継者」は、3人居ました。名前を「鹿島宗一郎」「宗二郎」「宗三郎」と、言いました。彼等は、宗平の3人の妻から、生まれた「長子達」でした。
彼等は、自分の母親が亡くなると、これからは代々「宗平の形見」として、引き継がれることに成る「指輪」を、継承しました。宗平の長子達は、代々その名前を、継承しました。それから1000年経った世界が「アクシズン(軸心世界)」の1つとして、新たに出現しました。それは、次の世界と成る「新サキュレス物語13」の世界でした。また、その世界は「13世界」とも、呼ばれました。その世界は「鹿島宗平」が、亡くなってから、1000年後の世界から始まる物語でした。




